放課後等デイサービスの感染症対策は、研修・訓練・委員会の3つが義務。
放課後等デイサービス(放デイ)の感染症・食中毒対策には、次の3つが義務です(指定通所支援の人員及び設備及び運営に関する基準 第41条。児童発達支援も同じ)。
- 研修:年2回以上(新規採用時は別に実施が必要)
- 訓練(シミュレーション):年2回以上
- 委員会:おおむね3か月に1回以上
回数は条文に定めがなく、解釈通知(令和6年改正の新旧対照表)に記載されています。このページでは、放デイと児発の現場に合った感染症対策の進め方を整理します。
放デイならではの感染リスクを把握する。
放デイは障害のある子ども(学齢期)が通う事業所です。子ども同士が近い距離で過ごすという特性に加え、学校生活との往来によって特有の感染リスクがあります。
学校からの持ち込み感染
子どもは学校や保育所から感染症をもらってくることがあります。放デイは学校の授業終了後に受け入れるため、学校内で感染が広がっている時期は注意が必要です。
学齢期に多い感染症:
| 感染症 | 感染経路 | 特記事項 |
|---|---|---|
| 溶連菌感染症 | 飛沫・接触 | 手洗いで予防・抗生剤で改善後も登所停止が必要な場合あり |
| 手足口病 | 接触・飛沫・糞口 | 夏に流行・軽症が多いが口内炎で食事困難になることも |
| 水痘(みずぼうそう) | 空気・飛沫・接触 | ワクチンで予防可・発疹出現の1〜2日前から感染力あり |
| 百日咳 | 飛沫 | 乳幼児は重症化リスク・ワクチン未接種の乳児との同居家庭に注意 |
| RSウイルス感染症 | 飛沫・接触 | 乳幼児・免疫が弱い子どもは重症化リスクあり |
| ノロウイルス・ロタウイルス | 接触・糞口 | 嘔吐物・便が感染源。適切な処置が必要 |
| インフルエンザ | 飛沫・接触 | 学校での集団発生が多い・秋〜冬に注意 |
医療的ケア児が在籍している場合
気管切開・人工呼吸器・経管栄養などの医療的ケアが必要な子どもが在籍している場合は、通常の感染症対策に加えて特別な配慮が求められます。感染症による体調変化が重篤化するリスクが高く、医師・訪問看護との連携体制を研修の中で明確にしておく必要があります。
保護者・学校との情報連携
学校で感染症が流行している情報は、保護者を通じて入ってきます。保護者から連絡を受けた職員が適切な対応を判断できるよう、「こういう連絡が来たら誰に報告するか」「利用をどう判断するか」のフローを事業所で決めておくことが重要です。
研修で伝えるべき内容
感染経路の3種類と放デイでの対策
| 感染経路 | 主な感染症 | 放デイでの対策 |
|---|---|---|
| 接触感染 | ノロウイルス・疥癬・溶連菌 | 手指衛生・共用物品の消毒・おむつ交換時の手袋着用 |
| 飛沫感染 | インフルエンザ・百日咳・RSウイルス | マスク着用・換気・室内の密集を避ける席配置 |
| 空気感染 | 水痘・麻疹・結核 | 換気・N95マスク(疑いが生じた場合)・即隔離 |
手指衛生の基本
- 利用者ごと・ケアの前後に手指衛生を行う
- おむつ交換・口腔ケア・食事介助の前後は必ず手洗いまたは消毒
- アルコール手指消毒は、目に見える汚れがない場合に有効
- ノロウイルスや疥癬が疑われる場合は流水と石鹸による手洗いを優先する
嘔吐物処理の手順
放デイでは利用者が食事中や活動中に嘔吐するケースがあります。処置が遅れたり適切な防護なしで処理したりすると感染が広がります。研修と訓練で全職員が手順を知っておく必要があります。
- 周囲の利用者を嘔吐物から離す
- 手袋・マスク・エプロンを着用する
- 嘔吐物をペーパータオルで覆い、外側から内側に向かって拭き取る
- 拭き取ったペーパータオルをビニール袋に入れ、密閉する
- 0.1%(1000ppm)の次亜塩素酸ナトリウム液を汚染箇所にかけ、10分以上放置する
- 拭き取り、再度ビニール袋に入れて密閉廃棄する
- 手袋を外し、手指衛生を行う
廃棄物はすぐに建物外の所定の場所に出します。嘔吐物で汚染された衣類は別々にして家庭に返す前に対処方法を保護者に伝えます。
集団感染が発生した場合の対応手順
- 感染者(利用者・職員)を特定し、症状の記録を始める
- 主治医・保健所への報告を検討する(食中毒の場合は保健所への届出義務あり)
- 感染者と接触した利用者・職員の状況を確認する
- 感染者が使用した区画・物品を消毒する
- 保護者への連絡を行う(利用の一時停止の判断も含む)
- 学校・居宅介護事業所等の関係機関への連絡を行う
訓練は年2回以上、嘔吐物処理を中心に実施する。
感染症対策訓練は年2回以上が義務です。訓練は研修とは別に計2回必要です(「研修と合わせて1回分とカウントした」は不備として指摘されることがあります)。
2回の訓練テーマ例:
| 時期 | テーマ | 形式 |
|---|---|---|
| 夏(6〜8月) | 食中毒・感染性胃腸炎(嘔吐物処理の実地) | 実地(手袋・エプロン・次亜塩素酸ナトリウムを実際に使う) |
| 秋〜冬(10〜11月) | インフルエンザ・集団感染発生時の対応フロー | 机上(シナリオを使った対応フロー確認) |
訓練の記録は実施日時・参加者・内容概要・課題を残します(研修の記録と同様に保存が必要です)。
委員会はおおむね3か月に1回以上開催する。
感染対策委員会の開催は義務です。既存の会議体に感染対策の議題を組み込む形でもかまいません(解釈通知:「感染症の予防及びまん延防止のための対策を検討する委員会(以下「感染症対策委員会」という。)を…開催するに当たっては、関係の深い会議体と一体的に開催することも可能」)。
委員会の議題例:
- 地域・学校の感染症流行状況の共有
- 利用者・職員の感染発生状況の確認
- 消毒用品・マスク・手袋の在庫確認
- 研修・訓練の実施状況と次回計画
- 感染症対策指針の見直しが必要かどうかの確認
第41条では委員会の参加はテレビ電話装置等を使って行うことも認められています。
感染症対策指針の整備
感染症や食中毒の予防・まん延防止のための対策についての指針を整備する必要があります(第41条第3項)。指針には次の内容を含めることが推奨されます(厚生労働省「障害福祉サービス施設・事業所職員のための感染対策マニュアル(通所系)」を参考)。
- 平時の感染対策(手指衛生・共用物品の消毒・換気等)
- 感染症発生時の対応フロー(報告・隔離・消毒・保護者連絡)
- 嘔吐物処理の手順
- 保健所・医療機関への連絡体制
- 研修・訓練の計画と記録の保存方法
記録の保存期間は2年間。
研修・訓練・委員会の記録は完結から2年間の保存が義務です(第41条第5項による第37条第2項の準用)。記録に残す項目:実施日時・参加者名・内容概要・課題・担当者名。
運営指導で確認される主な内容:
- 感染対策委員会の記録(開催日時・参加者・協議内容)が残っているか
- 委員会がおおむね3か月に1回以上開催されているか
- 研修が年2回以上・訓練が年2回以上(別々に)実施されているか
- 新規採用職員に採用後別途研修を行ったか
- 感染症対策指針が作成・更新されているか
感染症の研修・訓練・委員会をキットでまとめて整備する
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