第二種から第一種衛生管理者へのステップアップ|追加科目・取得方法・必要な業種

第二種衛生管理者を取得した後、第一種衛生管理者へのステップアップを検討する方は少なくありません。第二種と第一種の違いは「有害業務に関する科目の有無」であり、第一種は第二種の試験範囲に加えて「有害業務に係る関係法令」と「有害業務に係る労働衛生」の2科目が追加されます。このページでは第二種から第一種へのステップアップの方法と注意点を解説します。

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第一種と第二種の違い:科目と対象業種

項目 第二種 第一種
試験科目数 3科目(関係法令・労働衛生・労働生理) 5科目(第二種の3科目+有害業務関係法令・有害業務労働衛生)
問題数 30問 44問
使用可能な事業場 有害業務のない事業場(非製造業等) すべての事業場(有害業務がある製造業等を含む)

第一種の追加科目:有害業務の内容

第一種では第二種の範囲に加えて以下が追加されます。

有害業務に係る関係法令(10問)の主な出題範囲:

  • 特定化学物質障害予防規則(特化則):有害化学物質の管理
  • 有機溶剤中毒予防規則(有機則):有機溶剤の管理
  • 鉛中毒予防規則・粉じん障害防止規則
  • 電離放射線障害防止規則(電離則):放射線業務の管理
  • ボイラー・クレーン等の規定

有害業務に係る労働衛生(10問・計算問題含む)の主な出題範囲:

  • 職業性疾病(じん肺・中皮腫・金属による疾病等)
  • 作業環境測定(管理濃度・許容濃度・測定方法)
  • 保護具(防毒マスク・防じんマスク・保護手袋等)
  • 局所排気装置・プッシュプル型換気装置の仕組み

第二種取得後に第一種を受験する方法

第二種を取得後に第一種を取得するルートは2つあります。

方法1:第一種衛生管理者試験を新たに受験する

  • 第一種試験を最初から受験する(44問すべてを受ける)
  • 受験資格は第二種と同じ(学歴・実務経験の要件を満たせば受験可能)

方法2:第二種の学習内容をそのまま活かす

  • 第二種衛生管理者免許を取得済みの場合、第一種試験を受験する際の受験資格として第二種免許取得後1年以上の実務経験を満たしていれば受験できます(科目免除制度はなく、全44問を受験します)

第一種が必要になる事業場の例

以下の業種・業務では第一種衛生管理者(または医師等の有資格者)が必要です。

  • 製造業(化学・金属・塗料・食品等)
  • 建設業(溶接・塗装・コンクリート砕石等)
  • 鉱業・採石業
  • 病院(放射線業務・病原体業務)
  • クリーニング業(有機溶剤使用)
  • 自動車整備(塗装・塗料)

非製造業でも「有害業務」を行う場合は第一種が必要です。事業場の業種と業務内容を確認の上、必要な免許を判断してください。

ステップアップの学習方針

第二種を取得済みの方が第一種へ進む場合の学習の進め方:

  • 第二種の学習内容(関係法令・労働衛生・労働生理)はそのまま活かせる
  • 追加科目(有害業務の法令・労働衛生)に集中する
  • 有害業務科目は計算問題(管理濃度・保護係数の計算等)があり、第二種より難易度が高い
  • 第一種の合格に要する追加学習時間:60〜100時間が目安(個人差あり)

第一種衛生管理者試験の難易度と合格率

第一種と第二種の難易度・合格率の比較:

項目 第二種 第一種
合格率の目安 50〜60%程度 40〜50%程度
問題数 30問 44問
試験時間 3時間 3時間
計算問題 ほぼなし(一部ある) 有害業務労働衛生科目で計算問題あり(管理濃度・保護係数等)
学習時間の目安 100〜150時間 150〜250時間(第二種取得後の追加分:60〜100時間)

第一種の方が問題数が多く、計算問題が含まれる分、難易度は高めです。ただし第二種で培った知識(労働生理・非有害業務の法令・労働衛生)は第一種でもそのまま得点源になります。

第一種が必要か否かの確認方法

自分の職場で第一種が必要かどうかを確認する手順:

  1. 現在の事業場の業種を確認する(製造業・建設業・林業・鉱業等に分類されるか)
  2. 事業場内で「有害業務」が行われているか確認する(化学物質取り扱い・放射線業務・有害ガス環境等)
  3. 安全衛生規則第10条の「免許の種別」の表で、業種・業務と衛生管理者の種別の対応を確認する
  4. 不明な場合は所轄の労働基準監督署に相談する

金融・IT・小売・サービス業・教育機関等では有害業務がないため、第二種のみで対応できるケースが多いです。

第一種取得に向けた具体的な学習スケジュール例

第二種を取得済みの方が第一種を目指す場合の学習スケジュール例(追加学習60〜100時間):

期間 内容 目安時間
1〜2週目 有害業務に係る関係法令の概要把握(特化則・有機則・電離則等の基本事項) 20時間
3〜4週目 有害業務に係る労働衛生(職業性疾病・作業環境測定・保護具)の概要把握 20時間
5〜6週目 計算問題の練習(管理濃度・混合物の許容濃度計算) 15時間
7〜8週目 全科目の過去問演習・弱点の補強 25時間

第一種取得後のキャリア展望

第一種衛生管理者を取得することで活躍できる業種が広がります。

  • 製造業(化学・電気機器・食品・薬品等)での安全衛生担当者
  • 建設業の現場管理職(大手ゼネコン・サブコン)
  • 鉱業・採石業の衛生担当者
  • 病院(放射線部門・手術室等)の事務管理職
  • 産業保健スタッフとの協働(産業医・保健師との連携)

また、第一種を取得した後は「労働安全コンサルタント」「労働衛生コンサルタント」という国家資格への道も開けます。これらは企業に対して安全衛生のコンサルティングを行う専門家です。

よくある質問

Q. 第二種の免許取得後すぐに第一種を受験できるか?
A. 第二種免許の有無は第一種の受験資格に影響しません。受験資格は学歴・実務経験の要件(学士以上で1年以上、または高卒で3年以上の労働衛生実務経験)を満たせば受験できます。第二種取得後すぐに第一種を受験することも可能です。

Q. 第二種から第一種に「更新」することはできるか?
A. 免許の更新ではなく、第一種は別の試験を受けて合格・免許取得が必要です。ただし、第二種の試験科目(労働生理・非有害業務の法令・労働衛生)は第一種でも出題されます。

第一種と第二種の受験料・受験手続き

第一種・第二種衛生管理者試験の受験手続きは同じ機関(公益財団法人安全衛生技術試験協会)が運営します。

項目 内容
受験料 8,800円(第一種・第二種とも同額・2026年11月時点)
受験申請方法 書面申請(センター窓口・郵送)またはインターネット申請
受験会場 全国7か所の安全衛生技術センター(北海道・東北・関東・中部・近畿・中国四国・九州)
試験実施頻度 各センターで月2〜4回程度(センターにより異なる)

第二種に合格した後、第一種試験の受験時に科目免除の制度はありません。第二種免許を取得していても第一種試験は44問すべてを受験する必要があります。ただし、第二種の学習内容がそのまま第一種でも出題されるため、実質的に追加科目(有害業務の2科目)に集中することで合格を目指せます。

第二種の受験・取得に最適なタイミング

第二種衛生管理者の試験は月2〜4回程度実施されており、受験しやすい資格の一つです。取得を検討するタイミング:

  • 人事・総務部門への異動が決まったとき
  • 会社から「衛生管理者の選任候補」として指名されたとき
  • 現在の事業場で衛生管理者が不足していると気づいたとき
  • 第一種取得前のステップとして(試験の出題範囲・傾向を把握するために)

第二種の学習内容は第一種試験でも出題される(重複部分が70%以上)ため、将来的に第一種を目指す場合も第二種の学習は無駄になりません。まずは第二種を取得し、実務経験を積みながら第一種へ進む計画が効率的です。

第二種衛生管理者を活かすキャリアと第一種へのまとめ

第二種衛生管理者は、有害業務のない業種(金融・保険・小売・IT・教育・サービス等)で選任できる国家資格です。取得後に第一種を目指す場合は、有害業務の2科目(有害業務に係る関係法令・有害業務に係る労働衛生)を集中的に学習することで合格を目指せます。第二種と第一種は別々の免許であり、第一種は製造業・建設業・鉱業等の有害業務がある事業場でも衛生管理者として選任できるため、業種を問わず活躍できる資格です。まずは第二種を取得し、実務経験を積んでから第一種を取得するステップアップが多くの方に選ばれています。試験対策にはアプリを活用した過去問演習が効率的です。

試験を受ける際の注意点として、第一種・第二種衛生管理者試験はともに「受験資格(学歴・実務経験)」の確認が必要です。受験申請書に事業者の証明を添付する必要があるため、余裕を持って準備を進めてください。試験日程・会場は安全衛生技術試験協会の公式サイトで確認できます。第二種の学習をしっかり積み上げることが、第一種合格への最短ルートです。

第一種衛生管理者の合格後には、労働安全コンサルタント・労働衛生コンサルタントという国家資格への挑戦も視野に入ります。コンサルタント資格を取得することで、企業に対して安全衛生のコンサルティングを行う専門家として独立・活躍することも可能です。第二種から第一種、そしてコンサルタントへというキャリアパスは、安全衛生の専門家として確立された進路の一つです。

第二種衛生管理者試験の合格率は50〜60%程度(センター・年度により変動)です。毎月複数回試験が実施されているため、学習が完成したタイミングで受験しやすい資格です。合格後は都道府県労働局長に免許申請を行い、免許証を取得した上で事業場での選任届出(遅滞なく)を行ってください。第二種から第一種へのステップアップを目指す方も、まずは第二種試験に合格することが出発点です。

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出典:公益財団法人安全衛生技術試験協会「衛生管理者免許試験 試験案内」(2026年11月時点)。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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