労働安全衛生法は定期的に改正が行われており、第二種衛生管理者試験でも直近の法改正が出題されることがあります。化学物質管理の自律的管理への移行(2023年施行)、産業医の権限強化(2019年)、ストレスチェック制度(2015年)などが出題されることがあります。このページでは試験対策として知っておきたい直近の法改正ポイントを整理します。
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2023年:化学物質管理の自律的管理への移行
2023年(令和5年)に施行された労働安全衛生法・特化則等の改正では、化学物質の管理が「物質ごとの規制」から「事業者自らがリスクアセスメントを実施して管理する自律的管理」へ転換されました。
主なポイント:
- 一定の危険性・有害性のある化学物質(リスクアセスメント対象物質)については、事業者がリスクアセスメントの実施を義務付けられた
- 化学物質管理者の選任が義務化(リスクアセスメント対象物を製造・扱う事業場)
- 譲渡提供時の容器・包装へのラベル表示・SDS(安全データシート)の交付義務の拡大
第二種衛生管理者試験では有害業務の詳細より「事業者がリスクアセスメントを実施する義務がある」「自律的管理への転換」という方向性が出題されることがあります。
2019年:産業医・産業保健機能の強化
2019年(平成31年・令和元年)施行の改正では、産業医の権限と産業保健機能が強化されました。
主なポイント:
- 事業者は産業医に対し労働者の長時間労働情報・高ストレス者情報等を提供する義務(産業医の活動に必要な情報提供)
- 産業医は事業者に対して勧告を行えるようになり、事業者は勧告を「尊重」しなければならない
- 産業医の職場巡視頻度:情報提供がある場合、月1回→2か月に1回への変更が可能になった
- 労働者が産業医に相談できる体制の整備が事業者に求められた
2015年:ストレスチェック制度の施行
2015年(平成27年)に労働安全衛生法第66条の10が追加され、ストレスチェック制度が施行されました。
主なポイント:
- 常時50人以上の事業場にストレスチェックの実施義務
- 年1回以上の実施・高ストレス者への面接指導の機会提供
- 50人未満は努力義務
2023年:時間外労働の上限規制(医師・建設等)
働き方改革関連法により、2019年から大企業・2020年から中小企業に時間外労働の上限規制(月45時間・年360時間、特例で月100時間未満等)が適用されましたが、医師・建設業・ドライバーは2024年から適用されました(猶予期間の終了)。
試験で出る「改正後の正しい内容」の確認方法
試験で最新の法改正に対応するためのポイント:
- テキストは最新版(発行年が直近1〜2年以内)を使用する
- 試験センター(安全衛生技術試験協会)のサイトで出題範囲の案内を確認する
- 厚生労働省のWebサイトで主要な法改正の概要を確認する
ただし、試験で出る法改正の内容は「制度の骨格(誰に何の義務があるか)」が中心です。細かい経過措置・施行日より、「改正後の正しい状態」を覚えることを優先することを勧めます。
2022年:安全衛生教育の拡充
2022年(令和4年)の改正では、雇い入れ時の安全衛生教育・職長等の安全衛生教育について適用範囲が拡大されました。
- 雇い入れ時教育:小売業・飲食業・旅館業・ゴルフ場業等の一部業種に対して、全教育科目(4時間以上)の省略規定が廃止された
- 職長・安全衛生責任者教育:対象業種に食料品製造業・新聞・出版・製本・印刷業が追加された
試験対策:「雇い入れ時の安全衛生教育は一定の業種では一部省略できる」という規定は出題されますが、2022年以降の改正でその範囲が縮小された点も出題対象になり得ます。
2024年:時間外労働の上限規制(医師・ドライバー等)
働き方改革関連法(2019年施行)では、時間外労働に上限(月45時間・年360時間、特例で月100時間未満)が設けられましたが、医師・建設業・ドライバー(自動車運転業務)については5年間の猶予が設けられ、2024年4月から適用されました。
| 業種 | 一般的な上限 | 特例・条件 |
|---|---|---|
| 一般労働者 | 月45時間・年360時間 | 特別条項:月100時間未満・年720時間以内 |
| 医師(病院) | 年1,860時間(地域医療機能維持のため特例が大きい) | 2024年4月から適用 |
| 建設業 | 一般と同じ(月45時間・年360時間) | 2024年4月から適用・一部の災害復旧工事等に除外あり |
| ドライバー(トラック・バス・タクシー) | 年960時間 | 2024年4月から適用 |
試験では「時間外労働の上限規制の数値(月45時間・年360時間・特例で月100時間未満等)」が出題されることがあります。
2019年:高度プロフェッショナル制度の創設
2019年の労働基準法改正で「高度プロフェッショナル制度(高プロ)」が創設されました。
- 対象者:年収1,075万円以上(基準)の高度専門職労働者
- 対象業務:金融商品の開発・ファンドマネージャー・アナリスト・コンサルタント・新技術等の研究開発
- 特徴:労働時間・休憩・休日・深夜割増賃金に関する規定が適用されない
- 衛生管理との関係:高プロ対象者への面接指導は「年間104日以上の休日確保・健康管理時間が月100時間超等の要件で実施義務」がある
試験で出る「改正」の傾向
第二種衛生管理者試験で法改正が出題される際のパターン:
- ストレスチェック制度(2015年施行):毎年のように出題される重要制度
- 産業医の権限強化(2019年):情報提供義務・勧告権強化は頻出
- 化学物質の自律的管理(2023年):第二種では詳細より「自律的管理への転換」として出題
施行年を正確に覚えることより「改正後の正しい内容(誰が何の義務を持つか)」を覚えることが試験対策として有効です。過去問で出題済みの改正項目を確認しておくことが最も効率的な対策です。
よくある質問
Q. 法改正があってもテキストが更新されていなかった場合はどうするか?
A. テキストの版数と発行年を確認し、直近の改正が反映されているかを確認してください。厚生労働省のWebサイトで「労働安全衛生法 改正」を検索すると最新の改正概要を確認できます。試験センター(安全衛生技術試験協会)の出題範囲案内も参考になります。
Q. 改正がある年の試験では必ず改正内容が出るか?
A. 必ずしも出るわけではありません。改正内容が試験に出るまで数年かかるケースもあります。直近の試験の出題傾向を確認して、頻出の改正項目を優先的に覚えることを勧めます。
2019年改正:産業医の権限強化
2019年4月施行の産業医・産業保健機能の強化は、第二種試験で頻出の改正ポイントです。
主な改正内容:
- 事業者は産業医に対して「労働者の健康管理に必要な情報」を提供しなければならなくなった
- 産業医は健康管理に問題があると判断した場合、事業者への「勧告」ができることが明確化された
- 産業医の「独立性・中立性」が強調され、意見が適切に尊重されることが求められた
- ストレスチェック結果に基づく情報提供の義務化(50人以上の事業場)
試験では「産業医は事業者の指示を受けて勧告する(誤り)」「産業医は事業者に勧告できる(正しい)」という形で問われることがあります。
化学物質規制の方向性(2022年改正)
2022年から段階的に施行されている化学物質規制の改正は第一種との関連が深いですが、第二種でも概要の把握が有用です。
- 従来の「物質ごとに規制する」方式から「リスクアセスメントに基づく自律的な管理」への転換
- GHS(化学品の分類および表示に関する世界調和システム)に基づくラベル表示・SDS提供の対象拡大
- 化学物質管理者・保護具着用管理責任者の選任義務の新設
試験での法改正問題への対策
法改正に関する問題は、「改正後の新しいルール」を問うことがほとんどです。
対策のポイント:
- 受験申込後に最新の法改正情報(安全衛生技術試験協会のサイト等)を確認する
- 「〇年〇月から施行」という施行日を確認し、試験実施日に有効な法令を覚える
- 改正前後の比較で「何が変わったか」を明確にしておく
- 改正内容は出題頻度が高い傾向があるため、直近のテキストで確認する
よくある質問:法改正と試験への影響
| 質問 | 回答 |
|---|---|
| 古いテキストで受験しても大丈夫か | 法改正後2〜3年以内に出題される可能性が高いため、直近の改正を反映したテキストを使うことを強く勧める |
| 法改正の情報はどこで確認するか | 厚生労働省の「安全衛生関係リーフレット等」・安全衛生技術試験協会のお知らせが信頼できる情報源 |
| 産業医の勧告は事業者への義務か | 産業医の意見(勧告)は事業者が「尊重する義務」がある。必ず従わなければならないわけではないが、尊重しない場合は合理的な理由が必要 |
試験対策まとめ:法改正・補足知識の得点ポイント
法改正・補足知識のテーマから得点を確実に取るために意識したいポイントを最終確認します。
- 「産業医は事業者の指示を受けて勧告する」は誤り。産業医は独立して勧告権を持つ
- 産業医が事業者に勧告した場合、事業者はその内容と対処状況を「衛生委員会に報告」しなければならない
- 産業医への情報提供義務(労働者の健康管理に必要な情報)は2019年改正から義務化
- GHSは国連が定めた化学品の分類・表示の国際統一基準で、SDSと合わせて覚える
- 法改正に関する問題は最新のテキストを使うことで対応できる
試験は法改正の内容が反映されたテキストで学習することが最も重要です。安全衛生技術試験協会では試験に関する情報を公開しているため、受験前に確認することを勧めます。産業医の権限・情報提供義務・ストレスチェック制度の改正ポイントは重点的に押さえましょう。
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出典:公益財団法人安全衛生技術試験協会「衛生管理者免許試験 試験案内」(2026年11月時点)。法令の数字は労働安全衛生法・同施行令・安衛則の条文に基づきます。
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