データマネジメント試験について調べると、出題範囲はこのページ、サンプル問題は別のページ、ITパスポートとの違いはまた別のページと情報が散らばっていて、全体像がつかみにくいと感じた方が多いはずです。このページは、その「全体像」を1枚にまとめた案内図です。試験の位置づけ、出題範囲、サンプル問題の解説、ITパスポートとの違い、そして現時点でまだ分かっていないことまで、順番に並べました。
数字や制度の内容は、すべてIPA(独立行政法人情報処理推進機構)が公表している資料にもとづいています。2027年度に新設される予定の試験で、名称も出題範囲も現時点では「仮称」「案」の段階です。年度が進むにつれて内容が変わる可能性がありますので、受験の前には必ず公式サイトで最新の情報を確認してください。
まず結論:分かっていること・まだ分かっていないこと
| 項目 | 現時点(2026年9月)の状況 |
|---|---|
| 試験名 | データマネジメント試験(仮称)※正式名称は未確定 |
| 実施開始時期 | 2027年度夏頃〜秋頃 |
| 実施方式 | CBT方式(会場・日時を自分で選んで随時受験。年1回の固定日程ではない見込み) |
| 試験時間・問題数 | 科目Aと科目Bを合わせて120分。科目A48問・科目B12問 |
| 出題範囲 | シラバス(案)Ver.0.1として公表済み(2026年8月) |
| サンプル問題 | 科目A3問・科目B2問を公表済み(2026年6月) |
| 合格基準・配点・受験料 | 未公表 |
| 受験資格 | 試験区分専用の案内はまだ未公表 |
出典:IPA「新試験制度のサンプル問題について」、「情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験 出題範囲等の改定案Ver.1.0」、「データマネジメント試験(仮称)シラバス(案)Ver.0.1」
そもそも、どんな試験か
IPAの改定案では、データマネジメント試験の概要を「データ・AIを効果的・効率的に利活用するデータマネジメントの基本的な知識及び技能が、目標とする水準に達していることを評価する」としています。対象はデータベースの専門家やデータサイエンティストではなく、日々の業務でデータを扱う一般のビジネスパーソンです。
目標とするスキル水準として、改定案には次の7項目が挙げられています。
- データの意味やデータ間の関係、利用目的やアクセス範囲、品質に関する取扱いルールを理解し、それらに沿ってデータを適切に扱う
- データを扱う過程で不備や不整合、ルールの曖昧さという問題を発見した場合に対応方法を検討し、データマネジメントの管理主体者に報告・提案する
- 必要なデータを特定して選定し、価値創出や意思決定につながる洞察が得られるように活用する
- データを活用して行った意思決定や取組の効果を検証し、課題を明確にして継続的に改善する
- データ活用の意義を啓発し、組織内で知識・ノウハウを共有して、データ活用の組織文化を定着させる
- データ活用やデジタル技術(AIを含む)に関する各種動向を把握し、概念実証(PoC)の結果から新たな取組の導入を判断する
- データ・AIの効果的・効率的な活用に関係する、ビジネスプロセス、組織活動、プライバシー関連法規などの基本的な知識
一言でいえば、「データベースを設計・構築する専門家」ではなく「日々の仕事でデータを扱いながら、データの意味・ルール・品質を正しく理解し、問題があれば適切な相手に報告・相談できる人」を評価する試験です。
ITパスポートとの違い:何が「次のステップ」なのか
IPAはこの試験を「ITパスポート試験の次のステップ」と位置づけています。ただし、ここで誤解しやすい点があります。「次のステップ」は学習内容の連続性や難易度の目安を示す表現であり、ITパスポートに合格していないと受験できない、という意味ではありません。
情報処理技術者試験は制度全体として、年齢・学歴・実務経験による受験制限がないことで知られています。現行の試験でも、基本情報技術者試験に合格していなくても応用情報技術者試験を直接受験できるように、下位の試験に合格していることを上位試験の受験条件にしない仕組みが続いています。データマネジメント試験について「ITパスポート合格が必須」と明記した資料は見当たらず、この試験も単独で出願・受験・合否が完結する独立した試験区分になると考えられます(正式な受験資格は、今後公表される受験案内で確定します)。
内容面での違いを整理すると、次のようになります。
| 項目 | ITパスポート試験 | データマネジメント試験(仮称) |
|---|---|---|
| 対象 | すべての社会人・学生(IT・非ITを問わない) | 主にビジネス部門でデータを扱う人 |
| 出題範囲 | ビジネス・データ利活用・組織活動・デジタル技術・システム開発運用・セキュリティ・倫理コンプライアンスの7分野を幅広く浅く | 7分野のうちデータマネジメント・データ分析利活用・AI利活用を重点的に、他は基礎知識として |
| 科目構成 | 知識中心の1科目(100問) | 知識を問う科目A(48問)+実務のケースで技能を問う科目B(12問) |
出典:IPA「情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験 出題範囲等の改定案Ver.1.0」
出題範囲:科目Aは3つの重点分野+その他4分野
データマネジメント試験のシラバス(案)Ver.0.1では、科目A(知識)の出題範囲を「重点分野」と「その他の分野」に分けています。
| 分類 | 分野 | 中身のイメージ |
|---|---|---|
| 重点分野 | データマネジメント | データガバナンス、データ品質管理、メタデータ管理、データライフサイクル |
| データ分析・データ利活用 | データ基盤(データレイク・DWH等)、統計的手法、可視化 | |
| AI利活用 | AI社会原則、識別AI・生成AI・AIエージェントの活用 | |
| その他の分野 | デジタル技術(データベース) | データアーキテクチャ、E-R図などのデータベース設計の基礎 |
| セキュリティ | 情報セキュリティマネジメント、リスクマネジメント | |
| 情報倫理・AI倫理 | ハルシネーション、データのねつ造・改ざん・盗用 | |
| 法規 | 著作権法、個人情報保護法(匿名加工情報など) |
出典:IPA「データマネジメント試験(仮称)シラバス(案)Ver.0.1」
科目B(技能)は、次の4つの大項目・16の小項目で構成されています。
- データの適切な取扱いに関すること:データの定義・内容の確認、データ間の関係と整合性、利用目的・アクセス範囲に基づく取扱い、品質・メタデータの確認と問題発見時の対応、AI活用時の留意事項、非構造化データの取扱い
- データ活用による意思決定、検証と改善に関すること:目的に沿うデータの特定と選定、データ分析の実施、洞察の導出と意思決定への反映、対応結果の検証と改善、プロセスの改善と教訓の共有
- データ活用の組織文化の醸成に関すること:意義の理解・普及、協働による環境の形成・定着
- データマネジメントの成熟度向上に関すること:技術動向の把握、PoCの企画・実施、実施結果の共有・提案
科目Bは知識の暗記ではなく、「架空の会社で、こういう状況のとき、データオーナーとして・担当者として何をするのが適切か」を判断させるケース問題が中心になる見込みです。実際、公表されているサンプル問題2問はどちらも、架空の会社(A社・C社)を舞台にした長文のケースになっています。
公式サンプル問題を解説
IPAが2026年6月に公表したサンプル問題は、科目A3問・科目B2問の合計5問です。すべて正解・出題趣旨つきで公表されています。ここでは科目Aの3問を簡単に紹介します(科目Bの長文ケース問題は、当サイトのAI問題集アプリで実際に解いていただくのが分かりやすいです)。
科目A 問1は、データガバナンスを確保する目的を問う問題でした。正解は「データの品質やセキュリティを維持し、意思決定の精度向上・法令遵守などを実現することで組織の価値と信頼を高めるため」で、「部門ごとにデータを分断(サイロ化)する」という選択肢はデータガバナンスが解消すべき問題であり、不正解でした。
科目A 問2は、データ品質を劣化させる「望ましくない対応」を選ぶ問題でした。正解は「入力規則やバリデーションを設けず、入力の形式や表現を登録担当者の都度の判断に任せる」という対応で、逆に「データスチュワードが関係組織と連携して品質管理を担う」「名寄せ・重複排除をルールに沿って実施する」は、どちらも望ましい対応として不正解の選択肢に含まれていました。
科目A 問3は、ビジネスメタデータ(データの意味や利用ルールの説明)の整備が組織の課題になりやすい理由と、その解決策を問う問題でした。正解は「ビジネス用語集(ビジネスグロッサリー)を各事業部門が参画して組織全体向けに整備し、継続的に管理する」で、情報システム部門だけで抱え込んだり、一度整備したら更新しないという対応は不正解でした。
3問に共通するのは、「専門知識を暗記しているか」よりも「データを組織でどう扱うのが適切か、という考え方が身についているか」を問う作りになっている点です。過去問という蓄積がまだない試験なので、この「考え方」を出題範囲の用語とセットで理解しておくことが対策の中心になります。
2027年度の情報処理技術者試験、全体像はこうなる
データマネジメント試験は単独の新設ではなく、2027年度に予定されている情報処理技術者試験全体の再編の一部です。改定案によると、再編後の試験区分は次のようになります。
| 試験区分 | 対象 |
|---|---|
| ITパスポート試験 | すべての社会人・学生 |
| データマネジメント試験(仮称) | データを扱うビジネスパーソン(このページの試験) |
| 情報セキュリティマネジメント試験 | 部門の情報セキュリティを担う人 |
| 基本情報技術者試験 | システム・ソフトウェアを作る人 |
| プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称・マネジメント/データ・AI/システムの3区分) | 現行の応用情報技術者試験・高度試験に相当する専門人材 |
| 情報処理安全確保支援士試験 | サイバーセキュリティの専門家 |
出典:IPA「情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験 出題範囲等の改定案Ver.1.0」
この中で、現行の応用情報技術者試験と9つの高度試験を統合して再編される「プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)」の対策アプリも、当サイトで別途用意しています。データマネジメント試験と合わせて、2027年度の制度改正に備えたい方はこちらもご覧ください。
勉強の進め方:過去問がない試験、頼りになるのはシラバスとサンプル問題
データマネジメント試験は2027年度に始まる新設試験のため、本番の過去問題はまだ存在しません。頼りになるのは、IPAが公表しているシラバス(案)の用語例と、5問の公式サンプル問題です。シラバスには、各分野で「目標とする知識」の用語例が具体的に列挙されているので、これを一つずつ理解しておくことが、過去問がない中での最も筋の良い対策になります。
この考え方にもとづいて作ったのが、当サイトのAI問題集アプリです。IPAが公表しているシラバス(案)の分野・用語例をもとに、AIがその場で4択問題と解説を作ります。文部科学省公表の登録日本語教員アプリと同じ仕組みで、公式サンプル問題(全5問)はそのまま無料で解け、AIが生成する問題にも出題根拠(シラバスのどの項目にもとづく問題か)を毎回表示します。科目A・科目Bを混合した模試モードも使えます。
無料の範囲でも公式サンプル問題とAI生成問題を1日3問まで解けます。買い切り980円で、AI生成問題が無制限になり、模試モードもフルに使えます。シラバスが改訂された場合も、追加料金なしでアプリの内容を最新版に更新します。
よくある質問
Q. ITパスポートに合格していないと受験できませんか。
情報処理技術者試験は全体として、下位の試験に合格していることを上位試験の受験条件にしていません(現行制度でも、基本情報に合格していなくても応用情報を直接受験できます)。データマネジメント試験について「ITパスポート合格が必須」と明記した資料は見当たらず、単独で受験できる試験になると考えられます。正式な受験資格は、今後公表される受験案内で確定します。
Q. 試験日はいつですか。
2027年度夏頃〜秋頃に開始予定で、CBT方式(会場・日時を自分で選んで随時受験)になる見込みです。液化石油ガス設備士や登録日本語教員のような「年1回の固定日程」ではなく、申込が始まればいつでも受けられるタイプの試験になりそうです。具体的な出願開始日・実施開始日はまだ公表されていません。
Q. 「データマネジメント試験(仮称)」の「仮称」はいつ取れますか。
公表されていません。試験区分の正式名称は、今後の受験案内の公表とあわせて確定するとみられます。このページでは、名称が変わり次第すぐに反映します。
Q. 登録すれば「データマネージャー」のような資格が名乗れますか。
情報処理技術者試験の各区分は、合格すると「その区分に合格した」という事実が残る国家試験であり、業務独占資格(その資格がないとできない業務がある)ではありません。ITパスポートや応用情報技術者試験と同じ位置づけで、知識・技能の証明として履歴書や社内評価に活用する形になります。
Q. データベーススペシャリストの後継試験ですか。
いいえ、別の試験です。2027年度の再編では、現行の応用情報技術者試験と9つの高度試験(データベーススペシャリスト試験を含む)がまとめて「プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)」の3区分に統合される計画で、データベースやデータエンジニアリングに近い内容を扱うのは、その中の「プロフェッショナルデジタルスキル(データ・AI)試験(仮称)」です。データマネジメント試験は、これらの専門技術者向けの試験とは別に、もっと裾野の広い「ビジネスパーソン向け」の試験として新設されるもので、対象者が異なります。
まとめ
- データマネジメント試験(仮称)は、2027年度夏頃〜秋頃にIPAが新設予定の国家試験です。「ITパスポートの次のステップ」と位置づけられていますが、合格が受験の条件になるわけではありません。
- 試験時間は科目A・B合わせて120分、科目A48問・科目B12問。合格基準・配点・受験料はまだ公表されていません。
- 出題範囲はデータマネジメント・データ分析利活用・AI利活用の3分野が重点で、科目Bは実務のケースで判断力を問う技能試験です。
- 過去問はまだ存在しないため、IPA公表のシラバス(案)とサンプル問題5問が頼りになります。
- 2027年度の情報処理技術者試験の大規模再編の一部で、ITパスポート・プロフェッショナルデジタルスキル試験・情報処理安全確保支援士などと同時に生まれ変わります。
この記事は、IPAの発表(受験案内・シラバスの正式版など)が出るたびに更新していきます。出題範囲の用語を一つずつ確認しながら問題演習をしたい方のために、AI問題集アプリも用意しています。公式サンプル問題は無料で解けます。
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参考資料(すべてIPA・独立行政法人情報処理推進機構)
- 「新試験制度のサンプル問題について」(2026年6月公表)
- 「データマネジメント試験(仮称)科目A サンプル問題」「同 科目B サンプル問題」
- 「データマネジメント試験(仮称)シラバス(案)Ver.0.1」(2026年8月掲載)
- 「情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験 出題範囲等の改定案Ver.1.0」(2026年3月)
- 「試験制度に関するよくある質問」(試験問題の使用について)


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