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ボイラーの熱効率は「燃料の持つ熱量のうち、どれだけを有効に蒸気・温水に変換できたか」を示す指標です。試験では熱効率の定義・4種類の熱損失の名称と内容・排気ガス温度と熱損失の関係が繰り返し出題されます。各熱損失の原因と対策を整理することが得点につながります。
熱効率の定義
ボイラーの熱効率は次のように定義されます。
熱効率(%)=(有効熱量 ÷ 燃料の低発熱量)× 100
- 有効熱量:ボイラーが発生する蒸気(または温水)に与えた熱量
- 燃料の低発熱量:燃料が持つ発熱量のうち、排気中の水蒸気の凝縮熱(潜熱)を除いた値(実際に回収できる熱量の基準)
- なぜ低発熱量を使うか:排気ガス中の水蒸気は実際にはほとんど凝縮しないため、潜熱は回収できない。したがって現実的な効率の基準として低発熱量(真発熱量)を使う
良好に管理されたボイラーの熱効率は85〜92%程度です。残りの8〜15%は熱損失として失われます。
4種類の熱損失
ボイラーで燃料を燃焼させても、その熱の一部は有効利用されずに失われます。主な熱損失は4種類あります。
| 熱損失の種類 | 内容 | 主な原因 |
|---|---|---|
| 排気熱損失 | 煙突から排出される排気ガスが持ち去る熱量 | 排気温度が高い・過剰空気が多い・伝熱面のすす付着 |
| 不完全燃焼熱損失 | COやすすなど未燃成分が持つ化学エネルギー | 空気不足・燃料と空気の混合不良・低負荷運転 |
| 放散熱損失(外壁放散損失) | ボイラー本体・配管の外壁から大気に放散される熱量 | 断熱不足・保温材の劣化・ボイラーが大きいほど表面積が大きくなる |
| ブロー熱損失 | 水処理のためのブロー(排出)で失う熱量 | ブロー量が多すぎる・濃縮倍数の管理不足 |
排気熱損失が最大の熱損失
4種類の熱損失の中で最も割合が大きいのが排気熱損失です。排気ガスは煙突から大気に捨てられるため、この温度を下げることが熱効率向上の最大ポイントです。
- 排気温度と熱効率の関係:排気温度が20℃下がると、熱効率は約1%向上するとされている
- 過剰空気と排気熱損失:空気比が高すぎると余剰空気が加熱されて排気ガス量が増え、排気熱損失が大きくなる
- 伝熱面のすす付着:すすが1mm積もると熱伝達が大幅に低下し排気温度が上昇する
エコノマイザ・空気予熱器による排気熱回収
排気熱損失を減らすために、排気ガスの熱を回収する装置が設置されます。
- エコノマイザ(節炭器):排気ガスで給水を予熱する装置。給水温度を上げることで燃焼室への熱量投入が減り熱効率が向上する
- 空気予熱器:排気ガスで燃焼用空気を予熱する装置。予熱された空気で燃焼効率が高まる
- いずれも排気ガスから熱を奪うため排気温度が下がり、排気熱損失が減少する
不完全燃焼熱損失の管理
不完全燃焼では燃料中の炭素がCO・すすとして排出されます。これらは燃えなかった可燃成分であり、その化学エネルギーが熱損失になります。
- CO 1m³が持つ熱量は約12.6MJ(完全燃焼すれば回収できた熱量)
- 不完全燃焼熱損失を減らすには:適切な空気比の維持・バーナーの霧化状態の点検・伝熱面のすす除去
放散熱損失の管理
ボイラー外壁・蒸気配管からの熱放散を最小化するには、保温材(断熱材)の維持管理が重要です。
- 保温材の破損・脱落は早期に補修する
- 高温配管・弁・フランジ部分の保温が漏れやすいため定期点検が必要
- ボイラー容量が小さいほど(表面積/体積比が大きいほど)放散熱損失の割合が大きくなる
試験頻出ポイントと誤りやすい箇所
- 熱効率の計算には低発熱量を使う(高発熱量ではない)
- 4種の熱損失のうち最大は「排気熱損失」
- 排気温度を20℃下げると熱効率が約1%向上する
- 空気比が高すぎる → 排気熱損失が増える(余剰空気の加熱分が捨てられる)
- 伝熱面にすすが1mm付着すると熱伝達が大幅に低下して排気温度が上昇する
この記事のまとめ
熱効率=有効熱量÷低発熱量×100で計算し、良好なボイラーでは85〜92%程度です。4種の熱損失のうち最大は排気熱損失で、排気温度を下げることが最大の改善策です。排気温度が20℃下がると熱効率は約1%向上します。エコノマイザ・空気予熱器は排気ガスの余熱を回収して排気熱損失を減らす装置です。空気比が高すぎると余剰空気の加熱分が排気熱損失を増やします。試験では熱効率の定義・4種の熱損失・排気温度と効率の関係が繰り返し問われます。
出典:安全衛生技術試験協会 公表試験問題・ボイラー及び圧力容器安全規則(e-Gov法令検索)
作成:fufumumu_design|更新:2026年11月
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