小規模多機能型居宅介護の職員研修。採用時・義務研修・加算算定別の一覧。

小規模多機能型居宅介護の職員研修。採用時・義務研修・加算算定別の一覧。 介護

小規模多機能型居宅介護の職員が受けるべき研修には、介護報酬の算定要件として義務付けられているものと、法令に基づく義務があるものがあります。開業前にどのような研修が必要かを整理しておくと、採用計画・年間スケジュールの立案に役立ちます。

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小規模多機能の職員が受けるべき研修の種類

小規模多機能の職員に求められる研修は、大きく次の4種類に分類できます。

  1. 開業・採用時に必要な研修:特定の職種・加算の要件として、職員を配置する前に修了が必要な研修
  2. 法令に基づく定期的な研修(義務):年1〜2回の開催が義務付けられた事業所内研修
  3. 加算算定のために必要な研修:特定の加算を算定するために一定以上の職員が修了している必要がある研修
  4. 任意の質向上研修:義務ではないが、ケアの質向上のために推奨される外部研修

採用・開業時に必要な研修

特定の職種・役職で配置するために必要な研修です。開業前の採用確定後、できるだけ早く受講スケジュールを確認します。

採用・開業時に必要な研修
職種・役職 必要な研修 主催・概要
管理者 認知症対応型サービス事業管理者研修 都道府県主催・2〜3日程度。管理者として配置するために必要
計画作成担当者 認知症対応型サービス事業計画作成担当者研修 都道府県主催・2〜3日程度。計画作成担当者(ケアマネ資格必須)に必要
全職員(新規採用時) 初任者研修・実務者研修(介護職員の場合) 必須ではないが、無資格者の採用は人員基準の観点から確認が必要

法令に基づく定期的な研修(事業所内で実施)

指定基準・介護報酬の算定要件として、年間を通じた研修の実施が義務付けられています。事業所として年間研修計画を立て、実施記録を残すことが求められます。

定期的な義務研修(年間)
研修の種類 頻度(最低限) 根拠・内容
虐待防止研修 年1回以上 令和6年度改定で義務化。高齢者虐待の防止・対応を学ぶ
身体拘束廃止研修 年2回以上(解釈通知・自治体によって異なる場合あり) 身体拘束廃止の取り組みとして義務。3要件・代替ケアを学ぶ。詳細は都道府県担当窓口に確認
ハラスメント防止研修 年1回以上 令和6年度改定で義務化。利用者・家族からのハラスメント対応を学ぶ
感染症・食中毒防止研修 年1回以上 感染症BCP・手洗い・嘔吐処理等。食事を提供している場合は食中毒対応も含む
BCP(事業継続計画)研修 年1回以上 令和6年度から義務化。自然災害BCP・感染症BCPの内容を職員に周知
認知症ケアの研修 年1回以上(推奨) 義務ではないが、認知症加算の算定や外部評価での評価に関わる

加算算定に必要な研修

特定の加算を算定するために、一定以上の職員が特定の研修を修了していることが要件となる研修があります。

加算算定に必要な研修
加算名 必要な研修・要件
認知症加算(Ⅰ)・(Ⅱ) 認知症介護実践リーダー研修修了者を1名以上配置
認知症加算(Ⅲ)・(Ⅳ) 認知症介護実践者研修修了者を1名以上配置
機能訓練体制加算 機能訓練指導員(PT・OT・ST・柔道整復師等)を配置
看護職員配置加算(Ⅰ) 看護師・准看護師を1名以上配置(常勤換算)

加算算定を計画に組み込む場合は、各研修の受講に必要な期間・費用も収支計画に含める必要があります。

認知症介護実践者研修・リーダー研修のスケジュール

認知症加算の上位区分を算定するためには、認知症介護実践リーダー研修の修了者が必要です。このリーダー研修を受講するには、まず認知症介護実践者研修(6〜7日程度)を修了してからリーダー研修(5〜6日程度)に進む必要があります。

  • 実践者研修:都道府県主催・年数回開催。受講期間は6日前後
  • リーダー研修:都道府県主催・年1〜2回開催。実践者研修修了後から受講可能。受講期間は5〜6日前後

実践者研修修了→リーダー研修受講まで最短でも半年〜1年以上かかります。上位区分の加算算定を開業時から組み込む場合は、管理者・計画作成担当者が開業前に両方の研修を修了していることが必要です。

研修計画の立て方

年間の研修計画を立てる際の考え方は次の通りです。

  1. 義務研修(虐待防止・身体拘束廃止・ハラスメント防止・感染症・BCP)を年間カレンダーに配置する
  2. 外部研修(認知症関連研修・機能訓練研修等)の開催スケジュールを都道府県・研修機関に確認して計画に組み込む
  3. 実施した研修の記録(日時・参加者・内容・担当講師)を残すフォームを準備する
  4. 研修計画書を事業所内に掲示し、職員全員が把握できる状態にする

研修記録は実地指導での確認対象です。記録が不十分な場合は指導を受けることがあります。研修を実施したら必ずその日に記録を作成する習慣を作りましょう。

研修コストの見込み

事業所として負担する研修コストの目安は次の通りです(参考値)。

研修コストの目安
研修の種類 費用の目安
管理者研修・計画作成担当者研修 1〜2万円程度(都道府県主催・実費)
認知症介護実践者研修 数千〜1万円程度(テキスト代等)
外部研修(民間・任意) 1万〜3万円程度/1回
事業所内研修(義務研修) 講師を外部から招く場合は1〜3万円/回。職員が実施する場合は準備の人件費

研修コストは年間トータルで数十万円になることがあります。開業後の収支計画に研修費として年間10〜30万円程度を計上しておくことをお勧めします。

オンライン研修の活用

新型コロナ以降、介護分野でもオンライン(Zoom・Teams等)での研修が普及しています。事業所内の義務研修においても、外部講師をオンラインで招いたり、eLearning教材を活用したりすることが可能です。

オンライン研修を活用するメリットは次の通りです。

  • 費用の削減(移動費・会場費が不要)
  • 録画による研修記録の作成が容易(欠席者のフォロー研修にも活用)
  • 外部の専門家から学べる機会が増える
  • 夜勤明けの職員が参加しやすいタイミングで実施できる

ただし、都道府県主催の管理者研修・認知症関連研修については、オンライン可否・要件は都道府県によって異なります。受講前に確認が必要です。

研修記録の管理と実地指導対策

研修記録は実地指導で確認される書類の一つです。研修を実施したにもかかわらず記録がなければ、「実施していない」と判断されるリスクがあります。

研修記録として保管すべき書類は次の通りです。

  • 研修実施記録(日時・内容・参加者の署名・担当講師名)
  • 研修の資料(配布したレジュメ・スライド等)
  • 年間研修計画書(計画と実施の整合性が確認できる形で)
  • 外部研修の修了証(認知症介護関連研修等)

研修記録は事業所ごとにバインダー等で管理し、実地指導時に即座に提出できる状態にしておくことが重要です。保管期間は少なくとも2年以上(自治体によっては5年)が推奨されます。

研修担当者(OJTリーダー)の育成

事業所内の研修を担当する職員を「研修担当者」として育成することで、研修の質を向上させることができます。研修担当者には次のような役割が期待されます。

  • 年間研修計画の作成と管理
  • 義務研修の資料・プログラムの準備
  • 新人職員のOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)の指導
  • 外部研修の情報収集と職員への周知

研修担当者として育成したい職員に対しては、外部の「介護実践者研修」や認知症関連研修への参加機会を積極的に提供することが有効です。将来的には認知症加算の算定要件を満たすリーダー人材の育成にもつながります。

義務研修の未実施が発覚した場合のリスク

義務研修(身体拘束廃止研修・虐待防止研修等)を実施していない、または記録が不十分な場合、実地指導で指導・改善勧告の対象になることがあります。

実地指導で指摘された場合の対応として次のことが求められます。

  1. 指摘された事項に対して改善計画を作成し提出する
  2. 改善計画の内容を実施し、結果を報告する
  3. 次回実地指導(または自主点検)で改善を確認する

指摘事項が「記録の不備」レベルであれば改善指導で済みますが、「研修を全く実施していない期間が長期にわたる」場合は加算返還等の対象になることもあります。義務研修の実施と記録は確実に行うことが重要です。

開業時に整えておくべき研修関連書類

開業時に準備しておく研修関連の書類は次の通りです。

開業時に準備する研修関連書類
書類 内容
年間研修計画書 義務研修の日程・テーマ・担当者を一覧にした年間計画
研修記録フォーム 研修ごとに参加者・内容・担当者を記録する様式
管理者研修・計画作成担当者研修の修了証コピー 各担当者の修了証をファイリング
認知症関連研修の修了証コピー 認知症加算を算定する場合は要件を満たす職員の修了証

研修費用の助成制度の活用

介護職員の研修費用に対する助成制度が複数あります。開業前・開業後に活用できるものを確認しておくと、研修コストの負担を軽減できます。

  • 介護職員初任者研修・実務者研修の受講費補助:都道府県・ハローワーク(キャリアアップ支援)による補助制度。都道府県によって補助内容が異なります
  • 人材開発支援助成金(厚生労働省):事業主が従業員に対して実施した訓練の費用・賃金の一部を助成する制度。認知症関連研修・ケアマネ受験のための研修等が対象になる場合があります
  • 処遇改善加算の「職場環境等要件」としての研修実施:処遇改善加算Ⅰを算定するための職場環境等要件として、職員の研修機会の充実が評価されます

人材開発支援助成金の詳細は、最寄りのハローワークまたは都道府県労働局で確認することをお勧めします。

研修と採用・定着の関係

介護人材の採用難が続く中、「研修・成長機会が充実している職場」は求職者へのアピールポイントになります。求人票・採用面接で「開業1年以内に認知症関連研修への参加機会を提供する」等の研修方針を伝えることで、研修意欲の高い介護職員の採用につながる可能性があります。

研修機会の充実は職員の定着率向上にも関連します。「スキルアップできる環境」として評価される事業所は、離職率が低く採用コストも抑えられる傾向があります。研修投資は中長期的に見れば採用・定着コストの削減につながる施策です。

令和6年度改定で義務化された研修の対応状況確認

令和6年度の改定で新たに義務化・強化された研修・体制整備の項目は次の通りです。開業前に対応できているか確認します。

令和6年度改定で義務化・強化された項目
項目 内容・対応状況
ハラスメント防止措置の義務化 利用者・家族からの身体的・精神的ハラスメント対策の方針策定・研修実施が義務化。重要事項説明書への記載も必要
BCPの義務化 自然災害BCP・感染症BCPの策定と、職員への周知(研修)が義務化。年1回以上の訓練も求められる
虐待防止委員会・研修の強化 虐待防止の取り組みが「努力義務」から「義務」へ格上げ。委員会の設置・年1回以上の研修実施が必要
協力医療機関の確保 指定要件として協力医療機関との連携体制の整備が義務化。協力医療機関との研修・連携確認の機会確保も含む

これらの義務化項目については、開業前に体制・書類・研修計画を整えることが指定申請の前提になります。

参考・出典

  • 指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第34号)
  • 令和6年度介護報酬改定の概要(厚生労働省)

この記事は2026年11月時点の情報に基づいています。研修の開催日程・費用は都道府県・研修機関によって異なります。最新情報は各都道府県の担当窓口でご確認ください。

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この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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