訪問看護の加算の一覧。介護保険と医療保険、それぞれの種類と金額をまとめる。

訪問看護の加算は、介護保険と医療保険で体系がまったく異なります。介護保険の加算は「単位」で表され、医療保険の加算は「円」で直接定められています。この記事では介護保険・医療保険それぞれの主な加算を表にまとめ、新規開業の段階で算定できるものとできないものの判断基準を整理します。

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介護保険の主な加算の一覧

介護保険の加算は、利用者1人あたり月単位や1回単位で算定します。以下の金額は令和8年10月時点の単位数で、介護報酬の告示(令和6年厚生労働省告示第86号)に基づきます。実際の金額は1単位あたりの単価(地域区分によって10.00円〜11.40円)を掛けて計算します。

加算の名称 単位数 算定単位 概要
緊急時訪問看護加算 I 600 月 24時間対応体制あり・週1回以上20分以上の訪問
緊急時訪問看護加算 II 574 月 同上(IとIIの要件の差は最新の告示でご確認ください)
特別管理加算 I 500 月 特別な医療管理(点滴管理、人工呼吸器等)が必要な利用者
特別管理加算 II 250 月 特別管理加算Iの対象より軽度の医療管理
ターミナルケア加算 2,500 死亡月 利用者が在宅で死亡した月に1回算定
看護体制強化加算 I 550 月 過去6か月以上の実績要件あり(緊急時・特別管理・ターミナル)
看護体制強化加算 II 200 月 同上(IよりIIの実績要件がやや低い)
初回加算 I 350 回 初めて訪問看護を提供した月の初回訪問時
初回加算 II 300 回 同上(IとIIの要件の差は最新の告示でご確認ください)
サービス提供体制強化加算 I 6 回 常勤看護師の割合が一定以上の場合
サービス提供体制強化加算 II 3 回 同上(Iより要件がやや低い)
複数名訪問加算(I) 254または402 回 2名以上の看護職員が同時に訪問した場合(訪問する職員の組み合わせ等によって異なります)
退院時共同指導加算 600 回 入院中の患者に対して退院前の共同指導を行った場合
処遇改善加算(令和8年6月〜) 所定単位数の1.8% 月 訪問看護が令和8年6月から新たに対象に

上の表はあくまで主要な加算の抜粋です。加算の一部は算定要件として「対象となる利用者の割合が一定以上であること」や「前年度の実績があること」などが求められます。要件の詳細は最新の告示・解釈通知でご確認ください。

医療保険の主な加算の一覧

医療保険の加算は、円で直接定められています(令和8年厚生労働省告示第74号・令和8年6月1日〜)。介護保険と加算の名称が似ていても、金額の体系はまったく別です。

加算・療養費の名称 金額(円) 算定単位 概要
24時間対応体制加算 6,800(負担軽減あり6,520) 月 24時間連絡・緊急訪問できる体制を整えている場合
特別管理加算 2,500(重症度高5,000) 月 特別な医療管理が必要な利用者
緊急訪問看護加算 2,650(月15日目以降2,000) 回 緊急の訪問を行った場合(24時間対応体制がある場合)
ターミナルケア療養費 25,000 死亡月 在宅での看取りを行った月に算定
退院時共同指導加算 8,000 回 入院患者の退院前に指導を行った場合
情報提供療養費 1,500 回 主治医・市区町村等への情報提供を行った場合
夜間・早朝加算 2,100 回 夜間・早朝の時間帯に訪問した場合
深夜加算 4,200 回 深夜の時間帯に訪問した場合
長時間訪問看護加算 5,200 回 90分以上の訪問を行った場合
難病等複数回訪問加算 4,500(1日2回) 回 難病等の患者に1日複数回訪問した場合
乳幼児加算 1,400 回 6歳未満の乳幼児に訪問した場合
ベースアップ評価料(I) 1,050(令和9年6月〜2,100) 月 賃金改善の取り組みを行っている場合

新規開業では算定できない加算がある

加算の中には、過去の実績に基づいて届け出るものがあります。開設直後には実績そのものがないため、これらは算定できません。

代表的なのが、介護保険の看護体制強化加算です。届け出のためには、前の6か月間に緊急時訪問看護加算を算定した利用者が全利用者の50%以上、特別管理加算を算定した利用者が20%以上、前の12か月間にターミナルケアを行った利用者が年5名以上(加算I)または1名以上(加算II)といった実績要件を満たす必要があります(厚生労働省告示第95号)。

また、医療保険の機能強化型管理療養費(管理療養費のうち機能強化型1〜3の高い区分)も、常勤看護職員数の要件以外にターミナルケアの実績などが求められるため、新規開業では算定できません。

一方、緊急時訪問看護加算や特別管理加算は、対象の利用者がいて体制要件を満たせば開設直後から算定できます。初回加算も、新しい利用者を迎えるたびに算定できます。

月額加算は訪問回数に関わらず利用者ごとに算定する

緊急時訪問看護加算・特別管理加算・24時間対応体制加算(医療)などの月額加算は、その月に訪問した回数に関わらず、対象の利用者1人につき1か月に1回算定します。たとえば、特別管理加算Iの対象となる利用者が1人いれば、その月の訪問が1回であっても500単位(介護保険の場合)が加算されます。

この特性から、医療処置が必要な重症利用者を受け入れた場合、訪問回数に対して月次収入が大きく上乗せされる仕組みになっています。

加算が収入に与える影響の目安

仮に介護保険の利用者1人あたりの月の加算を試算してみます(地域区分「その他」で1単位10.00円)。

  • 緊急時訪問看護加算 I(600単位): 6,000円/月
  • 特別管理加算 I(500単位): 5,000円/月
  • 合計: 11,000円/月(この2つを両方算定する場合)

介護保険の訪問看護(30〜60分)の基本報酬が1回あたり823単位(8,230円)であることを考えると、1か月に2回の訪問でほぼ同等の加算収入が得られる計算です。

加算の収入全体への影響や、利用者ごとの試算は収支シミュレーターで確認できます。

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参照した資料
厚生労働省告示第86号(指定居宅サービス介護給付費単位数表・令和6年度)、厚生労働省告示第74号(訪問看護療養費・令和8年6月1日〜)、老発0313第6号(処遇改善加算・訪問看護を対象化)、厚生労働省告示第95号(看護体制強化加算の施設基準)。数値は令和8年10月時点。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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