居宅介護支援の処遇改善加算、令和8年6月から何が変わったか。

居宅介護支援の処遇改善加算、令和8年6月から何が変わったか。 介護

居宅介護支援の処遇改善加算は、令和8年6月から大きく変わりました。それまでは居宅介護支援には処遇改善加算の算定枠がありませんでしたが、令和8年6月の報酬改定で新たに2.1%の加算が設けられました。1事業所あたりの月次の収入増加は担当件数によって異なりますが、担当件数40件で月数万円規模の加算が見込まれます。

担当件数・要介護度・加算・地域区分を入力して開業後の収支を試算できます。
→ 居宅介護支援事業所(ケアマネ事務所)の開業 収支シミュレーター
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令和8年6月以前の居宅介護支援の処遇改善加算

他の介護サービス(訪問介護・通所介護等)には処遇改善加算・特定処遇改善加算・ベースアップ等支援加算が設けられ、職員の給与改善のための加算が積み上げられてきました。

しかし居宅介護支援(ケアマネ事業所)は、こうした処遇改善加算の対象外として長年扱われてきました。理由として「主任ケアマネジャー等の専門資格者が多く、介護報酬のなかで相応の報酬が設定されている」という整理がされてきた経緯があります。

この点が居宅介護支援の経営者・ケアマネジャーから長く課題として指摘されており、令和6年度の介護報酬改定の議論でも取り上げられました。

令和8年6月から何が変わるか

令和8年6月施行の介護報酬改定において、居宅介護支援にも処遇改善加算が新設されました。加算率は2.1%です。

処遇改善加算2.1%の収入への影響

加算率2.1%は、「基本の居宅介護支援費に加算率を掛けた金額」が毎月上乗せされる仕組みです。担当件数ごとの月次収入(基本報酬のみ)に2.1%を掛けると、加算後の上乗せ額の目安が計算できます。

担当件数の目安 月次基本収入(概算) 処遇改善加算2.1%の月次増加額(概算)
20件(要介護1・2が10件、3〜5が10件) 約249,700円 約5,200円
30件(同比率) 約374,600円 約7,900円
40件(同比率) 約499,400円 約10,500円

※地域区分10円/単位・費(Ⅰ)の場合の概算。加算の有無や地域区分によって変動します。

月額で見ると担当件数によって増加額は小さく見えますが、年間では10万円前後の収入増になります。また特定事業所加算を算定している場合は、その分も基本報酬に加わるため、実際の処遇改善加算の算定額はこれより大きくなります。

処遇改善加算の使途

処遇改善加算は、職員の処遇(給与・賞与・手当)の改善に充てることが原則です。事業所の利益として留保するだけでは要件を満たせません。

加算を算定するためには、「介護職員処遇改善計画書」の作成と指定権者への届出が必要です。また算定した加算の使途について、年1回「実績報告書」を提出することが求められます。

処遇改善計画書の作成と届出のタイミング

令和8年6月から算定を開始するためには、原則として令和8年4月末日までに計画書の届出が必要です(自治体によって締め切りが異なる場合があります)。開業の準備段階で確認しておくことをお勧めします。

他の介護サービスの処遇改善加算との違い

訪問介護の処遇改善加算は最大で基本報酬の13.7%(加算Ⅰ)など大きな加算率が設定されているのに対し、居宅介護支援の2.1%は相対的に小さい水準です。

これは「処遇改善加算は直接介護・看護に従事する職員の処遇改善を目的としており、事務系職員が中心のケアマネ事業所とは性格が異なる」という考え方が背景にあります。ただし、居宅介護支援の人材確保・定着の課題は現場からも継続して指摘されており、今後の報酬改定で変化が生じる可能性もあります。

令和8年6月以降の収支試算で注意すること

令和8年6月から処遇改善加算が新設されたため、現時点からの収支計画には加算2.1%を組み込むことが現実的です。ただし加算の算定には届出と計画書の提出が前提になるため、算定開始のタイミングは事業所の体制整備と合わせて確認してください。

収支シミュレーターでも令和8年6月以降の加算2.1%を反映した試算が可能です。担当件数の見込みと合わせて確認することをお勧めします。

まとめ

  • 居宅介護支援には令和8年6月から処遇改善加算(2.1%)が新設された
  • 担当件数40件・地域区分10円の場合、月約1万円前後の上乗せが見込まれる
  • 算定には処遇改善計画書の届出(令和8年4月末日が目安)と年次の実績報告が必要
  • 加算は職員の処遇改善に充てることが条件。事業所の利益として留保するだけでは不可
  • 他サービスの加算率(訪問介護の最大13.7%等)と比べると小さいが、収入計画には組み込む

処遇改善加算2.1%を含む月次収入と3年分の収支を試算できます。
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【参考にした資料】
・厚生労働大臣が定める居宅介護支援に係る居宅介護支援費の算定に関する基準(告示第125号・令和6年3月改定)
・令和8年度介護報酬改定に関する審議報告(社会保障審議会介護給付費分科会・令和7年)
・厚生労働省「令和7年度介護事業経営概況調査」(令和7年5月)

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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