第二種衛生管理者は、有害業務を行わない事業場(IT・金融・小売・医療事務・教育など)での選任を前提とした国家資格です。労働安全衛生法第12条に基づき、常時50人以上の労働者を使用する事業場に選任義務があります。試験は関係法令・労働衛生・労働生理の3科目30問で構成され、各科目40点以上かつ合計180点以上が合格基準です。令和7年度の合格率は48.7%(受験者40,653人・合格者19,796人)でした。
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第二種衛生管理者とは
第二種衛生管理者は、職場の安全衛生を管理する国家資格のひとつです。根拠となる法律は労働安全衛生法第12条で、常時50人以上の労働者を使用する事業場には、事業場の規模に応じた人数の衛生管理者を選任しなければなりません。
衛生管理者には第一種と第二種があります。第一種はすべての業種の事業場に選任できますが、第二種は「有害業務に係るものを取り扱わない事業場」に限られます。有害業務とは、特定化学物質・有機溶剤・放射線・鉛・粉じんなどを取り扱う業務のことです。
衛生管理者の主な職務は次のとおりです。
- 週1回以上の職場巡視(作業環境・設備・作業方法の確認)
- 定期健康診断・雇い入れ時健康診断の実施管理
- ストレスチェックの企画・実施・高ストレス者への産業医紹介
- 衛生委員会への参加(毎月1回以上の開催義務)
- 労働者からの健康相談の受付・対応
- 有害要因・危険要因の発見と改善の建言
選任を怠った場合、労働安全衛生法第120条に基づき50万円以下の罰金の対象となります。また、労働基準監督署の定期監督や運営指導で是正勧告を受けることがあります。
衛生管理者は、人事・総務・施設管理の部署から選任されることが多い資格です。キャリアとしては、人事・労務・産業保健分野での評価につながります。
第二種衛生管理者が選任できる事業場の業種
試験協会は「有害業務と関連の少ない情報通信業、金融・保険業、卸売・小売業などの業種」と例示しています。逆に第一種が必要な業種は、製造業・建設業・農林業・鉱業・清掃業など、有害物質や危険な業務が伴うことが多い分野です。
| 第二種で対応できる業種の例 | 第一種が必要な業種の例 |
|---|---|
| 情報通信業(IT・ソフトウェア・通信) | 製造業(化学・金属・食品加工など) |
| 金融・保険業(銀行・証券・保険) | 建設業 |
| 卸売・小売業(百貨店・スーパー等) | 農林業・鉱業 |
| 不動産業・賃貸・管理 | 電気・ガス・水道業 |
| 飲食・宿泊業(製造工程なし) | 清掃業・廃棄物処理業 |
| 教育・学習支援業(学校・塾) | 運送業(一部、有害物輸送含む場合) |
| 医療・福祉(有害物質なし部門) | 医療業(放射線・薬品取り扱い部門) |
| サービス業(美容・エステ・フィットネス) | 金属加工・溶接・塗装を行う工場 |
ただし、同一企業でも事業場ごとに判断が異なることがあります。本社(有害業務なし)は第二種でよくても、製造部門(有害業務あり)は第一種が必要といったケースがあります。判断に迷う場合は、所轄の労働基準監督署に確認することが確実です。
受験資格は「学歴×実務経験年数」の組み合わせで決まる
第二種衛生管理者の受験資格は、学歴が高いほど実務経験が短くて済む仕組みになっています。主な3パターンを以下に示します。
| 学歴 | 必要な衛生実務経験 |
|---|---|
| 大学・短大・高専卒(または学位授与機構等認定校) | 1年以上 |
| 高校・中等教育学校卒 | 3年以上 |
| 学歴不問 | 10年以上 |
「衛生の実務経験」とは、衛生管理者の職務に相当する業務(健康診断の実施管理・安全衛生委員会の運営・職場巡視など)を行った経験のことです。受験申請時には、勤務先(または過去の勤務先)の事業者に「事業者証明書」を記入・証明してもらう必要があります。証明書の様式は試験協会のウェブサイトからダウンロードできます。
専修学校や職業訓練校の修了者にも対応する受験資格パターンがあり、細かい条件は試験協会の公式サイトで確認することを勧めます。
試験は3科目30問・合格基準は各科目40点以上かつ合計180点以上
第二種衛生管理者の試験科目・問題数・配点は以下のとおりです。
| 科目 | 問題数 | 配点 | 合格ライン |
|---|---|---|---|
| 労働衛生(有害業務以外) | 10問 | 100点 | 40点以上 |
| 関係法令(有害業務以外) | 10問 | 100点 | 40点以上 |
| 労働生理 | 10問 | 100点 | 40点以上 |
| 合計 | 30問 | 300点 | 180点以上 |
試験時間は3時間(科目免除者:2時間15分)です。5択または4択のマークシート形式です。
合格には「各科目40点以上」と「合計180点以上」の両方を満たす必要があります。1科目でも40点(4問正解)を下回ると、合計点が高くても不合格になります。この「科目足切り」を意識せずに特定の科目を後回しにすると、得意科目の点数が高くても落ちることがあります。
令和7年度の合格率は48.7%(受験者40,653人・合格者19,796人)
令和7年度の第二種衛生管理者試験の実績は以下のとおりです(公益財団法人安全衛生技術試験協会公表)。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 実施回数 | 423回 |
| 受験申請者数 | 43,538人 |
| 受験者数(実際に受けた人) | 40,653人 |
| 合格者数 | 19,796人 |
| 合格率 | 48.7% |
合格率48.7%は、毎月全国7か所のセンターで実施した年間423回分の合算です。月ごとの合格率のばらつきは試験協会から公表されておらず、年間の合計数字のみが公式データとして確認できます。
受験申請者数43,538人のうち、実際に受験したのは40,653人です。申請したが当日を欠席した約3,000人弱が含まれていないことに注意してください。合格率は「実際に受験した人」に対する割合です。
第一種との主な違い
第一種と第二種は、選任できる事業場の業種と試験の科目数・問題数が異なります。
| 第二種 | 第一種 | |
|---|---|---|
| 試験科目数 | 3科目 | 5科目 |
| 合計問題数 | 30問 | 44問 |
| 有害業務の科目 | なし | あり(2科目) |
| 選任できる業種 | 有害業務のない事業場のみ | すべての事業場 |
| 難易度の目安 | 比較的取り組みやすい | 第二種より高い |
第一種の追加2科目は「関係法令(有害業務に係るもの)」と「労働衛生(有害業務に係るもの)」です。特定化学物質・有機溶剤・鉛・粉じん・放射線などの業務に関する法令と衛生知識が問われます。
将来的に製造業・建設業・医療分野(放射線・薬品取り扱い)への転職や異動が考えられる場合、最初から第一種を目指す選択肢もあります。第二種取得後に第一種を受験することも可能で、その場合は共通科目(労働生理)が免除されます。
勉強時間の目安と科目ごとの特徴
一般的に言われる目安は、全くの初学者で100〜150時間程度です。衛生・安全の実務経験がある方は50〜80時間に短縮されることが多いとされています。1日2時間学習するなら、ゼロからで約2〜3か月のスケジュールになります。
科目別の特徴と勉強の方針は以下のとおりです。
関係法令(有害業務以外):衛生管理者の選任義務・産業医の選任条件・衛生委員会・健康診断の種類・ストレスチェックなど、法令の条文に基づく問題が中心です。「何人以上の事業場に何人選任するか」「何年以内ごとに実施するか」という数字の正確な暗記が鍵です。出題パターンが比較的安定しており、過去問の繰り返しが直結しやすい科目です。
労働衛生(有害業務以外):オフィスの環境基準(照度・換気・湿度)、VDT作業のガイドライン、腰痛予防指針、メンタルヘルスの4つのケア、食中毒の種類と対策、熱中症とWBGT基準値などが頻出です。実務に近い内容のため、理解しやすい反面、細かい数値の暗記も必要です。
労働生理:人体の仕組みを問う科目で、呼吸・循環・神経・筋肉・代謝・血液・免疫・体温調節などがテーマです。理科的な知識が必要で、初学者が最も苦戦しやすい科目です。暗記ではなく「なぜそうなるか」を理解することが得点につながります。
どの科目も足切り(40点以上)があるため、得意科目だけ伸ばす方針は危険です。苦手科目を最初に潰してから得意科目で点を重ねる順序が安定します。
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第二種衛生管理者資格の維持・更新について
第二種衛生管理者免許には有効期限がなく、更新手続きは不要です。一度取得すれば生涯有効な国家資格です。
ただし、衛生管理者として選任された後は、定期的な研修受講が推奨されています。法改正・最新の衛生管理の知見を学ぶために、都道府県労働局・安全衛生技術センター・各種機関が主催する衛生管理者向け研修への参加を積極的に検討しましょう。
第二種から第一種への切り替え方法
第二種衛生管理者免許を取得した後、将来的に第一種衛生管理者免許が必要になった場合:
- 第二種免許保有者は「第一種衛生管理者試験の一部科目免除」が適用される
- 免除対象:「労働衛生(有害業務に係るもの以外)」「関係法令(有害業務に係るもの以外)」の2科目
- 受験科目は「労働衛生(有害業務に係るもの)」「関係法令(有害業務に係るもの)」「労働生理」の3科目
第二種免許を取得しておくことで、将来第一種を取得する際の負担を大幅に軽減できます。まず第二種を取得してから、必要に応じて第一種取得を目指すというステップアップの方法も有効です。
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出典:公益財団法人安全衛生技術試験協会「衛生管理者免許試験 試験案内」「合格率等一覧」(令和7年度)。2026年11月時点の情報です。


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