AIは、引用した数字を書き換えるのか。自作ツールの開発中に確認した1件の話

AIは、引用した数字を書き換えるのか。自作ツールの開発中に確認した1件の話 AIで書く人へ(AIライティング)

AIは、引用した数字を書き換えることがあるのか。私が作ったAI記事のチェックツール「うらとり」の開発中に、AIが記事の「48.6%」を「49.6%」と引用し直した例を、1件だけ確認しました。どのくらいの頻度で起きるのかは、私には分かりません。この記事では、何が起きたのか、どう見つけて防いだのか、その途中で分かったAIの設定の話(結果の揺れと、出力の途中切れ)を、測った数字つきで書きます。

何が起きたのか。「48.6%」が「49.6%」になった

うらとりの開発中に、実際の記事を判定させたところ、AIが返した引用の中の数字が、記事の本文と1桁ちがっていました。記事には「48.6%」と書いてあり、AIが「ここに問題があります」と示した引用は「49.6%」でした。

うらとりは、貼り付けた記事をAIに渡して、「出典を添えたほうがよい箇所」などを探してもらうツールです。AIには、指摘した箇所を、記事の中から引用して示すように頼んでいます。その引用の数字が、原文と合っていませんでした。

項目 内容
記事 当サイトのITパスポート試験ガイド
記事に書いてあった数字 合格率 48.6%(令和7年度・応募307,266人、受験271,352人、合格132,012人。当サイトの記事に書いた値で、原典は、その記事の中に載せています)
AIが返した引用 49.6%
確認した日 2026年9月11日(うらとりの開発中)
使っていたAI OpenAI社の gpt-4o-mini

記事の数字のほうは、正しい値を書いてありました。間違えたのは、AIが引用として返すときです。

これは「AIが数字を間違える」と言い切れる話なのか

言い切れません。私が確認できたのは、うらとりの判定で、gpt-4o-miniが、引用の数字を1件だけ書き換えた、という事実です。

次のことは、分かっていません。

  • どのくらいの頻度で起きるのか。私は、頻度を数えていません。
  • ほかのAIでも起きるのか。
  • AIに記事を書かせるときにも、同じことが起きるのか。今回の例は、「記事から引用してください」と頼んだ場面の話です。

この記事を読んで、「AIは数字をよく間違える」と受け取らないでください。私が言えるのは、「引用を頼んだとき、数字が変わって返ってくることがあった。だから、確かめる仕組みを入れた」ということまでです。

なぜ、引用の書き換えが、チェックツールでは特に問題になるのか

裏取りのためのツールが、原文にない数字を示してしまうと、誤りを直すどころか、新しい誤りを持ち込むことになるからです。

たとえば、ツールが「49.6%という数字に出典がありません」と表示したとします。書き手は、自分の記事の中から「49.6%」を探します。見つかりません。記事には「48.6%」と書いてあるからです。ここで、書き手は混乱します。ツールを信じて、記事の数字を直してしまうかもしれません。

ツールが出す指摘は、書き手が信じて動く材料です。だから、指摘の中の引用が、記事に実在することは、最低限の約束です。

どうやって防いだのか。引用が、本文に実在するかを、文字で照合する

AIが返した引用が、貼り付けた記事の本文に、そのままの文字で存在するかを、プログラムで照合します。存在しなければ、その指摘は、表示にも、点数にも入れません。

仕組みは単純です。

  1. AIが、指摘と、その根拠になる引用を返します。
  2. プログラムが、引用の文字列を、記事の本文から探します。
  3. 見つかれば、その指摘を表示します。
  4. 見つからなければ、その指摘を捨てます。捨てた件数は、画面に「本文と一致しないAIの引用 ◯件は除外」と表示します。

この照合が対象にしているのは、AIが返す引用だけです。「ここに問題があります」という判断そのものが正しいかどうかは、照合していません。あくまで、「存在しない文字を、存在するかのように見せない」ための仕組みです。

この仕組みで、防げないこと

  • 引用は本文にあるのに、AIの判断が間違っている場合。たとえば、すでに出典が書いてある文を、出典なしと指摘してしまう場合です。これは、別の除外のルールを足して、減らしてきました。
  • 本文自体の数字が間違っている場合。記事の数字が原典と合っているかは、書き手が原典で確かめるしかありません。

AIの判定は、なぜ、同じ記事でも揺れるのか

AIの答えの「ランダムさ」を決める設定(温度)が、高めに固定されていたからです。私が使っていたサーバーは、温度を、0.85という高い値に固定していました。

温度は、0に近いほど、同じ入力に同じ答えを返しやすくなり、大きいほど、答えが散らばります。判定のように、同じ記事には同じ結果を返してほしい場面では、温度は低いほうが向いています。

2026年9月24日に、同じ質問を6回続けて送り、答えがそろうかを測りました。質問は、「『あ』から始まる日本語の名詞を1つだけ、JSONで返してください」です。

設定 6回の答え 同じ答えが出た回数
温度0.85(固定・1回目の測定) あさ、あさ、あさ、あさ、雨、あか 最多の答えで4回
温度0.85(固定・2回目の測定) あさ、あさ、雨、ある、アサガオ、アメリカ 最多の答えで2回
温度0.2(うらとり専用に変更) あさ、あさ、あさ、あさ、あさ、あさ 6回すべて

温度を下げると、6回とも同じ答えになりました。ただし、これは「答えが安定する」ことを示しただけです。答えが正しいかどうかは、別の話です。

実際の記事で、温度を下げると、判定はどう変わったか

実際に書いた記事4本を、旧設定(温度0.85)と新設定(温度0.2)で判定して、比べました。新設定は、各記事を3回ずつ判定しています。

  • 新設定で、同じ記事を3回判定したときの指摘の数の差は、どの記事でも最大1件でした。点数の差は、最大5点(指摘1件ぶん)でした。
  • 以前、旧設定で、ITパスポートの記事を3回判定したときは、指摘が3件、4件、6件と揺れた記録があります(2026年9月11日・開発記録)。
  • わざと問題を入れた短い文章では、新設定の3回とも、同じ結果(30点・指摘10件)でした。旧設定では、指摘は9件でした。
  • 旧設定では出なかった指摘(裏取りの指摘)が、新設定で1件出た回が、2本の記事で、合わせて3回ありました。これが誤検出かどうかは、記事ごとには確かめていません。

4本という数は、多くありません。この結果で、精度が上がったと言い切るつもりはありません。同じ記事の結果の揺れが小さくなったことは、数字で確認できました。

出力が途中で切れると、何が起きるのか

AIの返答が、途中で切れて、プログラムが読める形にならなくなります。実際に、途中で切れることを、実験で確かめました。

実験は、「"a001"から"a400"まで、400個の文字列を、JSONの配列で順番に返してください」と頼む方法です。

設定 結果
出力の上限800(サーバーの既定) a266あたりで途中切れ。JSONとして読めない
出力の上限2800(うらとり専用に変更) 400件すべて返り、JSONとして読めた

うらとりの画面は、AIに、最大2800トークンの返答を頼んでいました。しかし、サーバーの側が、上限を800に切り詰めていました。判定の結果が長くなると、末尾が切れて、読めなくなります。

以前、うらとりで「AIの出力が崩れて、判定に失敗する」ことがありました。その一部は、この途中切れが原因だった可能性があります。ただ、私は、その失敗を、すべてこの原因と確かめ切れていません。

開発中に見つけた、AIの扱いの落とし穴は、ほかにもあったのか

ありました。数字の引用のほかに、開発の記録から、4つを書きます。どれも、うらとりの判定に、実際に出た問題です。頻度ではなく、「こういうことが起きた」という記録として読んでください。

「最大3件」と頼むと、3件を埋めに来た

判定の指示に「各観点は、最大3件まで」と書いたところ、AIが、3件をノルマのように埋めてきました。実際の記事で、3件、3件、3件と並び、点数は52点になりました。

直し方は、指示のほうを書き換えることでした。「件数のノルマはありません。0件でかまいません」と書きます。件数の上限は、AIには伝えず、プログラム側で切ることにしました。AIに「多くても3件」と言うと、3件を目標にしてしまうためです。

結果は100点なのに、講評だけ「出典が足りない」と言っていた

ある記事で、全観点が「問題なし」、100点と出たのに、全体の講評だけが「出典を添えるべき箇所がありました」と書いていました。

原因は、順番でした。AIの返答には、指摘の一覧と、講評の文章が、一緒に入っています。プログラムは、その返答を受け取ったあとで、誤検出を除外して、指摘を減らします。指摘は0件になったのに、AIの講評は、除外する前の内容のまま、残ってしまったのです。

対策として、最終的な指摘が0件のときは、AIの講評を使わずに、「全ての観点で問題は見当たりませんでした」という決まった文に、差し替えました。ただし、この対策は、0件のときだけです。指摘が1件以上あるときの講評と、個別の指摘の細かい食い違いは、完全には直せていません。

会社名の一部を、機関名と取り違え、存在しない出典を書いた

直し方の欄に、「JAPANの公式発表を添えてください」と書かれたことがありました。「JAPAN」という機関は、存在しません。記事に出てきた会社名の中の英単語を、プログラムが、出典になりそうな機関名として拾い、それをAIに渡していました。AIは、それをそのまま信じて、存在しない出典を、直し方に書いたのです。

これは、AIだけの問題ではなく、私のプログラムの問題でもありました。対策として、機関名として拾う言葉を、「省」「庁」「協会」「機構」「研究所」「センター」「大学」など、出典らしい語尾を持つものだけに、絞りました。英単語だけを、機関名として拾うことは、やめました。

AIが示した出典は、実在するかを、自分で検索して確認してください。

出力が、同じ文字の繰り返しで壊れた

観点を増やしたときに、AIの返答が、途中から、同じ文字列を延々と繰り返して、読めなくなる失敗が、目立つようになりました。単純な入力で、8回のうち4回、失敗しました。

壊れる前の部分(各観点の指摘の一覧)は、正しく書けていることが多かったので、壊れた返答から、その部分だけを取り出す処理を足しました。それでも取り出せなければ、最大2回まで、やり直します。この失敗の一部は、先ほどの、出力の途中切れが原因だった可能性があります。

この4つに共通するのは、AIの答えを、そのまま信じず、プログラムで確かめてから使う、という考え方です。うらとりは、この確かめる部分を、少しずつ足して、育ててきました。

自分のブログで、今日からできる確認は何か

AIに数字を扱わせた記事は、次の順番で、確かめてください。難しい道具は、要りません。

やること やり方
数字を、原典で確かめる 記事の数字を1つずつ、官公庁や協会などの、元の資料で確認します。要約サイトだけに頼りません
AIの引用を、本文で検索する AIが「この文にこう書いてある」と示した引用を、自分の記事の中で、検索します。見つからない引用は、そのまま信じません
同じ質問を、複数回する 重要な数字は、AIに2〜3回聞いて、答えがそろうかを見ます。そろわなければ、AIに頼らず原典に戻ります
出典を、本文に書く 数字の直後に、機関名と資料名、年を書きます。あとから自分で確かめるときの手がかりになります

うらとりは、この確認の一部を、自動で行うツールです。貼り付けた記事の、出典のない数字、断定の強い表現、法的に気になる表現などを、まとめて探して、直し方も添えます。詳しくは、AIで書いた記事の公開前チェックのページに書きました。

Googleは、AIで書いた記事を、どう扱っているのか

Googleのスパムポリシーは、作成方法(AIかどうか)を問わず、ユーザーにとっての価値を加えない大量生成を、問題にしています。

Googleの「スパムに関するポリシー」には、次のように書いてあります(最終更新日 2026年9月2日、私が2026年9月24日に確認しました)。

大量生成されたコンテンツの不正使用とは、ユーザーをサポートすることではなく、検索ランキングの操作を主な目的として大量のページを生成することを指します。この不正行為は通常、ユーザーにとってほとんどまたはまったく価値がなく、独自性のないコンテンツをその作成方法は問わず、大量に作成することに特化しています。

例として、「生成 AI ツールまたはその他の同様のツールを使用して、ユーザーにとっての価値を付加することなく大量のページを生成すること」が挙げられています。

この定義が見ているのは、AIを使ったかどうかではなく、価値を加えない大量生成かどうかです。ただし、価値を加えずに、大量にAIで作ることは、例として、はっきり挙げられています。数字が間違っていたり、引用が実在しなかったりする記事は、「ユーザーにとっての価値」を損ないます。だから、公開前の確認は、書き手の責任として、外せません。

AIによる概要(検索結果に出るAIの要約)について、Googleは別のページで、次のように書いています(最終更新日 2025年12月31日)。

AI による概要や AI モードにコンテンツが表示されるための追加の要件はなく、別途特別な最適化を行う必要もありません。

基本の検索のやり方(SEO)が、そのまま大切だ、ということです。

このツールで、確かめられないこと

うらとりは、AIによる一次判定です。次のことは、確かめられません。

  • 記事の内容が、事実として正しいこと。
  • 法律に違反していないこと。法的な表現は、気になる箇所を示すだけで、法的な助言ではありません。
  • AIの判定が、いつも同じ結果になること。温度を下げて揺れを小さくしましたが、なくなったわけではありません。
  • すべての種類の記事で、同じように働くこと。試した記事の数は、多くありません。

最終的な確認は、書き手が、原典で行ってください。

まとめ:AIの引用は、書き手が本文で確かめる

AIは、引用した数字を、書き換えることがありました。私が確認できたのは、うらとりの判定で、gpt-4o-miniが、記事の48.6%を、49.6%と返した1件です。頻度は分かりません。

そのため、うらとりには、AIが返した引用が、本文に実在するかを、文字で照合する仕組みを入れました。あわせて、結果が揺れる原因だった温度の設定と、出力を途中で切っていた上限を、うらとり専用に直しました。

AIを使って記事を書く人は、AIの答えを信じる前に、数字は原典で、引用は本文で、確かめる。それが、基本になる確認です。

うらとりは、1日3回まで無料で使えます。記事を貼り付けて、判定を試したい方は、うらとりを開いてください。

参考にした資料

関連記事:Googleが問題にしているのは、AIで書くことなのか。「価値を加えない大量生成」を原文で読む

(当サイトは個人が運営する情報サイトです。この記事の測定は、私が、うらとりの開発の中で行ったもので、他のAIや他の条件で同じ結果になるとは限りません。)

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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