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給水装置はボイラーに水を供給するための設備全体を指します。二級ボイラー技士試験では給水ポンプ・インジェクター(蒸気噴射装置)の構造と特徴、給水弁・逆止め弁の設置基準がよく出題されます。インジェクターの仕組みは少し難しいですが、試験頻出なのでしっかり理解しましょう。
給水装置の種類
| 種類 | 仕組み | 特徴 |
|---|---|---|
| 給水ポンプ | 電動機(モーター)でポンプを回して給水をボイラーに送り込む | 給水量・圧力の調整が容易。最も一般的。電源が必要 |
| インジェクター(蒸気噴射式給水装置) | ボイラー自身の蒸気圧力を利用してノズルから高速で蒸気を噴射し、給水を引き込んでボイラーに押し込む | 電源不要(停電でも使える)。構造がシンプル。給水温度が高い(60℃以上)と作動しにくい |
給水ポンプの種類と構造
ボイラーに使われる給水ポンプは主に遠心ポンプ(ターボポンプ)です。羽根車(インペラー)が回転して水に遠心力を与え、高圧の吐出側に送り出します。
- 多段遠心ポンプ:複数の羽根車を直列につなぎ、高圧を得る。高圧ボイラーの給水に広く使用
- 渦巻きポンプ(シングルステージ):1段の羽根車で中低圧を得る。小型ボイラーに使用
- 渦流ポンプ(ウェスコポンプ):少量高圧の給水に適す。小型貫流ボイラーに多い
給水ポンプはボイラーの最高使用圧力より高い圧力で給水できる能力が必要です(差圧がないと水が入らないため)。
インジェクターの原理と仕組み
インジェクターはベルヌーイの定理を応用した装置です。高圧の蒸気をノズルで細く絞って高速(高速蒸気ジェット)で噴射すると、ベンチュリ管の原理により周囲の圧力が下がります(負圧が発生)。この負圧で給水を吸い込み、混合管で蒸気と水が混合・凝縮して速度エネルギーが圧力エネルギーに変換されます。最終的にボイラー内圧より高い圧力で水を押し込めます。
インジェクターの特徴
- 電源不要:停電時やバックアップとして有効
- 給水を蒸気で加熱できる:給水エンタルピが上がり、少し熱効率が良い
- 給水温度に制限あり:給水温度が高い(約60℃以上)と蒸気の凝縮が不十分になり、作動不安定になる
- 給水量の調整が難しい:圧力・温度条件が変わると流量が変化する
- 小型ボイラー・非常用として使用:大型・高圧ボイラーの主給水装置としては使われない
給水弁と逆止め弁の設置基準
ボイラー構造規格では、給水管の取付について次の要件を定めています。
- 給水弁(給水コック):給水管にはボイラー本体近くに給水弁を設ける。給水量を調整し、給水を停止できるようにする
- 逆止め弁:給水ポンプとボイラーの間(給水管)に逆止め弁を設ける。ボイラーの圧力で缶水が逆流して給水管・給水ポンプを損傷しないよう防止する
- 弁の順序(水の流れ方向):給水ポンプ出口 → 逆止め弁 → 給水弁 → ボイラー。逆止め弁はポンプ直後(ポンプ出口側)に設け、給水弁はボイラー本体直近に設ける
逆止め弁はポンプが停止したときや給水管が破損したときに缶水の逆流を防ぐ重要な安全部品です。
給水内管
給水がボイラー内に急激に入ると缶内の温度差による熱衝撃や、水面の波立ちが起きます。これを防ぐために給水内管(給水分散管)を設けます。給水内管は胴の内部に取り付けた管で、多数の小孔から給水を分散して缶内に供給します。特に安全低水面付近に開口するよう設計されています。
給水温度と脱気の重要性
給水中に溶存酸素が多いとボイラー内での腐食が促進されます(点食)。脱気器(ヒータ式・真空式)で給水を加熱または減圧して溶存酸素を除去してから給水することが、ボイラー腐食防止の基本です。脱気後の給水温度は通常90〜105℃程度になり、脱気器の水位管理も重要になります。
ウォーターハンマー(水撃)と給水装置の関係
ウォーターハンマー(水撃現象)は、蒸気配管や給水管内で蒸気が急激に凝縮したり、弁を急に閉めたりすることで、管内の流体に衝撃的な圧力が発生する現象です。
- 発生原因:蒸気管に凝縮水(ドレン)が溜まっている状態で蒸気を急に送ると、蒸気が水塊に衝突して大きな衝撃音(ドンッという音)と振動が発生する
- 給水管でのウォーターハンマー:給水弁を急激に開閉したときに発生することがある。特に止め弁を急閉すると管内圧力が瞬間的に高くなる
- 防止策:蒸気供給弁を徐々に開ける・ドレン抜き(凝縮水排出)を行ってから蒸気を通す・急激な弁操作を避ける
- 影響:配管継手の損傷・弁座の摩耗・計器の誤動作・最悪の場合は配管の破損につながる
試験ではウォーターハンマーは「燃料及び燃焼」ではなく「取扱い・給水装置」の文脈で出題されることがあります。給水管の弁操作に関連した問題に注意してください。
給水装置のトラブルと対処
| トラブル | 主な原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 給水ポンプが起動しない | 電源不良・モーター焼損・インターロック動作中 | 電源確認・モーター点検・インターロック原因除去後にリセット |
| 給水量が出ない(吐出量不足) | ポンプの空気かみ込み・羽根車摩耗・弁が絞られすぎている | エア抜き・羽根車点検交換・弁の開度確認 |
| インジェクターが作動しない | 給水温度が高い(60℃超)・蒸気圧力が低い・ノズル詰まり | 給水を冷却・蒸気圧力を確認・ノズル清掃 |
| 逆止め弁が逆流する | 弁座への異物かみ込み・弁体の摩耗・ばね損傷 | 分解清掃・摩耗部品の交換 |
| 給水管の凍結 | 冬季の低温による配管内水の凍結 | 保温材の施工・電気ヒーター設置・凍結時は蒸気・温水でゆっくり解凍(急熱は割れの原因) |
試験で間違えやすいポイント
- 「インジェクターは電気がなくても使える」は正しい。ただし「給水温度が高いと作動しにくい」点もセットで覚える。
- 「逆止め弁はポンプの入口側に設ける」は誤り。ポンプの出口側(ボイラー側)に設ける。
- 「インジェクターは大型・高圧ボイラーの主給水装置として最適」は誤り。大型・高圧には給水ポンプを使い、インジェクターは小型や補助に使う。
この記事のまとめ
- 給水装置には給水ポンプとインジェクターがある
- インジェクターは電源不要・蒸気圧力を利用・給水温度60℃以上だと作動不安定
- 給水管には給水弁と逆止め弁を設置。逆止め弁はポンプ出口(ボイラー側)に配置
- 給水内管で缶内への分散給水。脱気器で溶存酸素を除去して腐食を防ぐ
出典:ボイラー構造規格(昭和47年労働省告示第33号)・安全衛生技術試験協会 公表試験問題
作成:fufumumu_design|更新:2026年11月
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