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厚生労働省「令和7年障害福祉サービス等経営概況調査結果」(令和6年度決算)によると、放課後等デイサービス(放デイ)の収支差率は社会法人(社協含む)-2.0%(赤字)に対して営利法人12.6%です。同じ放デイサービスで14.6ポイントの差が生じている背景を整理します。
放デイの法人形態別収支差率
| 法人形態 | 事業所数 | 平均年収入 | 収支差額 | 収支差率 |
|---|---|---|---|---|
| 営利法人 | 191件 | 3,277万円 | 412万円 | 12.6% |
| その他 | 30件 | 2,948万円 | 181万円 | 6.1% |
| NPO法人 | 37件 | 2,788万円 | 120万円 | 4.3% |
| 社会法人(他含む) | 46件 | 2,732万円 | -54万円 | -2.0% |
社会法人は最少(46件・全体の15%)で唯一の赤字(-2.0%)です。営利法人(191件・62%)が最多で最高の収支差率です。
社会法人の放デイが赤字になる構造的な理由
重度障害者・医療的ケア児の受け入れが多い:社会法人が運営する放デイは、医療的ケアが必要な児童・重度の知的障害・身体障害を重複した児童を受け入れているケースが多く、看護師の常勤配置や送迎時の支援員複数配置が必要になります。これが人件費率を大幅に押し上げます。放デイの全体平均人件費率は64.4%ですが、重度対応の社会法人系事業所では70〜80%以上になっているケースがあります。
既存施設(入所施設・通所施設)への付帯として設置:社会法人の放デイは、既存の知的障害者入所施設や生活介護・児童発達支援センターに付帯する形で設置されているケースが多くあります。主たる事業の費用(管理職人件費・建物費用等)を按分される形で放デイに計上されることで、放デイ単体の収支が赤字になります。
専門的支援加算の取得要件が満たせていない場合:放デイには「専門的支援加算」(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・心理士・社会福祉士等の配置)があります。社会法人が重度対応事業所として専門職を配置していても、加算の算定要件(専従・一定時間以上の勤務等)を満たせていないケースでは、費用だけかかって収入が増えない状態になります。
営利法人が高収益を維持できる理由
軽度〜中程度の利用者に特化した運営:営利法人の放デイは発達障害(自閉スペクトラム症・ADHD・学習障害等)の軽度〜中程度の利用者向けプログラム(ソーシャルスキルトレーニング・学習支援等)を中心に展開しているケースが多く、専門職の最低配置で高い稼働率を維持できます。人件費率を64%前後に抑えながら、稼働率87.8%(WAM参考値)を維持することで12%以上の収支差率を実現しています。
複数店舗展開による固定費の分散:営利法人は同一法人で複数の放デイを展開するケースが多く、本部管理コスト・研修コスト・システムコストを事業所数で分散できます。1事業所あたりの間接費を低く抑えられる構造があります。
放デイの収支差率中央値2.7%が示す実態
放デイの収支差率の中央値(2.7%)は全体平均(9.1%)を大きく下回ります。これは「一部の高収益営利法人が平均を引き上げており、半数以上の事業所は2.7%以下の収支差率」という分布の実態を示しています。社会法人の-2.0%は中央値2.7%を下回る水準であり、全体の下位にあたります。
社会法人が運営する放デイで赤字の場合、法人全体の収益(生活介護・入所施設等の黒字)で補填しながら地域の重度障害者支援を担っているケースが多く、単純に放デイ単体の収支だけで改善の可否を判断するのではなく、法人全体の戦略として評価することが重要です。
放デイの社会法人が取れる改善策
それでも放デイ単体の収支改善を目指す場合、以下が実務的なアプローチです。
専門的支援加算の算定要件の確認:看護師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・心理士等を配置している場合、専門的支援加算(Ⅰ〜Ⅲ)を算定できているかを確認します。専従要件・勤務時間要件・資格要件を満たしているのに加算が未算定のケースは、見直しで年間数百万円の収入増加につながります。
稼働率の向上(WAM参考値87.8%):放デイの全国平均稼働率87.8%に対して、自事業所の稼働率が低い場合は、体験利用の受け入れ・相談支援事業所への働きかけ・欠席児童へのフォロー体制強化が有効です。定員10.5人(WAM参考値)の事業所で稼働率が80%(8.4人)から87.8%(9.2人)に改善すると、年間約100〜150万円の収入増加になります。
法人内の費用按分の見直し:付帯事業として設置されている場合、既存施設から按分される管理費・光熱費・共用スペース費の按分基準(人員比・収入比等)が合理的かどうかを確認します。過大な費用按分が放デイの赤字の一因になっているケースがあります。
社会法人の放デイは地域の重度障害児支援を担う重要な役割がある一方で、収支の改善余地も確認することが健全な事業運営につながります。
放デイの中央値2.7%は「全体の半数以上の事業所が2.7%以下の収支差率」であることを示します。社会法人の-2.0%は中央値を4.7ポイント下回る水準です。専門的支援加算が未算定・稼働率が全国平均87.8%を大きく下回る状態が重なっている場合は、改善で数ポイントの収支差率向上が期待できます。放デイの収益改善は「専門職配置加算の算定・稼働率の向上」という2つのアプローチを同時並行で進めることが最も効果的です。
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出典:厚生労働省「令和7年障害福祉サービス等経営概況調査結果」(令和6年度決算)、福祉医療機構(WAM)経営分析参考指標2023年度決算。

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