地域包括支援センターが認知症でできること・できないこと

「親が認知症と言われたけど、何から相談すればいいかわからない」という状況で最初にたどり着くのが地域包括支援センターだ。全国に約5,400か所あり(令和5年時点)、介護保険の申請手続きやケアマネジャーの紹介など、無料で相談できる。ただし、財産管理・後見人手続き・家族信託の相談は地域包括支援センターの業務範囲外だ。できることとできないことを最初に把握しておくと、どこに何を相談すべきかが明確になる。

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地域包括支援センターとは。市区町村の「入口窓口」

地域包括支援センターは、介護保険法第115条の46に基づき、市区町村が設置または委託運営する機関だ。高齢者の介護・福祉・医療・生活全般の相談を受け付ける「地域の総合相談窓口」と位置づけられている。

職員の配置は法律で定められており、保健師(または看護師)、社会福祉士、主任介護支援専門員の3職種が原則として配置されている。費用はかからない。予約なしで訪問できる施設も多い。

設置数は全国で約5,400か所(令和5年度・厚生労働省調べ)。サービス区域は中学校区を目安としており、ほとんどの地域で自宅から比較的近くに窓口がある。自分の地域の地域包括支援センターは、市区町村の介護保険課や厚生労働省の「地域包括支援センターの一覧」サイトで確認できる。

地域包括支援センターが認知症でできる5つのこと

地域包括支援センターができることは、主に以下の5つだ。

1. 介護保険の申請手続きのサポート
要介護認定の申請書類の記入補助、申請窓口への案内、申請後の流れの説明を行う。自分で申請窓口に行けない場合は、代わりに申請を代行してもらえる場合もある(市区町村窓口への同行を含む)。

2. ケアマネジャーの紹介
要介護認定が出た後のケアマネジャー探しについても相談に乗ってくれる。地域の居宅介護支援事業所の一覧や、相談者の状況に合ったケアマネの紹介を行う。

3. 認知症に関する情報提供・相談
「物忘れが増えてきた」「病院に行くよう勧めたいがどうしたらいいか」など、認知症の疑いがある段階からの相談も受け付けている。地域の「認知症初期集中支援チーム」(市区町村が設置)への橋渡しも行う。

4. サービス情報の提供
デイサービス・訪問介護・ショートステイ・グループホームなど、地域で利用できる介護保険サービスの情報を案内する。施設への見学申し込み窓口として機能することもある。

5. 専門家(司法書士・弁護士)への橋渡し
財産管理・後見・家族信託の問題が出てきた際に、地域の弁護士会や司法書士会、市区町村の法律相談窓口への紹介を行う。地域包括支援センター自体が財産管理を行うわけではないが、どこに相談すればよいかのルート案内はしてもらえる。

地域包括支援センターができないこと

地域包括支援センターが対応できないことも、はっきり把握しておく必要がある。

財産管理の直接担当はできない。預貯金の管理・不動産の手続き・後見人の代替をセンターが行うことはない。これらは司法書士または弁護士の業務だ。

法的手続きの代行もできない。任意後見契約の作成・法定後見の申立て・家族信託の設計はいずれも司法書士または弁護士が対応する。センターはこれらの手続きへの橋渡しを行う役割だ。

医療の判断・処方はできない。認知症の診断や薬の処方は医師の業務だ。「認知症かどうか」の判断はかかりつけ医または専門医(神経内科・精神科・物忘れ外来)が行う。

夜間・緊急対応は原則として対応範囲外だ。夜間に徘徊が始まった、急変したという緊急の場合は、まず119番または警察に連絡する。

地域包括支援センターから専門家に繋げる流れ

財産管理・後見・家族信託の問題が出てきた場合、地域包括支援センターを「入口」として専門家に繋げる流れは以下の通りだ。

  1. 地域包括支援センターに「財産管理で困っている」と相談する
    何を困っているかを具体的に話すと(口座が使えない・後見人が必要かもしれない等)、適切な窓口への案内をしてもらえる。
  2. 市区町村の「法律相談」窓口を紹介してもらう
    多くの市区町村では月に数回、無料の法律相談(弁護士・司法書士による)を設けている。地域包括支援センターから紹介状(文書ではなく口頭連絡の場合もある)をもらえると案内がスムーズになる。
  3. 法律相談で「何を依頼すべきか」を確認する
    最初の法律相談では「任意後見が必要か・家族信託が向いているか」の判断をしてもらう。費用の見積もりも聞いておく。
  4. 依頼する専門家を選んで手続きを進める
    司法書士または弁護士に正式に依頼し、任意後見契約や信託契約の作成・後見申立てを進める。

最寄りの地域包括支援センターの探し方

最寄りの地域包括支援センターは2つの方法で確認できる。

1つ目は、市区町村の介護保険課(または高齢者福祉担当課)への電話だ。「地域包括支援センターを教えてほしい」と伝えれば、住所をもとに担当センターを案内してもらえる。

2つ目は、厚生労働省が提供する「地域包括支援センターの一覧(都道府県別)」だ。都道府県のウェブサイトにも掲載されていることが多い。

初めて相談する場合は、電話で事前確認するのが確実だ。「認知症の親の手続きを相談したい」と伝えれば、どの時間帯に来ればいいか・誰が担当するかを教えてもらえる。

この記事のまとめ

  • 地域包括支援センターは全国約5,400か所・無料・予約なし可の「入口窓口」
  • 介護保険の申請サポート・ケアマネ紹介・専門家への橋渡しができる
  • 財産管理・後見・家族信託の直接担当はできない(司法書士・弁護士に繋ぐ役割)
  • 診断後すぐ動くなら「介護保険の申請+専門家紹介の依頼」を同時に依頼する

出典:介護保険法第115条の46(地域包括支援センターの設置)、厚生労働省「地域包括支援センターの事業内容と役割」、厚生労働省「令和5年度介護保険事業状況報告」

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この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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