第二種衛生管理者は「有害業務を行わない事業場」でのみ選任できます。IT・金融・保険・卸売・小売・教育・一般サービス業は第二種で対応できる業種の代表例です。製造業・建設業・農林業・清掃業など有害業務が伴う可能性が高い業種は第一種が必要です。同じ企業でも、事業場(支店・工場・本社)ごとに判断が異なる場合があります。
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「有害業務の有無」が第一種・第二種の分かれ目
第一種と第二種の選任対象を分ける基準は、事業場(職場)で「有害業務を行うかどうか」です。「有害業務」とは、労働安全衛生法に基づく規則で定められた一定の危険・有害な作業のことを指します。具体的には以下のような業務が該当します。
- 特定化学物質(ベンゼン・クロム・ヒ素・アクリルアミドなど)の製造・取り扱い
- 有機溶剤(トルエン・キシレン・アセトンなど)の業務上の使用
- 放射線業務(エックス線・ガンマ線・中性子線などを取り扱う)
- 鉛業務(鉛合金の溶融・製造・加工)
- 粉じん作業(岩石・鉱物・炭素の粉じんを発生させる作業)
- 著しく暑熱・寒冷・多湿な場所での業務
- 異常気圧下での業務(高圧室・潜水など)
これらの有害業務を行っている事業場には第一種が必要です。これらが一切ない事業場であれば第二種で選任義務を満たせます。
根拠となる法令は「労働安全衛生規則第7条」です(全条文はe-gov法令検索「昭和47年労働省令第32号」の第7条をご確認ください)。
第二種で対応できる業種の一覧
試験協会は「有害業務と関連の少ない情報通信業、金融・保険業、卸売・小売業などの業種」と公式に例示しています(出典:試験案内)。これを踏まえ、一般的に第二種で対応できる業種を整理します。
| 業種分類 | 具体例 | 備考 |
|---|---|---|
| 情報通信業 | IT企業、ソフトウェア開発、通信会社、データセンター | オフィスワーク中心のため一般的に第二種可 |
| 金融・保険業 | 銀行、証券会社、保険会社、ファンド、信金 | 有害業務なし |
| 卸売・小売業 | 百貨店、スーパー、コンビニ(本部)、ネット通販 | 食品の加工製造が主でない場合 |
| 不動産業 | 不動産仲介、マンション管理、ビル管理(事務部門) | 清掃・設備の有害業務がない部門 |
| 飲食業・宿泊業 | ホテル本部、飲食チェーン本部・管理部門 | 食品製造工程が主でない場合 |
| 教育・学習支援業 | 学校(事務部門)、塾、予備校、研修施設 | 有害実験・化学薬品使用がない部門 |
| 医療・福祉 | 一般病院(放射線・薬品なしの部門)、介護施設、デイサービス | 業務内容による(後述) |
| サービス業 | 美容室、エステ、フィットネス、コールセンター | 薬品・特化則対象物質を使わない場合 |
| 各種法人の本社・管理部門 | 製造業の本社(管理業務のみ)、支社・営業所 | 事業場単位での判断が必要 |
第一種が必要な業種の一覧
有害業務が伴う可能性が高い業種では第一種が必要です。
| 業種分類 | 具体例 | 有害業務の主な種類 |
|---|---|---|
| 製造業 | 化学品、金属、食品加工、繊維、電子部品、自動車 | 特化物・有機溶剤・粉じん・高温 |
| 建設業 | 塗装・溶接・解体・掘削・トンネル工事 | 有機溶剤・石綿・粉じん・高圧 |
| 農林業・漁業 | 農薬散布を含む農業、林業(チェーンソー等) | 農薬(特化物)・振動 |
| 鉱業 | 採掘、砕石、精製 | 粉じん・有害ガス・高圧 |
| 電気・ガス・水道業 | 発電所、ガス製造・配管、浄水場 | 有害ガス・高圧・放射線 |
| 清掃業・廃棄物処理業 | 産業廃棄物処理、感染性廃棄物処理 | 有害物質・感染リスク |
| 運送業(一部) | 危険物輸送・有害物質の輸送・保管 | 有害物輸送 |
| 医療業(一部) | 放射線検査室、手術室(麻酔ガス)、調剤薬局(特化物含む薬品) | 放射線・特化物・麻酔ガス |
| 金属加工業 | めっき、表面処理、塗装、溶接 | 特化物・有機溶剤・粉じん |
同じ企業・同じ建物でも事業場によって判断が異なる場合
衛生管理者の選任義務は「事業場単位」です。事業場とは、一般的には同一の場所(工場・店舗・事務所など)で組織的な一体性を持って行われている業務単位のことです。
例えば、同じ企業でも次のように事業場によって判断が分かれることがあります。
- 本社(管理部門のみ):有害業務なし → 第二種可
- 製造工場(同じ企業の別事業場):有害物質使用 → 第一種必要
また、同じビル内でも、オフィス部門(有害業務なし)と実験室部門(有害物質使用)が別の事業場として扱われるケースもあります。「会社全体で第一種が必要か第二種でよいか」ではなく、「この事業場の業務内容に有害業務が含まれるか」で個別に判断します。
医療・福祉は業務内容で判断が必要
医療・福祉業界は、有害業務があるかどうかが部門・業務内容によって大きく変わるため、一概に第二種でよい・第一種が必要とは言えません。
一般的に第二種で対応できるケース:
- 有料老人ホーム・特別養護老人ホーム・介護施設(薬品・放射線なし)
- 訪問介護事業所・居宅介護支援事業所
- 放課後等デイサービス・児童発達支援施設
- 一般病院の医療事務・総務・経理部門
第一種が必要になることが多いケース:
- 放射線検査室・CT・MRIを設置している診療部門
- 手術室(麻酔ガスを使用する場合)
- 病院薬局(特定化学物質を含む薬品を調剤・製造する場合)
- 臨床検査技師が使用する試薬に特定化学物質が含まれる場合
同じ病院でも、事務部門と診療部門を別の事業場として扱う場合もあれば、一体として扱う場合もあります。不明な点は所轄の労働基準監督署に確認することを勧めます。
清掃業・廃棄物処理業は第一種が必要な場合が多い
清掃業・廃棄物処理業は、有害物質を含む廃棄物の取り扱いや感染性廃棄物の処理が伴う場合があります。これらの業務は有害業務に該当するため、第一種衛生管理者が必要です。一般的なビルメンテナンス(有害物質なしの清掃作業のみ)の場合は第二種でよいこともありますが、事業場の業務内容によって判断が変わります。
判断に迷ったときの確認先
自分の事業場が第二種でよいか第一種が必要かの判断に迷う場合は、以下に相談・確認することができます。
- 所轄の労働基準監督署(都道府県・市区ごとに管轄が異なります)
- 産業保健総合支援センター(産業医や保健師への相談窓口)
- 所属する業界団体の安全衛生担当部門
衛生管理者の選任を怠ると、労働安全衛生法第120条に基づき50万円以下の罰金の対象となります。また、労働基準監督署の監督時に未選任が発覚すると是正勧告を受けます。「第二種でよいか不明」な状況で判断を先送りにするより、早めに確認することが安全です。
出典:安全衛生技術試験協会 試験案内(業種の例示)。法令の詳細は「労働安全衛生規則第7条」(e-gov法令検索)。2026年11月時点の情報です。
第二種でよくある誤解:「第二種で大丈夫か」の確認方法
「自分の職場は第二種衛生管理者で対応できるか」と迷うケースをご紹介します。
第二種で対応できるケース(例)
- ITシステム会社でのSE・プログラマー・PM業務
- 保険会社・銀行・証券会社での事務・営業業務
- デパート・スーパー・コンビニでの販売・管理業務
- 学校・塾・予備校での教育業務
- 病院・クリニックの医事課・受付・事務業務
- ホテル・旅館での接客・フロント業務
- 運送会社の事務部門(配送ドライバーが主体でも事務職場なら可)
第一種が必要なケース(例)
- 工場・製造業での生産ライン業務(金属加工・化学品製造・食品製造など)
- 建設現場での施工管理・作業員業務
- 農業・林業・漁業での現場業務
- 鉱業・採掘業での採掘現場業務
- 清掃業・廃棄物処理業での現場業務
同じ会社の中でも、有害業務がある部門には第一種が必要で、事務部門だけなら第二種で対応できる場合があります。会社の業種だけで判断せず、選任する事業場での「実際の業務内容」で判断することが重要です。
複数の事業場を抱える企業での対応
同じ企業が製造部門(有害業務あり)とオフィス部門(有害業務なし)の両方の事業場を持つ場合:
- 製造部門の事業場:第一種衛生管理者を選任
- オフィス部門の事業場:第二種衛生管理者の選任も可能
第一種衛生管理者は第二種衛生管理者の業務を兼任できますが、第二種衛生管理者は第一種衛生管理者の業務を兼任できません。両方の事業場を担当する衛生管理者は第一種免許が必要になります。
不明な場合の確認先
自分の事業場に第一種と第二種のどちらが必要か判断が難しい場合:
- 管轄の労働基準監督署に確認する(無料で相談できる)
- 安全衛生技術センターに問い合わせる
- 会社の法務・コンプライアンス担当に確認する
誤って第二種衛生管理者を第一種が必要な事業場に選任してしまうと、労働安全衛生法違反になる可能性があります。不明な点は事前に確認することを強くお勧めします。
業種判断の具体的なケーススタディ
第二種で対応できるか判断しにくいケースをQ&A形式でまとめます。
- Q:製造業の本社・管理部門でも第一種が必要ですか?
- A:事業場単位で判断します。本社・管理部門が製造工場と別の事業場(別の場所にある場合)で、有害業務がない場合は第二種で対応できます。同じ建物・敷地内にあり同一事業場とみなされる場合は第一種が必要です。
- Q:飲食店は有害業務ですか?第一種が必要ですか?
- A:一般的な飲食店(レストラン・カフェ等)は有害業務とはみなされず、第二種衛生管理者で対応できます。ただし食品加工工場(製造業)は第一種が必要になる場合があります。
- Q:医療機関(病院・クリニック)は第一種と第二種どちらが必要ですか?
- A:医療機関は病理・細菌検査業務など有害業務を含む場合があるため、一般的には第一種衛生管理者が必要とされます。ただし具体的な業務内容や事業場の規模によって異なります。
不明な場合は安易に判断せず、管轄の労働基準監督署や安全衛生技術センターに確認することを強くお勧めします。
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▶ 第二種衛生管理者 過去問・AI問題集
出典:公益財団法人安全衛生技術試験協会「衛生管理者免許試験 試験案内」「合格率等一覧」(令和7年度)。2026年11月時点の情報です。

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