要介護認定の診断書は家族が取得しなくていい。主治医意見書の仕組みと申請前の準備

要介護認定を申請するとき、認知症の診断書(主治医意見書の原本ではなく、申請の際に求められる書類)をどこで取得するかで迷う家族は多い。実際には市区町村から主治医に「主治医意見書」の作成依頼が行くため、家族が直接医師に頼む必要はない。しかし申請の前にかかりつけ医を確認しておかないと、意見書の作成が遅れ、認定が先延ばしになる。診断書・意見書の仕組みと、スムーズに申請を進める準備を整理した。

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要介護認定に使う「主治医意見書」は市区町村から依頼される

介護保険の要介護認定を申請すると、市区町村から本人のかかりつけ医(主治医)に「主治医意見書」の作成依頼が送られる。家族が医師に依頼するのではなく、市区町村が直接医師に依頼する仕組みだ。

主治医意見書は市区町村が作成依頼を送るため、家族が用意する書類ではない。ただし、申請の際に「かかりつけ医の氏名・医療機関名・電話番号」を記入する欄があるため、申請前にこれを確認しておく必要がある。

かかりつけ医が定まっていない(複数の病院にかかっている)場合は、認知症の主治医(神経内科・精神科等)を記入するのが一般的だ。

認知症の診断書と主治医意見書は別物

介護保険の申請で混乱しやすいのが「認知症の診断書」と「主治医意見書」の違いだ。

  • 認知症の診断書:成年後見申立てや任意後見・家族信託の判断能力確認のために取得するもの。医師が所定の書式(家庭裁判所が指定する書式)に記入する。費用は医療機関によって5,000〜10,000円程度
  • 主治医意見書:介護保険の要介護認定のために市区町村から医師に依頼されるもの。家族が取得する必要はなく、市区町村から医師に直接送られる

「認知症の診断書をもらってきてください」と言われた場合は、何のための書類かを確認する。介護保険の申請なら、家族が診断書を取得する必要はない。

申請前にかかりつけ医を確認する3つのポイント

要介護認定の申請をスムーズに進めるため、申請前に以下を確認しておく。

  1. かかりつけ医は誰か:「介護保険の申請をするのでお名前をお借りしてよいですか」と事前に確認しておく。複数の病院に通院している場合は、認知症の診断をしているメインの主治医を選ぶ
  2. その医師が主治医意見書を書ける状態か:受診から時間が経っている場合、一度受診してから申請する方が意見書の内容が実態に即したものになる
  3. 医師が主治医意見書の作成経験があるか:かかりつけ医が介護保険の手続きに不慣れな場合は、認定調査後に遅れが出ることがある。「主治医意見書の作成はお願いできますか」と確認しておく

主治医意見書が書いてもらえない場合の対処

かかりつけ医がいない場合や、医師が「主治医意見書の作成は難しい」と断った場合は、以下の対応をとる。

  • 市区町村の窓口に相談する:かかりつけ医がいないことを伝えると、地域の医師会または市区町村が指定した医師に依頼する手配をしてくれる場合がある
  • 地域包括支援センターに相談する:かかりつけ医の確保から申請の手続き代行まで、地域包括支援センターが対応できる場合がある
  • 認知症専門外来に受診する:認知症の診断を専門的に行うメモリークリニック・物忘れ外来・認知症専門医(神経内科・精神科)を受診してから申請する

申請後の認定調査でも認知症の程度が確認される

要介護認定の申請後、市区町村の調査員が自宅または施設を訪問して「認定調査」を行う。74項目の調査票に基づき、身体機能・生活機能・認知機能・精神・行動障害等が確認される。

認知症の場合、認定調査当日は「いつもより状態が良く見える」ことがある。これは「まだら認知症」(調子の良い時間帯がある)の特性や、見慣れない人の前では緊張して普段よりしっかり見えることが影響する。

家族ができる対策として、認定調査員に「普段の状態」を伝えるメモを事前に用意しておくと実態に近い評価につながりやすい。メモには「夜中に起き出す頻度」「物忘れの程度(薬を飲み忘れる・同じことを繰り返す等)」「日常生活でサポートが必要な場面」を具体的に書く。

「軽度認知障害(MCI)」では要介護認定が通らないことがある

医師から「軽度認知障害(MCI)の段階」と言われた場合、要介護認定の審査で「非該当(自立)」と判定されることがある。MCIの段階では、日常生活への支障が顕著でないと判断されるためだ。

非該当になった場合でも、介護予防事業(市区町村の介護予防サービス)を利用できることがある。また状態が進行した際に改めて申請することができる。

この記事のまとめ

  • 主治医意見書は市区町村から医師に依頼が行くため、家族が「認知症の診断書」を取りに行く必要はない
  • 申請前にかかりつけ医の氏名・医療機関を確認しておくことが重要
  • かかりつけ医がいない場合は市区町村または地域包括支援センターに相談する
  • 認定調査では「普段の状態メモ」を用意して調査員に手渡すと実態に近い評価につながりやすい
  • MCIの段階では要介護非該当になることがある

出典:介護保険法第27条(要介護認定の申請)・第28条(要介護認定)、厚生労働省「要介護認定はどのように行われるか」、厚生労働省「主治医意見書の様式」

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この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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