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三相誘導電動機はクレーンの主電動機として広く使われており、「原動機及び電気に関する知識」科目の最頻出テーマです。同期速度の計算・すべり・特徴の3点を押さえれば、この科目の得点が安定します。
出典:安全衛生技術試験協会 クレーン・デリック運転士(限定なし)受験案内
三相誘導電動機が使われる理由
クレーンには直流電動機・三相誘導電動機など複数の電動機が使われますが、三相誘導電動機が主流になっている理由は次のとおりです。
- ブラシ(整流子)がないため保守が少ない
- 構造が比較的単純で堅牢
- 工場・建設現場に供給されている三相交流電源に直接接続できる
- インバータ制御と組み合わせて無段階速度制御ができる
同期速度の計算(最重要)
三相誘導電動機の固定子(ステーター)に三相交流を流すと、回転磁界が生まれます。回転磁界の回転速度を「同期速度」といいます。
同期速度(rpm) = (120 × 周波数) ÷ 極数
計算例
| 周波数 | 極数 | 同期速度(rpm) |
|---|---|---|
| 50Hz | 4極 | (120×50)÷4 = 1,500 |
| 60Hz | 4極 | (120×60)÷4 = 1,800 |
| 50Hz | 6極 | (120×50)÷6 = 1,000 |
| 60Hz | 6極 | (120×60)÷6 = 1,200 |
日本では東日本50Hz・西日本60Hzで電源周波数が異なります。試験では問題文に周波数と極数が与えられるので、公式に代入して計算します。
すべりとは何か
三相誘導電動機の回転子(ローター)は、回転磁界に引き込まれて回転しますが、回転磁界と全く同じ速度では回転しません。回転磁界より少し遅く回転します。この差を「すべり」といいます。
すべり s = (同期速度 – 実際の回転速度) ÷ 同期速度
すべりが0なら同期速度と全く同じ(実際には起こらない)。すべりが大きいほど、回転子の回転が遅い。負荷(荷重)が増えるとすべりが大きくなります。
三相誘導電動機の主な特徴
| 項目 | 特徴 |
|---|---|
| 回転速度 | 同期速度よりすべり分だけ遅い |
| 始動トルク | 大きくない(スターデルタ起動等で始動電流を抑制) |
| 速度制御 | インバータ(周波数変換)で無段階制御が可能 |
| 保守性 | ブラシなし・堅牢で保守が少ない |
試験での出題ポイント
- 同期速度の計算式(「120×周波数÷極数」)
- 実際の回転速度は同期速度より遅い(すべりがある)
- 極数が増えると同期速度が低下する
- 負荷が増えるとすべりが大きくなる
- 三相誘導電動機の特徴(ブラシなし・インバータ制御と相性が良い)
三相誘導電動機の問題演習
公表問題では同期速度の計算問題が必ず出題されます。解き方を確認します。
例題1
「周波数50Hzの電源に接続した、極数4の三相誘導電動機の同期速度を求めよ。」
解:同期速度 = (120 × 50) ÷ 4 = 6,000 ÷ 4 = 1,500 rpm
例題2
「周波数60Hzの電源で、同期速度が1,200rpmのとき、極数はいくつか。」
解:極数 = (120 × 60) ÷ 1,200 = 7,200 ÷ 1,200 = 6極
例題3
「同期速度1,500rpm、実際の回転速度1,440rpmのとき、すべりはいくつか。」
解:すべり = (1,500 – 1,440) ÷ 1,500 = 60 ÷ 1,500 = 0.04(4%)
直流電動機と三相誘導電動機の比較
クレーン用電動機として、かつては直流電動機も多く使われていました。現在は三相誘導電動機が主流ですが、試験では2種類の特徴の違いが出題されます。
| 比較項目 | 直流電動機 | 三相誘導電動機 |
|---|---|---|
| 電源 | 直流 | 三相交流 |
| ブラシ・整流子 | あり(保守が必要) | なし(保守が少ない) |
| 速度制御 | 電圧・界磁電流で制御しやすい | インバータが必要 |
| 特徴 | 速度制御性が高い・構造が複雑 | 堅牢・保守少・インバータ制御で高性能化 |
過去問から見た出題頻度の高いポイント
過去問(公表問題)での出題頻度をもとに、優先して覚えるべき内容を整理します。
- 同期速度の計算:ほぼ毎回出題。「120×周波数÷極数」の公式は確実に覚える
- すべりの定義:「実回転速度は同期速度より遅い」「負荷が増えるとすべりが大きくなる」
- 三相誘導電動機の特徴:「ブラシがない」「インバータで速度制御できる」
- 電圧と回転数の関係:電源の周波数が変わると同期速度が変わる(インバータの原理)
クレーンの速度制御方式の整理
クレーンの巻き上げ速度・走行速度を制御する方式には次のものがあります。試験では「どの制御方式か」を問われます。
| 制御方式 | 仕組み | 特徴 |
|---|---|---|
| 段階制御(コントローラー操作) | 抵抗器を段階的に切り替えて速度を変える | 複数段階の速度切り替え。コントローラーの段数で速度が決まる |
| インバータ制御 | 電源周波数を変えて三相誘導電動機の回転数を制御 | 無段階の速度制御・省エネ・始動電流抑制 |
| 電磁ブレーキ制御 | 電源を切るとスプリングがブレーキを押し付ける。電源ON時は解放 | フェイルセーフ(電源喪失時に自動で制動) |
学習の優先順位
原動機及び電気に関する知識は10問・30点の配点があります。計算問題1〜2問と知識問題8〜9問という構成が多く、計算問題(同期速度)を確実に取りながら知識問題で上積みする戦略が効果的です。
- 最優先:同期速度の計算(毎回出題)
- 次点:三相誘導電動機の特徴(ブラシなし・インバータ)、ブレーキの種類
- 余力があれば:スターデルタ起動の詳細・電磁接触器の仕組み
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本記事は安全衛生技術試験協会の受験案内および出題基準に基づきます。受験前に安全衛生技術試験協会の公式サイト(https://www.exam.or.jp/)でご確認ください。

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