就労移行支援の「その他費用」24.4%(702万円)の内訳と費用管理のポイント

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厚生労働省「令和7年障害福祉サービス等経営概況調査結果」(令和6年度決算)によると、就労移行支援の「その他費用」は7,026千円(約702万円)で、収入2,878万円に対して24.4%を占めます。GH包括型の25.9%に次ぐ高い比率で、就労移行支援の収益性に大きな影響を与えています。

就労移行支援の費用内訳(全国平均)

費用項目 金額(千円) 収入比率 費用比率
人件費 18,476千円 64.2% 68.3%
その他費用 7,026千円 24.4% 26.0%
外注費・委託費 912千円 3.2% 3.4%
減価償却費 628千円 2.2% 2.3%
費用合計 27,042千円 94.0% 100%
収支差額 1,741千円 6.0% −

費用の26.0%が「その他費用」で、人件費(68.3%)に次ぐ第2位です。就労移行支援のその他費用が高い理由は、「事業所の運営費用」と「就労移行プログラム専用の費用」が複合的に含まれているためです。

「その他費用」の主な内訳

事業所の賃借料(最大の費目):就労移行支援の事業所は、駅近・アクセスしやすい立地(利用者が通いやすい場所)に設置されるケースが多く、家賃が高くなります。月15〜40万円の賃借料が毎月発生します。年間賃借料が180〜480万円の場合、その他費用の多くをこれが占めます。

訓練用設備・備品費(IT訓練・軽作業機器等):ITスキル訓練(パソコン・タブレット・ビジネスソフト等)、軽作業訓練(封入作業用の机・ラック等)、コミュニケーション訓練用の会議設備などが必要です。リース費用・消耗品費として毎年発生します。

水道光熱費:訓練中は複数台のパソコン・空調・照明が常時稼働するため、通所サービスの中でも光熱費が高くなります。年間50〜100万円程度が目安です。

就職活動支援費(交通費補助等):就職活動の一環として、利用者が企業説明会・面接に参加する際の交通費を一部補助しているケースがあります。就労移行支援特有の費用です。

管理費・法人本部費:営利法人・NPO法人ともに本部費(管理職人件費・マーケティング費等)が各事業所に按分されます。複数事業所を展開する法人では、この按分額が各事業所の「その他費用」を押し上げます。

7サービスとの「その他費用率」比較

サービス その他費用(千円) 収入比率
GH包括型 10,341千円 25.9%
就労移行支援 7,026千円 24.4%
放デイ 7,081千円 22.8%
GH日中型 12,971千円 22.3%
短期入所 1,803千円 20.5%
児発 4,177千円 18.9%
生活介護 13,616千円 17.2%

就労移行支援(24.4%)はGH包括型(25.9%)に次いで高い水準です。GH包括型の「その他費用」が居住型サービスの住居運営コスト(家賃・食費・光熱費)である一方、就労移行支援は「通所型訓練サービスの施設運営費・プログラム費」が中心という違いがあります。

就労移行支援の「その他費用率」を管理するポイント

賃借料の見直し:毎月の家賃が収入の10%以上(就労移行支援では月29万円以上に相当)を占めている場合は、契約更新時の値下げ交渉・移転・テナント部分の適正化を検討します。駅近への立地は利用者の通いやすさに寄与しますが、費用対効果を確認することが重要です。

訓練設備のリース vs 購入の検討:パソコン等の訓練設備はリース(毎年の費用が平準化)と購入(初期費用大・以降の費用小)を比較します。事業所の開設年数・利用者のIT訓練需要に合わせた判断が必要です。

管理費按分の確認:法人本部から按分される管理費の計算根拠(人員数・収入規模等)が合理的かどうかを確認します。按分額が実態より高い場合は法人内で調整します。

就労移行支援の収支差率(全国平均6.0%)を改善するには、稼働率の向上と同時に、24.4%を占める「その他費用」の管理も重要な柱になります。毎年の賃借料・設備リース費・管理費を棚卸しし、削減余地があるかを確認することが収益改善の具体的なアプローチです。

法人形態別の「その他費用率」の違いと管理の視点

就労移行支援の法人形態別の収支差率を見ると、社会法人11.7%(年収1,235万円)・営利法人2.6%(年収4,129万円)という大きな差があります。この差の一因は「その他費用率」にもあります。

社会法人の小規模就労移行(年収1,235万円・定員6〜7人)は、賃借料が低い物件(既存施設の一室等)を活用し、訓練設備も最小限で運営しているケースが多く、その他費用率が20%以下に抑えられていると推測されます。一方、営利法人の大規模事業所(年収4,129万円・定員20人前後)は駅近の高賃料物件・多数のPC・本部管理費按分が積み重なり、その他費用率が25%前後になっているケースがあります。

その他費用率の全国平均は24.4%です。自事業所のその他費用率がこれを大きく上回る場合は、賃借料・設備費・管理費の内訳を確認し、削減可能な費目を特定することが収益改善の近道です。逆に、その他費用率が20%以下に抑えられている場合は、稼働率の向上と就労実績加算の取得が収支差率改善の主な手段になります。

就労移行支援の「その他費用」の管理を、外注費・委託費(全国平均3.2%・912千円)と合わせて確認することも有効です。外注費には就職活動支援に伴う専門家(キャリアカウンセラー等)の委託費が含まれるケースがあります。「その他費用+外注費」を合算した「間接費用合計」が収入の27〜28%以内に収まっていれば、全国平均並みの費用構造です。これを超えている場合は費目別の見直しが必要です。

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出典:厚生労働省「令和7年障害福祉サービス等経営概況調査結果」(令和6年度決算)。その他費用の内訳は同調査の集計区分を参照してください。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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