クレーン免許の種類・区分一覧と選び方【限定なし・クレーン限定・床上限定・移動式】

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クレーン・デリック運転士免許には「限定なし」「クレーン限定」「床上運転式クレーン限定」の3区分があり、移動式クレーン運転士は別の国家資格です。工場・建設・港湾など現場でよく使われるのはクレーン限定で、令和6年度受験者は17,501人です。この記事では4つの免許区分の特徴・取得方法・試験概要を比較します。

出典:安全衛生技術試験協会「令和6年度の各種免許試験(学科)の合格率一覧表」(2025年5月公表)・同協会受験案内

クレーン系免許は4区分(厳密には異なる免許も含む)

「クレーンの免許」と一口にいっても、対象となる機械と取得方法によって複数の資格が存在します。

免許・資格名 対象機械 実施機関
クレーン・デリック運転士(限定なし) クレーン全種+デリック全種(つり上げ荷重5t以上) 安全衛生技術試験協会
クレーン・デリック運転士(クレーン限定) クレーン全種(つり上げ荷重5t以上) 安全衛生技術試験協会
クレーン・デリック運転士(床上運転式クレーン限定) 床上から操作する天井クレーン等(つり上げ荷重5t以上) 安全衛生技術試験協会
移動式クレーン運転士 トラッククレーン・クローラークレーン等(移動式・つり上げ荷重5t以上) 安全衛生技術試験協会

出典:労働安全衛生法施行令第20条・クレーン等安全規則

クレーン・デリック運転士と移動式クレーン運転士は別々の国家試験です。両方持つことで、固定式クレーンと移動式クレーンのどちらも操作できるようになります。

クレーン・デリック運転士(限定なし)

最も幅広い区分で、クレーン全種とデリック全種(つり上げ荷重5t以上)を運転できます。

取得に向いている人

  • 建設・港湾業務でデリックを使う可能性がある
  • 将来の選択肢を広げたい
  • すでにクレーン限定免許を持ち、限定解除を検討している

試験の概要

  • 学科:4科目・40問・100点・2時間30分
  • 合格基準:各科目40%以上かつ合計60点以上
  • 令和6年度合格率:68.2%(受験者893人)
  • 手数料:学科8,800円・実技14,000円

クレーン・デリック運転士(クレーン限定)

クレーン全種(デリックを除く)を対象とした区分で、受験者数が最も多い主流の免許です。工場・建設・倉庫など大多数の現場のニーズに対応しています。

取得に向いている人

  • 工場・倉庫・建設現場でクレーンを使う業務に就いている・就く予定
  • デリックを扱う予定がない
  • 受験者数が多く、参考書・情報が豊富なため学習しやすい

試験の概要

  • 学科:4科目・40問・100点・2時間30分
  • 合格基準:各科目40%以上かつ合計60点以上
  • 令和6年度合格率:59.1%(受験者17,501人)
  • 手数料:学科8,800円・実技14,000円

クレーン・デリック運転士(床上運転式クレーン限定)

床上から操作できるタイプの天井クレーン(床上操作式クレーン・床上走行式クレーン)に操作範囲が限定された区分です。

特徴

  • 対象は「床上から操作できるクレーン」に限定される
  • 実技試験は「クレーンの運転のための合図」の科目のみ(クレーンの運転は免除)
  • 工場内の軽作業向けに設けられた区分

試験の概要

  • 学科:4科目(限定なし・クレーン限定と同じ構成)
  • 実技:クレーンの運転のための合図のみ
  • 手数料:学科8,800円・実技14,000円

この区分を取得した後、クレーン限定や限定なしへステップアップする場合は、「床上限定解除」の試験を受験します。

移動式クレーン運転士(参考)

移動式クレーン運転士は、クレーン・デリック運転士とは別の国家資格です。トラッククレーン・クローラークレーン・浮クレーンなど、陸上を移動できるクレーン(つり上げ荷重5t以上)を運転できます。

比較項目 クレーン・デリック運転士 移動式クレーン運転士
対象クレーン 固定式クレーン(天井・橋形・ジブ等)・デリック 移動式クレーン(トラック・クローラー等)
試験実施機関 安全衛生技術試験協会 安全衛生技術試験協会
科目 クレーン知識・法令・原動機電気・力学 移動式クレーン知識・法令・原動機電気・力学
令和6年度合格率(学科) 限定なし68.2%・クレーン限定59.1% 別の公表データで確認が必要

建設業や港湾荷役の現場では両方持つことが求められるケースもあります。クレーン・デリック運転士と移動式クレーン運転士の学科試験は、原動機電気と力学の内容が共通しているため、どちらかを先に取得すると科目免除を活用できます。

つり上げ荷重5t未満の場合は特別教育

つり上げ荷重5t未満のクレーンを運転するには、免許ではなく「クレーン運転業務特別教育」の修了で対応できます。特別教育は事業者が実施する教育訓練で、学科(約9時間目安)と実技(約4時間目安)から構成されます(実施機関によって異なります)。

5t未満のクレーンが職場にある場合、特別教育のみで業務に就けます。ただし、つり上げ荷重が5t以上のクレーンを操作するには免許が必要です。職場のクレーンの仕様を確認してから、必要な資格を判断してください。

4区分の比較まとめ

区分 運転範囲 受験者数(令和6年度) 合格率
限定なし クレーン全種+デリック 893人 68.2%
クレーン限定 クレーン全種 17,501人 59.1%
床上限定 床上操作式クレーン等 (上記と別集計) —
移動式クレーン 移動式クレーン全種 別試験 —

出典:安全衛生技術試験協会「令和6年度の各種免許試験(学科)の合格率一覧表」

どの区分を選ぶかは、職場で扱うクレーンの種類と将来のキャリアプランによって決まります。迷ったときはクレーン限定から取得し、必要に応じて限定解除・他区分へ進む方法が現実的です。

移動式クレーンとの免許区分の違い

クレーン・デリック運転士免許と移動式クレーン運転士免許は別の免許です。運転できるクレーンの種類が異なります。

免許の種類 運転できる主なクレーン 移動式クレーンの可否
クレーン・デリック運転士(限定なし) 天井クレーン・橋形・ジブ・デリックなど 不可(移動式は別免許)
クレーン・デリック運転士(クレーン限定) 天井クレーン・橋形クレーン・ジブクレーンなど(デリック除く) 不可
クレーン・デリック運転士(床上運転式限定) 床上運転式クレーンのみ 不可
移動式クレーン運転士 トラッククレーン・ラフテレーンクレーン・クローラクレーンなど 可(5t以上)

工場の天井クレーン(固定式)を運転する場合はクレーン・デリック運転士免許、建設現場のトラッククレーンを運転する場合は移動式クレーン運転士免許が必要です。両方の現場で働く場合は2つの免許を取得します。

免許取得後のキャリアと収入

クレーン・デリック運転士免許を持つ人材は、製造業・港湾・建設業など幅広い分野で求められています。

  • 製造業(工場):天井クレーンを使った組立ライン・材料搬入。正社員・派遣社員どちらの求人も多い
  • 港湾・倉庫業:コンテナターミナル・物流倉庫での荷役作業。夜勤・シフト制が多い
  • 建設業:クレーン・デリック免許に加えて玉掛け技能講習を取得すると活躍の幅が広がる

厚生労働省の賃金構造基本統計調査(令和5年)によると、クレーン運転士の平均年収は400〜500万円台が目安です。夜勤・危険手当が加算されるケースもあります。

免許証の更新・追記手続き

クレーン・デリック運転士免許に有効期限はありません。ただし、以下の場合は手続きが必要です。

  • 氏名・住所の変更:免許の書換え申請を都道府県労働局に行う
  • 免許証の紛失・損傷:再交付申請が必要(手数料あり)
  • 限定免許から上位免許への切替え:上位免許の試験に合格した場合、旧免許証を添付して新免許証を申請する

免許証は就業先に提示が必要な場合があります。大切に保管してください。

免許申請に必要な書類まとめ

書類 備考
免許申請書 都道府県労働局または安全衛生技術センターで入手
合格通知書または合格証書 試験合格の証明
本籍記載の住民票(コピー不可) 発行から6か月以内のもの
証明写真(縦30×横24mm) 申請書に貼付
収入印紙1,500円 申請書に貼付(割り印不要)

限定なし免許への変更(クレーン限定から)

クレーン限定免許を持っている場合、限定なし免許の試験を受けて合格することで、デリックの運転も可能になります。限定なし試験ではデリックに関する問題が追加されますが、すでにクレーン限定免許を持っている場合は一部科目が免除されます。

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玉掛け技能講習との組み合わせ

クレーン運転士免許を持っていても、荷物を吊り上げるためのワイヤーやスリングを掛ける作業(玉掛け作業)には別の資格が必要です。

  • つり上げ荷重1t以上のクレーン・移動式クレーンで玉掛けを行う場合:玉掛け技能講習修了証が必要
  • つり上げ荷重1t未満の場合:玉掛けの特別教育修了で可

クレーン運転士が玉掛け作業も兼ねる職場では、クレーン免許と玉掛け技能講習のセット取得が求められることが多くあります。玉掛け技能講習は全国各地の登録教習機関で受講でき、通常2〜3日間で修了します。費用は目安として15,000〜20,000円程度(機関により異なる)です。

移動式クレーン運転士免許との違い

移動式クレーン運転士免許は、クレーン・デリック運転士免許とは別の免許です。

免許の種類 対象機械 主な使用現場
クレーン・デリック運転士(限定なし/クレーン限定/床上限定) 定置式のクレーン・デリック(天井クレーン・橋形クレーン等) 工場・倉庫・港湾施設
移動式クレーン運転士 自走式または走行装置付きのクレーン(ラフタークレーン・オールテレーンクレーン・積載型トラッククレーン等) 建設現場・解体現場・搬入作業

どちらの試験も安全衛生技術試験協会が実施しており、試験科目の構成は類似していますが、出題内容はそれぞれの機械に特化しています。

段階的取得の推奨順序

クレーン系免許の取得順序に法的な決まりはありませんが、キャリアや現場の状況によって次のような順序が多く見られます。

  1. 玉掛け技能講習(最短2〜3日・最初に取得しやすい)
  2. クレーン・デリック運転士(クレーン限定)(工場・製造業で最も汎用的)
  3. クレーン・デリック運転士(限定なし)(クレーン限定取得後に限定解除)
  4. 移動式クレーン運転士(建設・現場系へキャリアを広げる際に)

床上運転式クレーン限定の活用場面

床上運転式クレーン限定は、床上から操作ペンダントスイッチや操作盤を使って制御する天井クレーンに限定された免許です。操作者が荷物と同じフロアを一緒に移動しながら操作する形式のクレーンが対象です。

小規模な製造業・物流倉庫では床上操作型の天井クレーンが多く使われており、この限定免許で業務が完結する職場も少なくありません。試験範囲はクレーン限定よりも若干狭いため、難易度は3区分の中で最も低い水準です。

各免許・資格の取得費用と学習期間の比較

資格 形式 学習期間の目安 費用の目安(試験料+教材等)
玉掛け技能講習 講習(2〜3日) 当日の講習のみ 15,000〜20,000円
クレーン・デリック(床上限定) 学科+実技試験 1〜2か月(学科) 学科8,800円+実技14,000円+教材・教習費
クレーン・デリック(クレーン限定) 学科+実技試験 1〜2か月(学科) 同上
クレーン・デリック(限定なし) 学科+実技試験 1〜2か月(学科) 同上
移動式クレーン運転士 学科+実技試験 1〜2か月(学科) 学科8,800円+実技14,000円+教材・教習費

出典:安全衛生技術試験協会 受験案内(2026年時点)

本記事の数値は安全衛生技術試験協会「令和6年度の各種免許試験(学科)の合格率一覧表」(2025年5月公表)に基づきます。受験前に安全衛生技術試験協会の公式サイト(https://www.exam.or.jp/)でご確認ください。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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