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障害福祉サービスの人件費管理では、「職員1人当たり年間人件費(wagePerStaff)」という指標が役立ちます。この数字は「1人の職員を雇用するのに年間いくら(給与・社会保険等を含む)かかっているか」の目安で、サービスによって大きく異なります。厚生労働省「令和7年障害福祁サービス等経営概況調査結果」(令和6年度決算)のデータを整理します。
職員1人当たり人件費(7サービス比較)
| サービス | 平均職員数 | 年間人件費(千円) | 職員1人当たり人件費(千円) |
|---|---|---|---|
| 生活介護 | 9.76人 | 54,885千円 | 5,623千円(約562万円) |
| GH日中型 | 9.28人 | 38,375千円 | 4,134千円(約413万円) |
| GH包括型 | 6.15人 | 24,602千円 | 4,003千円(約400万円) |
| 放デイ | 5.13人 | 19,983千円 | 3,898千円(約390万円) |
| 就労移行支援 | 5.64人 | 18,476千円 | 3,277千円(約328万円) |
| 児発 | 5.85人 | 15,057千円 | 2,575千円(約258万円) |
| 短期入所 | 5.65人 | 6,091千円 | 1,079千円(約108万円) |
生活介護の職員1人当たり人件費562万円と短期入所108万円は5倍以上の差があります。この差の大きな要因は「職員の常勤比率」と「勤務時間数」の違いです。
職員当たり人件費が高いサービスの特徴
生活介護(562万円/人):生活介護は終日・平日の重度障害者への支援を担うサービスです。常勤の介護職員・看護師・生活支援員の割合が高く、フルタイム勤務の職員が多い分、職員1人当たりの人件費が高くなります。また、重度障害者支援に対応するための専門職(理学療法士・作業療法士等)の配置が収まっている場合は、さらに単価が上がります。
GH日中型(413万円/人):GH日中型は夜間支援員・日中支援員・世話人の3種類が必要で、常勤職員の比率が高い傾向があります。職員数が平均9.28人と多いため、年間総人件費は38,375千円(約3,838万円)と高い水準ですが、職員1人当たりで見ると413万円です。
職員当たり人件費が低いサービスの特徴
短期入所(108万円/人):短期入所の職員1人当たり人件費108万円は7サービス中で突出して低い水準です。この数字の解釈には注意が必要です。
短期入所は他の入所サービス(GH・入所施設等)と一体的に運営されているケースが多く、職員を兼務しているため、「短期入所専担」の職員が少ない事業所があります。会計上、兼務職員の人件費を業務時間比で按分した場合、短期入所に計上される人件費が少なくなります。これが108万円という低い数字の背景にある可能性があります。
児発(258万円/人):児発は放課後・週数日の支援のため、非常勤・パートタイム職員の比率が高い傾向があります。フルタイム換算での職員1人当たり人件費が低くなるのはこのためです。年間総人件費15,057千円を職員数5.85人で割ると258万円ですが、これは常勤換算5.85人(実際の人数はより多い)の人件費総額です。
職員当たり人件費が示す「給与水準」との関係
職員1人当たり人件費は、給与・賞与・社会保険料・退職給付費用等を含む「総人件費」を職員数で割った数字です。給与単価の目安にはなりますが、常勤・非常勤の比率で大きく変わることに注意が必要です。
例えば、職員1人当たり人件費が258万円(児発)という数字は、フルタイム正規職員の給与(250〜300万円)と近い水準に見えます。しかし実際には、非常勤・パートの職員(年収100〜150万円)が多く含まれているため、正規職員の平均給与はもっと高い可能性があります。
自事業所の職員1人当たり人件費を計算する際は、「常勤換算数」を分母として使うことが基本です。実人数(頭数)を使うと、非常勤が多い事業所では1人当たり人件費が低く見えすぎます。厚生労働省の経営概況調査も常勤換算数を使用しているため、比較の一致を保つには同じ方法で計算します。
職員当たり人件費の実務的な活用方法
自事業所の職員1人当たり人件費を計算するには次の式を使います。
職員1人当たり人件費 = 年間人件費総額 ÷ 職員数(常勤換算)
自事業所の数字と全国平均を比較したとき、次のように解釈できます。
- 全国平均より高い場合:常勤比率が高い・給与水準が高い・時間外労働が多い等が考えられる。採用・定着の観点では職員に対する処遇が厚いことは強みであるが、収支への影響を把握しておくことが必要
- 全国平均より低い場合:非常勤・パートタイムの比率が高い、または給与水準が低い可能性がある。人材確保・定着に影響するため、収支管理とのバランスを取ることが重要
- 全国平均と大きく乖離している場合:職員の兼務・按分の処理が他事業所と異なっている可能性があるため、まず集計方法を確認する
職員当たり人件費と収支差率の関係
職員当たり人件費が収支差率に与える影響は、「収入単価」との比較で確認できます。例えば放デイの場合、定員1人当たり収入2,906千円・職員数5.13人・定員11人とすると、職員1人が何人の利用者を担当しているか(利用者/職員比率)は11÷5.13≒2.1人/職員です。
この比率が高いほど(1人の職員が多くの利用者を担当)、収入に対する人件費率が低くなり収支差率が改善します。逆に比率が低い(1人の職員が担当する利用者が少ない)場合は、人件費率が上昇します。
各サービスの利用者/職員比率(定員÷職員数)を試算すると:放デイ2.1・生活介護2.9・GH包括型2.6・就労移行支援2.5・児発2.2・GH日中型1.6・短期入所1.2です。GH日中型・短期入所は職員比率が低く、これが収支差率の低さと連動しています。
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出典:厚生労働省「令和7年障害福祁サービス等経営概況調査結果」(令和6年度決算)。職員数は常勤換算数を使用しています。

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