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クレーンの巻過防止装置(過巻防止装置)は、フックや荷が上昇しすぎてドラムやシーブに接触・衝突するのを防ぐ安全装置です。クレーン等安全規則第18条で原則すべてのクレーンへの設置が義務付けられており、「どんな場合に作動するか」「どの形式か」が試験の出題ポイントになります。
出典:クレーン等安全規則第18条
巻過防止装置の目的と動作
クレーンのホイスト(巻き上げ機)がフックを上昇させ続けると、最終的にフックがドラムやシーブに衝突してワイヤロープの切断・クレーン本体の破損につながります。
巻過防止装置はフックが「所定の上限位置」まで上昇した時点で、自動的に巻き上げ動作を停止させます。
主な形式と動作原理
重錘形(おもり形)巻過防止装置
- フックがドラムに吊るされた重錘(おもり)を押し上げることで接点(リミットスイッチ)を切る
- フックが重錘に当たった瞬間に電源が遮断される仕組み
- シンプルな構造で信頼性が高い
スクリュー形巻過防止装置
- 巻き上げドラムの回転をスクリュー軸の動きに変換し、設定位置でリミットスイッチを作動させる
- ドラムの回転数で位置を管理する方式
レバー形(リミットスイッチ形)巻過防止装置
- フックがワイヤで引き上げた際に、レバーを押して接点を切る仕組み
設置義務と例外
クレーン等安全規則第18条では、次の場合を除きすべてのクレーンに巻過防止装置の設置を義務付けています。
- 直働式(スクリュータイプ)の場合で、フックが過巻きされる前に機械的に停止できる構造のもの
- つり上げ速度が毎分1.5m以下のもの(巻き上げ速度が遅いため過巻きのリスクが低い)
「毎分1.5m以下のクレーンは例外」という数値は試験で問われるポイントです。正確に覚えてください。
試験での出題ポイント
- 巻過防止装置の設置義務(原則すべてのクレーン)
- 例外の条件(直働式・毎分1.5m以下)
- 重錘形の動作原理(フックが重錘を押し上げて接点を切る)
- 作動後の対応(巻き上げを止めてから原因を確認する)
過負荷防止装置との違い
巻過防止装置とよく混同される装置に「過負荷防止装置」があります。2つは目的が全く異なります。
| 比較項目 | 巻過防止装置(過巻防止装置) | 過負荷防止装置 |
|---|---|---|
| 防止する事故 | フックの過巻き(上限超過による衝突) | 定格荷重を超えた荷のつり上げ |
| 動作条件 | フックが上限位置まで上昇したとき | 荷重が定格荷重を超えたとき |
| 設置義務 | 原則すべてのクレーン(毎分1.5m超のもの) | つり上げ荷重3t以上のクレーン |
| 根拠条文 | クレーン則第18条 | クレーン則第23条 |
試験では「どちらの装置か」を判断する問題が出題されます。「荷の重さに関係する→過負荷防止装置」「フックの高さに関係する→巻過防止装置」と覚えると判断しやすくなります。
巻過防止装置の作動後の対応
巻過防止装置が作動した場合は、次の手順で対応します。
- 巻き上げ動作を即座に停止する(装置が自動停止するが、操作者も確認する)
- 巻き下げ方向に少しだけ操作してフックを下げる(巻過状態から解除する)
- 装置が正常に作動しているか確認する
- 装置の不具合が疑われる場合はクレーンの使用を中止し、整備担当者に連絡する
試験での出題パターン(整理)
公表問題での出題パターンをまとめます。
- 「巻過防止装置の設置が義務付けられているのはどれか」→ 原則すべてのクレーン(ただし毎分1.5m以下は例外)
- 「重錘形巻過防止装置の動作を説明しているのはどれか」→ フックが重錘を押し上げてスイッチを切る
- 「過負荷防止装置の設置義務はつり上げ荷重何t以上か」→ 3t以上
- 「巻過防止装置の例外となる条件はどれか」→ 巻き上げ速度が毎分1.5m以下
装置名・設置義務のしきい値・例外条件の3点セットを正確に記憶することが得点のポイントです。
巻過防止装置の点検と整備
巻過防止装置は月次の定期自主検査項目に含まれます(クレーン則第35条)。月1回以上、装置が正常に作動するかを確認します。確認方法は装置の形式によって異なります。
- 重錘形:フックを上昇させて重錘に当たったときに自動停止するか確認する。重錘の位置・ワイヤの状態も確認。
- スクリュー形:設定位置でリミットスイッチが正常に作動するか確認する。
試験に出る関連安全装置の一覧
クレーン知識科目では複数の安全装置がまとめて出題されることがあります。代表的な安全装置を整理します。
| 安全装置名 | 目的 | 設置義務のしきい値 |
|---|---|---|
| 巻過防止装置 | フックの過巻きによる衝突防止 | 原則全クレーン(毎分1.5m超) |
| 過負荷防止装置 | 定格荷重超過の吊り上げを防止 | つり上げ荷重3t以上 |
| 逸走防止装置 | 強風による逸走・転倒防止 | 屋外設置クレーン |
| 外れ止め装置 | フックから荷・玉掛け用具が外れる防止 | 全クレーンのフック |
各装置の「目的」と「設置義務のしきい値」を対応させて覚えることが試験対策の核心です。
過巻きが発生した場合の対応と報告
巻過防止装置が作動して自動停止した場合や、何らかの原因でフックが過巻き状態になった場合は、以下の手順で対応します。
- 直ちに巻き上げを停止する
- 巻き下げ方向に少しだけ操作してフックを安全な位置まで下げる
- 装置の状態を目視確認し、異常があれば使用を停止する
- 作業再開前に整備担当者による点検を受ける
過巻き発生は「ヒヤリハット」事例として記録・報告することが安全管理上推奨されます。同様の事故を繰り返さないための原因調査・是正措置が必要です。
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本記事はクレーン等安全規則(昭和47年労働省令第34号)に基づきます。受験前に安全衛生技術試験協会の公式サイト(https://www.exam.or.jp/)でご確認ください。

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