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ボイラーの通風計算は、煙道・煙突・送風機の設計・管理に不可欠な知識です。一級ボイラー技士試験では自然通風力の計算式・強制通風の種類・通風抵抗の概念が出題されます。
通風の目的と種類
通風(ドラフト)とは、炉内に燃焼用空気を供給し、燃焼排ガスを煙道・煙突から外部へ排出するための気流のことです。通風が不十分だと燃焼が不完全になり、熱効率の低下や未燃ガスの滞留につながります。
自然通風
煙突と外気の温度差(密度差)によって生じる上昇気流を利用した通風です。動力は不要ですが、通風力は大気条件や排ガス温度に依存して変動します。
強制通風
送風機(ファン)を使って強制的に空気を供給または排ガスを排出する方式です。
- 押込通風(FD:Forced Draft):炉の前に送風機を置き、燃焼空気を炉内に押し込む。炉内は正圧になる
- 誘引通風(ID:Induced Draft):煙道の出口側(煙突手前)に排煙機を置き、排ガスを吸い出す。炉内は負圧になる
- 平衡通風:押込送風機と誘引送風機を両方設置し、炉内圧力をほぼ大気圧に維持する
自然通風力の計算式
自然通風力は煙突内の排ガスと外気の密度差から生じます。
基本式
自然通風力 Z [Pa]は次式で求められます。
Z = H × g × (ρa - ρg)
- H:煙突の有効高さ [m]
- g:重力加速度(9.8 m/s²)
- ρa:外気密度 [kg/m³]
- ρg:煙突内排ガスの平均密度 [kg/m³]
近似計算例
外気温度15℃(288K)、排ガス平均温度250℃(523K)、煙突高さ40m のとき:
ρa ≈ 1.225 kg/m³(標準大気・15℃) ρg ≈ 1.225 × (288/523) ≈ 0.674 kg/m³ Z = 40 × 9.8 × (1.225 - 0.674) = 40 × 9.8 × 0.551 ≈ 216 Pa
煙突が高いほど・排ガス温度が高いほど通風力は大きくなります。
通風抵抗
燃焼空気や排ガスが炉・煙道を通過するときの摩擦や局部抵抗を通風抵抗といいます。
- 摩擦抵抗:ダクト・煙道の管壁との摩擦による抵抗
- 局部抵抗:曲がり・急拡・急縮・ダンパー等での乱流による抵抗
- 熱交換器抵抗:過熱器・節炭器・空気予熱器などの管群を通過するときの抵抗
通風力 ≥ 通風抵抗 が成立しないと、必要な燃焼空気量を確保できません。
送風機の特性と選定
強制通風に使用する送風機(遠心式・軸流式)は、流量・静圧・動力の特性曲線(Q-H曲線)をもとに選定します。
- 遠心式(ターボ式):羽根車の遠心力で気体に圧力を与える。高圧比が得られる
- 軸流式:軸方向に気体を送る。大流量・低圧向き
送風機の動力はファン効率(η)・密度(ρ)・流量(Q)・圧力上昇(ΔP)から算出します。
L = Q × ΔP / η [W]
通風計算と試験ポイント
- 自然通風力は煙突高さと(外気密度 − 排ガス密度)の積に比例する
- 排ガス温度が高いほど通風力は大きいが、熱損失も大きくなるトレードオフがある
- 押込通風は炉内が正圧になるため、炉の気密性確保が必要
- 誘引通風は炉内が負圧で外気が漏れ込みやすい(空気比が高くなりやすい)
- 平衡通風は炉内圧力が大気圧に近く、押込・誘引双方のメリットを活かせる
まとめ
- 自然通風力 = 煙突高さ × 重力加速度 × (外気密度 − 排ガス密度)
- 強制通風:押込(炉内正圧)・誘引(炉内負圧)・平衡(炉内大気圧付近)
- 通風力が通風抵抗を上回っている必要がある
- 排ガス温度が高いほど通風力は大きくなる
出典:ボイラー及び圧力容器安全規則・ボイラー構造規格・JIS B 8223・安全衛生技術試験協会 公表試験問題
作成:fufumumu_design|更新:2026年11月
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