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ボイラーの伝熱は熱エネルギーをいかに効率よく缶水・蒸気に伝えるかに関わる基本概念です。一級ボイラー技士試験では伝熱の3形態(輻射・対流・伝導)とスケール・すすが伝熱に与える影響が問われます。
伝熱の3形態
1. 熱伝導(コンダクション)
固体内部で温度の高い部分から低い部分へ熱エネルギーが移動する現象です。ボイラー管壁を通した熱の移動がこれにあたります。
熱伝導量はフーリエの法則で表されます。
Q = λ × A × ΔT / δ
- Q:熱流量 [W]
- λ:熱伝導率 [W/(m·K)]
- A:伝熱面積 [m²]
- ΔT:温度差 [K]
- δ:壁厚 [m]
2. 対流伝熱(コンベクション)
流体(気体または液体)の流れによって熱が移動する現象です。ボイラー内では排ガスと管表面の間の熱移動(強制対流)や、缶水内での自然対流がこれにあたります。
対流熱伝達量:
Q = h × A × ΔT
- h:熱伝達係数(対流熱伝達率)[W/(m²·K)]
- 流速が大きいほど h が大きくなり、対流による熱移動が活発になる
3. 熱輻射(ふく射・放射)
物体が電磁波(赤外線等)として熱エネルギーを放出・吸収する現象です。炉内の火炎から管への直接的な熱移動が主な輻射伝熱です。輻射は媒体(空気・真空)を通じて伝わります。
輻射熱量はステファン=ボルツマンの法則で表されます。
Q = ε × σ × A × T⁴
- ε:放射率(黒体=1)
- σ:ステファン=ボルツマン定数(5.67×10⁻⁸ W/(m²·K⁴))
- T:絶対温度 [K](温度の4乗に比例するため、高温ほど輻射が支配的)
ボイラーにおける伝熱形態の分布
| 位置 | 主な伝熱形態 | 特徴 |
|---|---|---|
| 炉(燃焼室) | 輻射が主体 | 火炎温度1,000〜1,500℃で高温輻射が大きい |
| 煙道(対流伝熱面) | 対流が主体 | 過熱器・節炭器・空気予熱器で排ガスの対流熱を回収 |
| ボイラー管壁 | 伝導 | 外側から内側の缶水・蒸気へ伝導 |
スケール・すすが伝熱に与える影響
スケールの影響(缶水側)
管の缶水側にスケール(水垢)が堆積すると、スケールの熱伝導率が金属に比べて非常に低いため、伝熱を妨げます。
- 主なスケール成分の熱伝導率:CaCO₃≒1.0〜3.0 W/(m·K)(鉄鋼は約45)
- スケールが堆積すると管外側の温度が上昇し、管材の過熱・バーストの原因になる
- スケール防止には軟化処理・pH管理・スケール防止剤添加が有効
すす(ばいじん)の影響(排ガス側)
不完全燃焼で生じたすすが管の外側(排ガス側)に堆積すると、スケールと同様に伝熱を妨げます。すすの断熱効果は大きく、薄い層でも熱効率を大幅に低下させます。
- すす除去にはスートブロワー(蒸気や圧縮空気を吹き付けて堆積すすを除去する装置)を定期的に作動させる
- 燃料の完全燃焼管理が根本的なすす発生防止策
総括伝熱係数(U値)
ボイラー管の総括伝熱係数(K値またはU値)は、排ガス側熱伝達・管材伝導・缶水側熱伝達・スケール・すすの熱抵抗を直列に組み合わせた値です。
1/U = 1/h₁(排ガス側) + δ/λ(管壁) + 1/h₂(缶水側) + R_scale + R_soot
スケール・すすの熱抵抗(R_scale、R_soot)が大きくなると U値が低下し、同じ伝熱面積でも熱回収量が減ります。
試験対策ポイント
- 輻射:温度の4乗に比例・炉内が主体
- 対流:流速が大きいほど活発・煙道側が主体
- 伝導:フーリエの法則・管壁を通した熱移動
- スケール・すすは熱伝導を妨げ、管の過熱・バーストの原因になる
- スートブロワーでの定期的なすす除去が必要
まとめ
- 伝熱の3形態:輻射(炉内・高温)・対流(煙道側)・伝導(管壁)
- 輻射はステファン=ボルツマン則(T⁴に比例)・対流はフォルセル則(h×A×ΔT)
- スケール(缶水側)・すす(排ガス側)が堆積すると伝熱効率が低下
- スートブロワーと水処理管理で伝熱効率を維持する
出典:ボイラー及び圧力容器安全規則・ボイラー構造規格・JIS B 8223・安全衛生技術試験協会 公表試験問題
作成:fufumumu_design|更新:2026年11月
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