玉掛けとクレーン・デリック運転士のセット取得【順番・費用・メリットを解説】

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玉掛け技能講習とクレーン・デリック運転士免許はセットで取得する現場が多く、2つを組み合わせることで「荷を縛って・クレーンで吊り上げる」一連の作業を1人でこなせます。工場・建設・物流などの現場でセット取得が評価されます。この記事では2つの資格の関係・取得順序・費用・期間をまとめます。

出典:労働安全衛生法施行令第20条・玉掛け技能講習規程(厚生労働省)

玉掛けとクレーン運転、それぞれの仕事

クレーン作業には2つの役割があります。

  • クレーン運転士:クレーンを操作して荷を吊り上げ・移動させる役割。クレーン・デリック運転士免許(または技能講習)が必要。
  • 玉掛け作業者:荷にワイヤロープやスリングを掛けて、クレーンで吊れる状態にする役割。玉掛け技能講習修了または玉掛け業務特別教育の修了が必要。

クレーン運転士免許を持っていても、玉掛けの資格がなければ玉掛け作業はできません。逆に玉掛けの資格だけではクレーン(つり上げ荷重5t以上)の運転はできません。

必要な資格の法的根拠

作業 必要な資格 根拠
クレーン運転(5t以上) クレーン・デリック運転士免許 労働安全衛生法施行令第20条
クレーン運転(1t以上5t未満) クレーン運転業務技能講習修了 同上
玉掛け作業(1t以上のクレーン使用時) 玉掛け技能講習修了 労働安全衛生法施行令第20条
玉掛け作業(1t未満のクレーン使用時) 玉掛け業務特別教育修了 労働安全衛生法第59条

セット取得のメリット

現場での即戦力になる

クレーン運転だけでは玉掛けができず、玉掛けだけではクレーンを動かせません。両方持つことで作業効率が上がり、現場での重要度が高まります。特に人員が少ない現場では、玉掛けとクレーン運転を1人でこなせる作業者が重宝されます。

採用・転職に有利

建設・物流・製造業の求人では「玉掛け+クレーン運転士」をセットで求める案件が多くあります。片方だけより両方持つほうが応募できる求人の幅が広がります。

学科試験で科目免除が活用できる場合がある

移動式クレーン運転士免許を先に持っている場合、クレーン・デリック運転士の学科試験で「力学に関する知識」が免除になります。免除科目がある分、学習範囲を絞ることができます。

取得する順番

どちらを先に取るべきかは、現場の状況によります。

玉掛け→クレーン免許の順

  • 玉掛け技能講習は2〜3日で修了できる
  • 先に玉掛けを取ることで、現場に早く出られる
  • 玉掛け作業を経験してからクレーン試験の勉強に入るとイメージしやすい

クレーン免許→玉掛けの順

  • クレーン免許は学科試験+実技試験で取得に数か月かかる
  • 先に難易度の高い免許を取り、後から玉掛けを追加する方法
  • すでにクレーン業務に従事しており玉掛けだけ必要な場合

玉掛け技能講習の概要

玉掛け技能講習は都道府県労働局長登録の教習機関で受講できます。

項目 内容
受講資格 18歳以上
受講期間 2〜3日間(学科+実技)
学科内容 クレーン等の知識・力学・玉掛け用具・関係法令
実技内容 玉掛け作業の実技演習
費用目安 約20,000〜30,000円(機関・地域によって異なる)

※費用は各実施機関にお問い合わせください。

クレーン・デリック運転士試験の概要(再確認)

項目 内容
学科試験手数料 8,800円(非課税)
実技試験手数料 14,000円(非課税)
令和6年度合格率(クレーン限定) 59.1%
試験センター 全国7か所

出典:安全衛生技術試験協会「令和6年度の各種免許試験(学科)の合格率一覧表」

セット取得にかかる費用・期間の目安

資格 費用目安 取得期間目安
玉掛け技能講習 約20,000〜30,000円 2〜3日
クレーン・デリック運転士(学科+実技) 約50,000〜100,000円以上(実技教習含む) 2〜4か月

クレーン・デリック運転士の実技は指定教習機関の費用が別途かかります。機関によって料金が異なるため、受験前に各機関に問い合わせることをおすすめします。

玉掛けとクレーン以外の関連資格

作業の幅をさらに広げる関連資格として次のものがあります。

  • 移動式クレーン運転士:トラッククレーン等の移動式クレーンを運転。クレーン・デリック運転士と別の国家試験。
  • フォークリフト運転技能講習:倉庫・工場での荷役に使われる。物流現場での汎用性が高い。
  • 小型移動式クレーン運転技能講習:つり上げ荷重1t以上5t未満の移動式クレーン用。免許不要・講習のみで取得可能。

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本記事は労働安全衛生法施行令・クレーン等安全規則に基づきます。玉掛け技能講習の費用・日程は各実施機関によって異なるため、受講前に登録教習機関に直接確認してください。クレーン試験の詳細は安全衛生技術試験協会の公式サイト(https://www.exam.or.jp/)でご確認ください。

玉掛けとクレーン、両方持つ人の1日の仕事の流れ

工場や建設現場でクレーン・玉掛け両方の資格を持っている場合、次のような流れで作業を1人でこなすケースがあります。

  1. 荷の重量・重心を確認し、適切な吊り具(ワイヤロープ・スリング)を選ぶ
  2. 玉掛け作業者として荷に吊り具を掛け、合図を確認する
  3. クレーン運転士として操作室またはペンダントスイッチ(床上型)でクレーンを動かす
  4. 目的地に荷を下ろし、吊り具を外す

人員が少ない職場では、この一連の作業を1人でできる技術者が評価されます。ただし、現場によっては安全上の理由で玉掛けとクレーン操作を別の人が担当するルールを設けているところもあります。

先にどちらを取るかの判断基準

実際の状況に合わせて、次のように判断してください。

状況 おすすめの順序
今すぐ現場に入りたい・仕事が決まっている 玉掛け先行。2〜3日で取れるため、早く現場デビューできる。
クレーン運転士を本命にしており、じっくり勉強したい クレーン免許先行。学科試験の勉強に集中してから、後で玉掛けを追加。
移動式クレーン運転士免許をすでに持っている クレーン・デリックの学科試験で力学が免除になるため、先にクレーン・デリックを受験すると学習範囲が絞れる。

費用をできるだけ抑えるポイント

  • 玉掛け技能講習は職場の費用補助を活用する:労働安全衛生法の義務資格であるため、会社負担や一部補助が出るケースが多い。
  • クレーン学科試験の受験前にしっかり勉強する:学科試験(8,800円)は1回で合格できれば再受験のコストがかからない。再受験は費用と時間のロスになる。
  • 実技教習機関は地域内で比較する:実技教習は機関・地域によって費用に幅がある。複数の機関の料金・日程を確認してから申込む。

玉掛け・クレーン以外の関連資格で広がるキャリア

  • 移動式クレーン運転士:トラッククレーン・クローラークレーンの運転。建設・解体現場での需要が高い。
  • 高所作業車運転技能講習:物流倉庫・設備メンテナンスでの高所作業に使える。
  • 車両系建設機械(整地・運搬)運転技能講習:重機オペレーターとしての幅が広がる。

クレーン・玉掛けをベースに複数の資格を持つことで、建設・製造・物流の各現場で重宝される技術者になれます。

玉掛け技能講習の修了と特別教育の違い

玉掛けの資格には「玉掛け技能講習」と「玉掛け業務特別教育」の2種類があります。どちらが必要かはつり上げ荷重によって決まります。

区分 必要な資格 対象クレーン
つり上げ荷重1t以上のクレーン使用時 玉掛け技能講習修了 免許が必要なクレーンを含む
つり上げ荷重1t未満のクレーン使用時 玉掛け業務特別教育修了 小型クレーン・ホイスト等

出典:労働安全衛生法施行令第20条・労働安全衛生規則第36条

クレーン・デリック運転士(つり上げ荷重5t以上の固定クレーン)で作業する場合は、玉掛けも「技能講習修了」が必要です。特別教育だけでは不十分です。

実際の現場での資格確認

クレーンと玉掛けの資格が必要な現場では、雇用主(事業者)は作業開始前に各作業者の資格を確認する義務があります(労働安全衛生法第59条)。資格証(修了証・免許証)は作業現場で提示を求められる場合があるため、常に携帯または写しを準備しておくとスムーズです。

クレーン・デリック運転士試験の学科免除制度まとめ

保有免許 免除される科目
移動式クレーン運転士免許 力学に関する知識
揚貨装置運転士免許 力学に関する知識
ボイラー・タービン主任技術者免状(第一種) 原動機及び電気に関する知識

玉掛け技能講習の修了は学科試験の免除には該当しません。あくまで「玉掛け作業の許可証」としての効力です。

クレーン・玉掛けセット取得後の代表的な求人パターン

実際の求人票でよく見かける記載パターンを確認しておきましょう。クレーンと玉掛けの両方を求める求人は業種別に次のような傾向があります。

製造業(工場)

「クレーン・デリック運転士免許 必須」「玉掛け技能講習修了 必須(または優遇)」という形で両方を求める案件が多く見られます。特に自動車・鉄鋼・電機・食品の大手メーカーとその請負業者では、ライン作業員やクレーン専任オペレーターとしてセット保有が評価されます。

物流・倉庫

大型物流センターや重量物倉庫では「玉掛け技能講習修了 必須・クレーン運転士 優遇」の形式が多い。フォークリフト免許と組み合わせると採用可能性がさらに広がります。

建設業・解体業

「移動式クレーン運転士 必須・玉掛け技能講習修了 必須」という求人が多く、クレーン・デリック運転士はあれば優遇という位置づけになることが多いです。建設現場では固定式より移動式クレーンの需要が高いためです。

玉掛け技能講習の受講から修了までの流れ

  1. 受講機関を選ぶ:各都道府県の登録教習機関(クレーン教習所・安全センター等)で受講できます。受講費用・日程は機関ごとに異なります。
  2. 申し込む:受講申込書を提出し、受講料を支払います。
  3. 学科講習を受ける(1〜1.5日):クレーン等の知識・力学・玉掛け用具・関係法令を学びます。
  4. 実技講習を受ける(1〜1.5日):実際のクレーンや練習機材を使った玉掛け作業を演習します。
  5. 修了証を受け取る:講習終了後、修了証が交付されます。以降は有効期限なしで使用できます。

玉掛け技能講習の修了証は生涯有効(更新不要)です。クレーン・デリック運転士免許も同様に更新不要のため、1度取得すれば継続して使えます。

よくある疑問と回答

クレーン・デリック運転士試験の学科に「玉掛け」の知識は必要か?

試験の出題範囲には玉掛けの作業方法は含まれていません。ただし、ワイヤロープの安全係数・吊り具の荷重計算など、玉掛けと共通する知識(力学・クレーン知識)が試験に出るため、玉掛け技能講習の学習内容はクレーン試験にも役立ちます。

玉掛け技能講習に学歴・経験の要件はあるか?

18歳以上であれば学歴・経験を問わず受講できます(一部の講習では特定の経験による講習時間短縮制度があります)。詳細は受講機関に確認してください。

クレーン・デリック運転士試験の受験を考えている方へ:試験直前の総整理

玉掛けとクレーン・デリック運転士のセット取得を目指す場合、学科試験の準備として次の項目を最終確認しておきましょう。

  • 合格基準を正確に把握する:各科目40%以上(4問/10問)・総合60%以上(24問/40問)の両方をクリアする必要がある
  • 科目免除の有無を確認する:移動式クレーン運転士や揚貨装置運転士免許を持っている場合は力学が免除される
  • 受験する区分(限定なし・クレーン限定等)を確認する:区分によって出題内容が異なる

玉掛け技能講習とクレーン・デリック運転士試験は別々の機関・手続きで進めることになります。それぞれのスケジュールを並行して管理しながら、効率よく両方の資格取得を目指してください。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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