ガス系消火設備の放出方式には全域放出・局所放出に加えて「移動式」があります。移動式は、ホースを人が持ち運んで防護対象物に近づき噴射する方式です。消防法施行規則では移動式の不活性ガス消火設備に「ホースの設置個数・ホースの長さ(防護対象物から15m以内)・貯蔵容器の設置位置」等の基準を定めています。
この記事では、移動式消火設備の設置条件・ホースリールの基準・設置できる場所・試験での出題ポイントを整理します。
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3つの放出方式の比較
| 放出方式 | 放出の対象 | 人の操作 | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| 全域放出方式 | 防護区画全体 | 起動後は自動放出 | 密閉された電気室・倉庫等 |
| 局所放出方式 | 特定の防護対象物の表面 | 起動後は自動放出 | 変圧器・機械設備等 |
| 移動式 | 人がホースを向けた方向 | 人がホースを持って操作する | 駐車場・作業場・工場等の広い空間 |
移動式が設置できる条件
移動式は主に次のような場所に設置されます(消防法施行規則第19条・第20条)。
- 全域放出・局所放出方式の設置が難しい広い空間または屋外に近い場所
- 防護対象物が分散していて固定噴射ヘッドだけではカバーできない場所
- 自動車の修理場・駐車場・格納庫等の屋内で、比較的換気のある空間
移動式の設置基準(不活性ガス消火設備)
不活性ガス消火設備の移動式に関する主な設置基準は次のとおりです。
| 基準項目 | 内容 |
|---|---|
| ホースの設置距離 | 防護対象物のどの部分からも15m以内にホースのノズルが届くようにホースを設置する |
| ホースリールの設置個数 | 防護対象物の各部分が1本以上のホースリールでカバーできる個数を設置する |
| 貯蔵容器の設置位置 | ホースリールのそばに設置し、すぐに操作できる位置とする |
| 操作位置の安全 | 操作者が放射によるガスに当たらない安全な位置から操作できること |
移動式のホースと貯蔵容器
移動式消火設備の主な構成機器は次のとおりです。
- 貯蔵容器:移動式専用の容器。ホースリールに直結または近傍に設置
- ホースリール:ホースを巻き取ったリール。操作時にホースを引き出して使用する
- ノズル(噴射器):ホースの先端に取り付けられた噴射部。CO2を直接防護対象物に向けて放射する
移動式で使用できる消火薬剤
移動式は不活性ガス消火設備(CO2等)・粉末消火設備に適用されます。ハロゲン化物消火設備(HFC-227ea・HFC-23等)は一般に全域・局所放出方式で使われ、移動式の適用は限定的です。
CO2移動式の安全上の注意
CO2消火設備の移動式は、人が操作するため安全対策が重要です。
- CO2は濃度が上がると人体に有害なため、操作者は放射方向に立たず側方から操作する
- 密閉された空間では移動式を使用しない(全域放出方式を用いる)
- 操作後は換気を確実に行い、防護区画内のCO2濃度を下げてから入室する
試験の出題ポイント
- 「移動式の不活性ガス消火設備でホースのノズルが防護対象物に届く距離は何m以内か」→ 答え:15m以内
- 「移動式と局所放出方式の最大の違いは何か」→ 答え:移動式は人が手動でホースを操作する。局所放出方式は固定ヘッドから自動放出する
- 「移動式消火設備が設置できる場所の特徴は何か」→ 答え:全域放出が難しい広い空間・換気のある場所
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出典:消防法施行規則第19条(不活性ガス消火設備の移動式に関する基準)・第20条(粉末消火設備)。
作成日:2026年11月5日

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