不活性ガス消火設備に使用できる薬剤には「CO2(二酸化炭素)」「IG-541(イナージェン)」「IG-55」「窒素(IG-100)」「アルゴン(IG-01)」等があります。CO2は設計濃度が高く(34〜50vol%)人体への危険が大きい一方、IG-541等の窒素・アルゴン系は設計濃度が40vol%前後でも人体への毒性が低く、有人の防護区画に使用できます。
この記事では、不活性ガス消火薬剤の種類・成分・設計濃度・人体安全性の違いを一覧で整理します。
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不活性ガス消火薬剤の種類一覧
| 薬剤名 | 成分 | 設計濃度(目安) | 人体への安全性 |
|---|---|---|---|
| CO2(二酸化炭素) | CO₂ 100% | 34vol%(第1G)・50vol%(第2G) | 低い。設計濃度で人体に危険 |
| IG-541(イナージェン) | 窒素52%・アルゴン40%・CO₂ 8% | 約37〜43vol% | 比較的高い。大気成分の組み合わせで毒性が低い |
| IG-55(ファイアード) | 窒素50%・アルゴン50% | 約43vol% | 比較的高い |
| IG-100(窒素) | 窒素 100% | 約40〜43vol% | 比較的高い(酸欠は生じるが毒性はない) |
| IG-01(アルゴン) | アルゴン 100% | 約43vol% | 比較的高い(酸欠は生じるが毒性はない) |
CO2と窒素・アルゴン系の違い
CO2と窒素・アルゴン系の最大の違いは「消火のメカニズム」と「人体への影響」です。
| 比較項目 | CO2 | 窒素・アルゴン系(IG-541等) |
|---|---|---|
| 消火メカニズム | 酸素希釈+CO2自体の化学的抑制効果 | 主に酸素希釈(燃焼に必要な酸素を14〜15%以下に下げる) |
| 設計濃度 | 34vol%または50vol% | 37〜43vol%(酸素が消火濃度以下になるよう設定) |
| 人体への影響 | CO2自体が高濃度で毒性を持つ | 大気成分(窒素・アルゴン)なので毒性はないが酸欠は生じる |
| 有人区画への適用 | 原則として無人区画 | NOAEL考慮のうえで有人区画にも適用できる |
| 薬剤コスト | 安価・入手しやすい | CO2より高価 |
IG-541とIG-55の成分の覚え方
甲3試験でよく問われる成分の数値です。
- IG-541:窒素52%・アルゴン40%・CO₂ 8%(数字「5・4・1」が各成分の割合の頭文字に相当)
- IG-55:窒素50%・アルゴン50%(数字「5・5」が各50%を表す)
不活性ガスの貯蔵方法
不活性ガス消火薬剤の貯蔵方法も種類によって異なります。
| 薬剤 | 貯蔵方法 | 容器の特徴 |
|---|---|---|
| CO2(高圧式) | 液化して加圧容器に保管(5〜6MPa) | 圧力が高い。充填比1.5L/kg以下 |
| CO2(低圧式) | −18℃以下で液化保管(約2.1MPa) | 冷凍機を必要とする。大型設備向け |
| IG-541・IG-55・窒素等 | 高圧ガスとして圧縮保管(約15〜20MPa) | 液化しない気体状態。圧力が非常に高い。同じ薬剤量でCO2より多くの容器が必要 |
試験の出題ポイント
- 「IG-541の成分(割合)を答えよ」→ 答え:窒素52%・アルゴン40%・CO₂ 8%
- 「IG-55の成分を答えよ」→ 答え:窒素50%・アルゴン50%
- 「CO2と窒素系不活性ガスで、有人の防護区画に適用しやすいのはどちらか」→ 答え:窒素系(IG-541・IG-55等)。CO2は設計濃度で人体に危険
- 「IG-541等の窒素・アルゴン系不活性ガスがCO2より安全とされる理由は何か」→ 答え:大気成分(窒素・アルゴン)から構成されており、毒性がない(酸欠は生じるが)
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出典:消防法施行規則第19条(不活性ガス消火設備の薬剤種類)・消防庁告示(各ガス系消火薬剤の設計濃度)。
作成日:2026年11月5日

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