飲食店を個人事業として開業したら、事業開始から1か月以内に税務署へ開業届(個人事業の開廃業等届出書)を提出します。開業届の提出と同時に、青色申告承認申請書も提出しておくと、翌年の確定申告で青色申告特別控除(最大65万円)を受けられます。開業届の提出手数料はかかりません。法人として開業した場合は法人設立届出書が別途必要です。
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開業届は事業開始から1か月以内に税務署へ提出する
個人で飲食店を開業した場合、所得税法第229条の規定により、事業を開始した日から1か月以内に「個人事業の開廃業等届出書」を納税地の税務署に提出する必要があります。
開業届を提出しなくても罰則規定はありません(法律上の義務ですが、過料等の制裁はない)。ただし、青色申告の適用を受けるには開業届と青色申告承認申請書の両方の提出が前提になるため、実質的に提出が必要です。
| 書類 | 提出先 | 提出期限 | 費用 |
|---|---|---|---|
| 個人事業の開廃業等届出書(開業届) | 納税地の税務署 | 事業開始から1か月以内 | 無料 |
| 青色申告承認申請書 | 納税地の税務署 | 承認を受けようとする年の3月15日まで。1月16日以降に開業した場合は開業日から2か月以内 | 無料 |
| 給与支払事務所等の開設届出書 | 納税地の税務署 | 従業員を雇ってから1か月以内 | 無料 |
| 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書 | 納税地の税務署 | 適用を受けようとする月の前月末まで | 無料 |
開業届はe-Tax(国税電子申告)やマイナンバーカードを使ったオンライン申請も可能です。税務署に直接持参する場合は、2部持参して1部に受付印をもらって保管しておくと手続きの証明になります。
青色申告を選ぶと最大65万円の特別控除が受けられる
個人事業主が確定申告を行う場合、青色申告と白色申告の2種類があります。飲食店の開業者にとって、青色申告を選ぶメリットは大きいです。
| 申告方法 | 青色申告特別控除 | 必要な記帳 | 主なメリット |
|---|---|---|---|
| 青色申告(65万円控除) | 65万円 | 複式簿記・e-Tax申告が条件 | 事業所得から65万円控除・赤字の3年繰越・専従者給与の経費算入 |
| 青色申告(10万円控除) | 10万円 | 単式簿記でも可 | 赤字の3年繰越・専従者給与の経費算入 |
| 白色申告 | なし | 記帳義務あり(法改正後) | 手続きが比較的シンプル |
青色申告特別控除65万円を受けるには、①複式簿記で記帳すること、②貸借対照表と損益計算書を添付すること、③e-Taxで申告するか電子帳簿保存法に対応した保存を行うことが条件です。
65万円の特別控除は事業所得を直接減らします。所得税率20%の水準では、65万円×20%=13万円の節税になります(住民税も含めると実質的な節税額は増えます)。開業から2か月以内に青色申告承認申請書を提出しておくことで、開業1年目から青色申告を適用できます。
事業専従者給与(家族スタッフへの給与)を経費にする方法
配偶者や家族が飲食店の仕事を専ら(もっぱら)手伝っている場合(生計を一にする親族)、原則として給与を経費にできません。ただし、青色申告者は「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出することで、家族への給与を経費として算入できます。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 生計を一にする配偶者・親族(15歳以上) |
| 従事の条件 | その年を通じて6か月超、専ら事業に従事していること |
| 届出書の提出 | 適用を受けようとする年の3月15日まで(開業が3月16日以降の場合は開業から2か月以内) |
| 金額の基準 | 「労務の対価として相当と認められる金額」である必要がある(過大は否認の対象) |
公庫の記入例(洋風居酒屋)では「専従者」として月10万円の給与が人件費に含まれています。青色申告を選択して専従者給与の届出をしておくことで、この10万円(年間120万円)を経費として算入できます。
従業員を雇ったら源泉徴収の手続きが必要
スタッフを雇用して給与を支払う場合、雇用主(飲食店オーナー)は源泉徴収義務者になります。毎月の給与から所得税等を差し引いて、翌月10日までに税務署に納付する義務があります。
従業員が常時10人未満の事業所では、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出することで、源泉所得税の納付を年2回(1〜6月分を7月10日、7〜12月分を翌年1月20日)にまとめることができます。毎月の納付の手間が減るため、開業時に申請しておくことをおすすめします。
個人事業と法人で税務手続きが変わる
飲食店を法人として開業した場合(株式会社・合同会社等)は、税務署・都道府県税事務所・市区町村役場に法人設立の届出が必要です。個人事業と法人では税務処理が大きく異なります。
| 項目 | 個人事業 | 法人 |
|---|---|---|
| 申告税目 | 所得税・消費税 | 法人税・法人住民税・法人事業税・消費税 |
| 代表者の給与 | 事業所得(経費にできない) | 役員報酬(経費算入可) |
| 申告期限 | 翌年3月15日 | 事業年度終了後2か月以内 |
| 記帳義務 | 青色は複式簿記(65万円控除の場合) | 商法・会社法で複式簿記が義務 |
個人事業と法人の収支の違いについては、飲食店の開業は個人事業と法人、どちらで始めるかで詳しく説明しています。
消費税の課税事業者とインボイス登録
開業1年目は前々年の課税売上高がないため、消費税の免税事業者になります(原則)。消費税を納付しなくていい分、開業初年度は税負担が軽くなります。
ただし、インボイス制度(適格請求書等保存方式)に対応するために課税事業者を選択する場合は、開業時に税務署に申告が必要です。飲食店の場合、主な顧客が一般消費者であればインボイス登録の優先度は低いですが、法人向けケータリングや仕出しを行う場合は取引先からインボイス登録を求められることがあります。
税務手続きの詳細は、所管の税務署または税理士に確認することをおすすめします。
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本記事の内容は所得税法・法人税法・消費税法等の規定と国税庁の公開情報をもとにしています。税務手続きは改正・変更が生じることがあります。開業前に所管の税務署または税理士にご確認ください。本ツールは当方が作成した民間のシミュレーターであり、日本政策金融公庫が作成・提供するものではありません。むむ(fufumumu_design)作成・2026年11月確認。


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