通所介護(デイサービス)のAED・心肺蘇生研修、倒れた利用者への初動手順と全職員が動ける体制。
通所介護(デイサービス)の利用者は心疾患・高血圧・糖尿病などの基礎疾患を持つ方が多く、サービス中に突然の意識消失・心停止が起きるリスクがあります。心停止後に蘇生の可能性が高いのは最初の数分間です。119番通報から救急隊が到着するまでの時間に、その場にいる職員が正しい手順で動けるかどうかが命を左右します。
AED・心肺蘇生研修は、全職員が「いざというときに動ける」状態をつくるための研修です。知識として知っているだけでなく、手順を体で覚えることが目的です。
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心停止と意識消失の違いを把握する
利用者が突然倒れた・動かなくなったとき、「心停止かどうか」の判断が最初のステップです。
| 確認項目 | 確認方法 |
|---|---|
| 反応の確認 | 肩を軽く叩きながら「大丈夫ですか」と呼びかける。反応がなければ心停止の可能性がある |
| 呼吸の確認 | 胸の上がり下がりを10秒以内に確認する。普通の呼吸がない・死戦期呼吸(しゃくり上げるような異常な呼吸)がある場合は心停止と判断 |
「死戦期呼吸」は心停止直後に起きる異常な呼吸であり、普通の呼吸と区別することが重要です。「息をしているから大丈夫」と判断してCPRが遅れるケースがあります。研修では死戦期呼吸の特徴を伝えます。
心停止発生時の対応手順(BLS:一次救命処置)
心停止と判断した場合の対応手順は次のとおりです。日本蘇生協議会のガイドラインに基づく一次救命処置(BLS)の流れです。
- 大声で助けを求める・応援要請:「誰か来てください!AEDを持ってきてください!」と叫ぶ。一人で抱え込まない
- 119番通報:通報と胸骨圧迫は同時に進める。通報者に電話を持たせたまま、別の人が胸骨圧迫を開始する
- 胸骨圧迫を開始する:胸の真ん中(胸骨の下半分)に手を重ねて置き、5〜6cmの深さで1分間に100〜120回のテンポで圧迫する。テンポの目安は「強く・速く・絶え間なく」
- AEDを装着する:AEDが届いたら電源を入れ、音声ガイダンスに従って電極パッドを貼る。AEDが解析中・通電中は誰も患者に触れない
- AEDの指示に従う:「電気ショックが必要です」→離れてボタンを押す。「電気ショックは不要です」→すぐに胸骨圧迫を再開する
- 救急隊が来るまで継続する:胸骨圧迫30回・人工呼吸2回のサイクルを繰り返す(人工呼吸に自信がない・感染リスクが気になる場合は胸骨圧迫のみでも可)
AEDの設置場所と定期点検を確認する
AEDは「ある」だけでは機能しません。全職員が設置場所を知っており・すぐに取りに行ける・電池や電極パッドが期限内であることが必要です。
- AEDの設置場所を全職員に周知する(新入職員のオリエンテーションに含める)
- 電極パッドの使用期限・バッテリーの残量を定期的に確認する(目安:月1回の点検)
- 「AEDを取りに行く係」「119番通報する係」「胸骨圧迫をする係」の役割分担を事前に決めておく
デイサービスの利用者に小児はほとんどいませんが、成人用の電極パッドが基本です。小児用パッドがある場合は、成人に成人用を使うことを確認しておきます。
AEDを使わなくてよかった場合の対応
AEDを装着したが「電気ショックは不要」と判断された場合も、胸骨圧迫を継続します。「ショックが必要ない=心停止ではない」ではなく、「この心停止の種類にはショックが効果的でない」という意味であり、CPRの継続は必要です。
訓練は実技で年1回以上行う
AED・心肺蘇生の手順は、頭で知っているだけでは緊急時に動けません。人体モデル(マネキン)を使った実技演習を年1回以上行うことが推奨されています。
地域の消防署・日本赤十字社では一般市民向けの心肺蘇生講習を開催しています。事業所単位での出張講習を依頼できる場合もあります。費用・申込方法は各地域の消防署窓口に確認します。
訓練記録には、実施日・参加者・実施内容・使用した資材を残します。実技演習の記録は、行政の実地指導で「緊急時対応の備えをしている」ことを示す記録にもなります。
研修の実施と記録
AED・心肺蘇生研修は、指定基準で頻度の明示はありませんが、年1回以上の実技演習が一般的です。座学だけでなく実技を伴う内容にすることで、実際に動ける職員を育てます。
研修記録には、実施日・参加者・テーマ・使用資料を残します。
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▶ 法定研修・訓練キット(通所介護版)
通所介護の法定研修義務の全体像については、通所介護(デイサービス)の法定研修義務、必須テーマと年間スケジュールも参照してください。
毎年の研修テーマの準備や、研修資料・記録様式をひとまとめにした法定研修・訓練キット(通所介護版)もあります。
(出典:日本蘇生協議会「JRCガイドライン2020」・指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号))


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