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天井クレーン・橋形クレーン・ジブクレーンは、いずれもクレーン・デリック運転士免許が必要な固定式クレーンですが、構造・移動方向・設置場所がそれぞれ異なります。クレーン知識科目の出題頻度が高いテーマで、各クレーンの特徴と違いを正確に理解することが試験対策のポイントです。
出典:クレーン等安全規則第1条(定義)・安全衛生技術試験協会 受験案内
3種類のクレーンの比較
| 種類 | 構造の特徴 | 主な設置場所 | 走行方向 |
|---|---|---|---|
| 天井クレーン(オーバーヘッドクレーン) | 天井近くのレール上を走行するガーダ+トロリー | 屋内工場・倉庫 | 走行(前後)+横行(左右) |
| 橋形クレーン(ガントリークレーン) | 門型の脚でレール上を走行 | 屋外ヤード・港湾 | 走行(前後)+横行(左右) |
| ジブクレーン | ジブ(腕)を旋回させて荷を移動 | 工場・港湾・建設現場 | 旋回(360°または限定角度) |
天井クレーン(オーバーヘッドクレーン)
工場内で最も多く見られる固定式クレーンです。工場の屋根に近い高さに設置されたランウェイレール(走行レール)の上を走行します。
構造の詳細
- ガーダ(桁):横方向(走行方向と直交する方向)に架け渡した主桁。トロリーがこの上を横行する。
- エンドキャリア(サドル):ガーダの両端に位置し、走行レール上を走る車輪を持つ部分。
- トロリー:ガーダの上を横行する台車。ホイスト(巻き上げ装置)を搭載し、フックで荷を吊り上げる。
主な形式
- 普通型天井クレーン(単機形):1本のガーダにトロリーが1台。最も一般的な形式。
- 双胴型天井クレーン:2本のガーダを並列に配置した形式。大きなつり上げ荷重に対応。
- モノレール式(アンダーハング型):梁の下部に設置したレールを走行する形式。工場内の天井高が低い場所向け。
床上操作式クレーンと運転室式の違い
- 運転室式:クレーン本体に設置した運転室から操作する。
- 床上操作式:床上に設置したペンダントスイッチで操作する。運転者が荷の移動とともに床上を歩く。
床上操作式クレーンは「床上運転式クレーン限定」免許の対象になります。
橋形クレーン(ガントリークレーン)
門型の脚で地面のレール上を走行するクレーンです。屋外の広いヤードに設置されます。
構造の特徴
- 天井クレーンに似た水平なガーダを、両端の脚で支える「門型」の構造
- 脚はランウェイレール(地上)上を走行する
- 屋外設置のため、強風対策としてレール止め(アンカー等)の設備が必要
主な使用場所
- コンテナターミナル(コンテナクレーン)
- 製鉄所・鉄鋼ヤード
- 製材所・木材ヤード
- 造船所
天井クレーンとの違い
天井クレーンは建物の天井構造に吊られているのに対し、橋形クレーンは脚で自立した構造で地上のレール上を走行します。屋外に設置できる点が大きな違いです。
ジブクレーン
ジブ(腕)を旋回させることで荷を移動させるクレーンです。走行ではなく旋回で荷を動かす点が天井・橋形クレーンとの違いです。
主な形式
- 壁付きジブクレーン:工場・倉庫の壁や柱に固定して設置。ジブが一定の角度で旋回する。
- 床置きジブクレーン(ポスト型):床に固定した支柱(ポスト)にジブを取り付ける形式。360°旋回できるものもある。
- タワークレーン:高層ビルの建設で使われる大型のジブクレーン。水平ジブと鉛直マストで構成される。
ジブクレーンの特徴
- 作業半径によって定格荷重が変わる(ジブが長く伸びるほど最大荷重が低下する)
- 旋回によって荷を移動するため、走行スペースが不要
- タワークレーンは建設中の構造物に固定され、建設の進行に合わせてジャッキアップ(クライミング)する場合がある
試験での出題傾向
クレーン知識科目では次のパターンで問われます。
- 各クレーンの特徴(構造・移動方向)の正誤判断
- 天井クレーンの各部名称(ガーダ・エンドキャリア・トロリー)の組み合わせ
- 橋形クレーンとアンダーハング型の設置場所の違い
- ジブクレーンの作業半径と定格荷重の関係
各クレーンの「走行・横行・旋回」の動作方向と、設置場所(屋内/屋外)を対応させて覚えると問題に対応しやすくなります。
テルハ(ホイスト)とアンダーハング型クレーン
天井クレーン・橋形クレーン・ジブクレーン以外にも、試験で出題される固定式クレーンがあります。
テルハ
工場・倉庫の梁や天井の骨組みにレールを設置し、そのレールに沿って移動する小型の巻上機(ホイスト)です。天井クレーンとの違いは、トロリーの横行のみで走行(前後移動)機能を持たない点です。荷を1方向にしか動かせないため、作業範囲が限定されます。
アンダーハング型天井クレーン
通常の天井クレーン(オーバーヘッド型)はレールの上を走行しますが、アンダーハング型は梁の下側にレールを設置してクレーンを吊り下げる形式です。建物の天井が低い場所や、既存の建物に後から設置する場合に採用されます。
各クレーンの安全装置との関係
クレーン等安全規則では、クレーンの種類に関わらず各種安全装置の設置を義務付けています。
| 安全装置 | 対象となるクレーン | 条文 |
|---|---|---|
| 巻過防止装置 | 原則すべてのクレーン(毎分1.5m以下の場合は例外) | クレーン則第18条 |
| 過負荷防止装置 | つり上げ荷重3t以上のクレーン | クレーン則第23条 |
| 逸走防止装置 | 屋外に設置されたクレーン(橋形クレーン等) | クレーン則第31条 |
| 風速計(アネモメーター) | 屋外クレーンで高さ60m以上のもの等 | クレーン則第53条等 |
橋形クレーンは屋外設置が多いため、強風による逸走防止装置の設置義務が特に重要です。試験でも「屋外クレーンの安全装置」として出題されます。
各クレーンの定格荷重と作業半径
クレーンの「つり上げることができる最大の荷重」を定格荷重といいます。クレーンの種類によって定格荷重の考え方が異なります。
天井クレーン・橋形クレーンの定格荷重
トロリーの位置によって定格荷重が変化する場合があります。ただし多くの場合は最大荷重が一定で設計されています。
ジブクレーンの定格荷重
ジブクレーンは作業半径(旋回中心からフックまでの水平距離)が長くなるほど定格荷重が低下します。これを「負荷曲線」または「性能曲線」といい、ジブの傾斜角と荷重の関係を示す資料がクレーンに備え付けてあります。試験では「ジブクレーンは作業半径が大きくなると定格荷重が減少する」という特性が問われます。
クレーンの選定と試験への応用
3種類のクレーンはそれぞれ設置環境・作業内容に応じて使い分けられます。試験では「どのクレーンの説明として正しいか」という正誤判定問題が出ます。判定に迷わないよう、次の特徴を対比して覚えると効果的です。
| 特徴 | 天井クレーン | 橋形クレーン | ジブクレーン |
|---|---|---|---|
| 設置場所 | 屋内 | 屋外(屋内も可) | 屋内・屋外両方 |
| レール位置 | 建物天井 | 地面 | なし(旋回) |
| 移動方法 | 走行+横行 | 走行+横行 | 旋回(+起伏) |
| 屋外安全装置 | 原則不要 | 逸走防止装置等が必要 | 機種による |
| 定格荷重の変化 | 基本一定 | 基本一定 | 作業半径で変化 |
覚え方のポイント
試験で混同しやすいポイントを整理します。
- 天井クレーン vs 橋形クレーン:「レールが天井にあるか地面にあるか」で区別する。天井クレーンは建物に依存(屋内専用)、橋形クレーンは脚で自立(屋外にも設置できる)。
- 橋形クレーン vs ガントリークレーン:同じ意味。橋形=ガントリーと覚える。
- ジブクレーン vs 天井・橋形クレーン:「荷を移動させる方法」が違う。前者は旋回、後者は走行+横行。
- タワークレーンはジブクレーンの一種:建設現場の高い場所に設置された大型ジブクレーン。
試験問題の解き方(実例)
「次の記述のうち、正しいものを選べ」形式での対処法を示します。
例:「橋形クレーン(ガントリークレーン)は建物の天井に設置されたランウェイレール上を走行する」→ 誤り(地面に設置したレール上を走行する。天井レールは天井クレーン。)
例:「ジブクレーンは作業半径が大きくなるにつれて定格荷重も増加する」→ 誤り(作業半径が大きくなると定格荷重は減少する。)
各クレーンの「強調すべき固有の特徴」を1〜2点に絞って記憶すると、誤った記述の引っかかりを見抜きやすくなります。
クレーンの使用制限と安全管理
クレーンの種類に関わらず、安全な運転のための規制があります。試験では法令科目との組み合わせで出題されることがあります。
強風時の使用制限(屋外クレーン)
橋形クレーンなど屋外に設置されたクレーンは、強風時の使用制限があります。
- 瞬間風速が毎秒30mを超えた場合:作業後にクレーンの各部について点検を行う(クレーン則第31条の3)
- 強風(暴風)が予想される場合:逸走防止のための措置(ストッパー・レール固定等)を行う(クレーン則第31条)
地震後の点検
中震以上の地震(震度4以上)が発生した後は、作業開始前にクレーンの各部を点検します。
屋外設置クレーンの逸走防止
橋形クレーンは屋外に設置されるため、強風による逸走(クレーンがレールから外れて移動・転倒する事故)の防止措置が必要です。
- レールクランプ:クレーンの車輪をレールに固定するクランプ装置。作業終了後・強風時に装着する。
- アンカー(係留装置):クレーンをレール等に固定する装置。
- 逸走防止装置:強風を感知してクランプを自動作動させる装置。
屋内の天井クレーンは強風に直接さらされないため、逸走防止装置の設置義務は屋外クレーンが主な対象となります。
タワークレーンの特徴と安全管理
タワークレーンは建設現場でよく見かけるジブクレーンの一種です。試験のクレーン知識科目で出題されることがあります。
タワークレーンの特徴
- 水平ジブ(クロスバー)がマストの上部に取り付けられた「水平ジブ型タワークレーン」が一般的
- ジブが360°旋回し、建設中の建物全体をカバーできる
- 建設の進行に合わせてクライミング(ジャッキアップ)して高さを増していく
- 大型タワークレーンはつり上げ荷重が数十トンに達するものもある
解体時の注意点
タワークレーン自体の解体作業には計画の届出(解体工事届)が必要です。タワークレーンは建物完成後に解体します。
試験前の最終確認(クレーン種類のまとめ)
試験直前に確認すべき「各クレーンの固有特徴」を1〜2点に絞って整理します。
| クレーンの種類 | 試験に出る固有特徴 |
|---|---|
| 天井クレーン(オーバーヘッド) | 建物の天井・走行レール上を走行。ガーダ・エンドキャリア・トロリーで構成 |
| 橋形クレーン(ガントリー) | 地面のレール上を自立した脚で走行。屋外に設置可能。逸走防止装置が必要 |
| ジブクレーン | ジブを旋回させて荷を移動。作業半径が大きくなると定格荷重が減少する |
| テルハ | 走行機能なし・横行のみ。1方向にしか荷を移動できない |
| タワークレーン | ジブクレーンの一種。建設現場でクライミングして高さを増す |
クレーンの設置届と使用開始報告
クレーンの設置・使用開始には届出が必要です。クレーンの種類・規模によって手続きが異なります。
- つり上げ荷重3t以上:設置工事開始の30日前までに「クレーン設置届」を労働基準監督署に提出(クレーン則第5条)
- 設置後の落成検査:設置工事が完了したら落成検査を受ける(クレーン則第7条)。検査に合格するとクレーン検査証が交付される
- つり上げ荷重3t未満:設置届の提出義務はないが、使用前に自主検査を行う
「クレーン設置届は工事開始の何日前か」という数値(30日前)が法令科目で出題されます。
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本記事はクレーン等安全規則(昭和47年労働省令第34号)および安全衛生技術試験協会の受験案内に基づきます。受験前に安全衛生技術試験協会の公式サイト(https://www.exam.or.jp/)でご確認ください。

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