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一級ボイラー技士試験の「燃料及び燃焼」科目では、重油・ガスの種類と性質が頻出テーマです。燃料の特性を正しく理解することは、適切な燃焼管理・設備選定・事故防止に直結します。本記事では重油(A重油・B重油・C重油)とガス燃料(都市ガス・LPG)の性質を体系的に解説します。
重油の種類と規格(JIS K 2205)
重油はJIS K 2205で1種(A重油)・2種(B重油)・3種(C重油)に分類されます。一級ボイラー技士試験では特に引火点・動粘度・残留炭素分の数値が頻出です。
| 種類 | 引火点 | 動粘度(50℃) | 残留炭素分 | 主な用途 |
|---|---|---|---|---|
| A重油(1種) | 60℃以上 | 20 mm²/s以下 | 4%以下 | 小型ボイラー・農業機械 |
| B重油(2種) | 60℃以上 | 50 mm²/s以下 | 8%以下 | 中型ボイラー |
| C重油(3種) | 70℃以上 | 250 mm²/s以下 | 12%以下 | 大型ボイラー・発電所 |
重要:C重油の引火点は70℃以上です(A重油・B重油は60℃以上)。試験では「A重油とC重油の引火点の違い」が頻出です。
重油の性質詳細
引火点
引火点とは、液面近傍の蒸気に点火源を近づけたとき、瞬間的に引火する最低温度です。A・B重油は60℃以上、C重油は70℃以上と規定されています(JIS K 2265準拠の試験方法による)。引火点が高いほど取り扱いが安全ですが、C重油は動粘度が高いため予熱が必要です。
動粘度と予熱
動粘度は流体の流れにくさを示す指標です(単位:mm²/s、旧cSt)。C重油は常温で固体に近く、直接バーナーに送れません。噴霧に適した動粘度(20〜50 mm²/s程度)まで加熱(通常80〜120℃)する必要があります。
- サービスタンク:重油を蒸気コイルや電熱で予熱するタンク
- ストレーナ:重油中の異物を除去するフィルター
- 流量計:燃料消費量を計測(面積式・容積式)
残留炭素分と燃焼特性
残留炭素分は燃焼後に残る炭素質の割合です。C重油は12%以下と多く、不完全燃焼時に煤塵(カーボンブラック)や煙突黒煙の原因になります。空気比を適切に管理することが重要です。
硫黄分と低温腐食
重油には硫黄分(S分)が含まれており、燃焼すると亜硫酸ガス(SO₂)・三酸化硫黄(SO₃)が生成されます。SO₃は排ガス中の水蒸気と結合して硫酸蒸気となり、排ガス温度が硫酸露点(通常120〜150℃)以下になると節炭器・空気予熱器の金属面に凝縮して低温腐食を起こします。
ガス燃料の種類と特性
都市ガス(13A・12A等)
都市ガスは天然ガス(主成分:メタン CH₄)を基にした気体燃料で、ガス導管で供給されます。
| 特性 | 値 |
|---|---|
| 主成分 | メタン(CH₄)約90%以上 |
| 比重(空気=1) | 0.6前後(空気より軽い) |
| 発熱量(高位) | 約46 MJ/m³(13A) |
| 爆発限界 | 5〜15%(メタン) |
都市ガスは空気より軽いため、漏洩時は上方に拡散します。換気は上部から行います。
LPG(液化石油ガス)
LPGはプロパン(C₃H₈)・ブタン(C₄H₁₀)を主成分とする液化ガスです。ボンベや貯蔵タンクで供給します。
| 特性 | プロパン | ブタン |
|---|---|---|
| 比重(空気=1) | 1.5(空気より重い) | 2.0(空気より重い) |
| 爆発限界 | 2.1〜9.5% | 1.8〜8.4% |
| 発熱量(高位) | 約99 MJ/m³ | 約122 MJ/m³ |
重要:LPGは空気より重いため、漏洩時は低所(床面付近・ピット内)に溜まります。換気口は下部に設けます。都市ガスと逆の性質です。
重油とガスの安全管理
重油の保管と取扱い
- 引火点が60〜70℃以上なので、通常温度での自然発火リスクは低い
- 予熱中の温度管理:引火点付近になると引火危険性が高まる
- タンク内の水抜き(スラッジ・水分の定期排出)が必要
- 静電気による引火防止:接地(アース)を確実に行う
ガス設備の安全管理
- ガス漏洩検知器の設置(爆発下限界の1/4以下で警報)
- 換気設備:都市ガス(上部)・LPG(下部)に換気口
- 点火前のパージ(炉内の未燃ガス排出):4倍以上の換気量
- 緊急遮断弁:ガス圧異常・燃焼停止時に自動遮断
燃料の発熱量と比較
燃料の発熱量には高位発熱量(総発熱量・水蒸気凝縮分を含む)と低位発熱量(真発熱量・水蒸気凝縮分を含まない)があります。ボイラー効率の計算では通常、低位発熱量を基準とします。
| 燃料 | 低位発熱量(目安) |
|---|---|
| A重油 | 約39 MJ/L |
| C重油 | 約40 MJ/L |
| 都市ガス13A | 約41 MJ/m³ |
| プロパン(LPG) | 約91 MJ/m³ |
試験で間違えやすいポイント
- 「C重油の引火点はA重油と同じ60℃以上」→ 誤り。C重油は70℃以上
- 「LPGは空気より軽い」→ 誤り。LPGは空気より重い(比重1.5〜2.0)
- 「都市ガスの爆発下限界は2%程度」→ 誤り。都市ガス(メタン)は5%(LPGの方が下限界が低く危険)
- 「高位発熱量を使ってボイラー効率を計算する」→ 通常は低位発熱量を基準とする
まとめ
- 重油の種類:A重油(引火点60℃以上・動粘度20以下)、C重油(引火点70℃以上・動粘度250以下)
- C重油は予熱(80〜120℃)が必要。硫黄分が多く低温腐食リスクあり
- 都市ガス:空気より軽い・爆発限界5〜15%・換気口は上部
- LPG:空気より重い・爆発限界2%程度・換気口は下部
出典:ボイラー及び圧力容器安全規則・JIS K 2205・安全衛生技術試験協会 公表試験問題
作成:fufumumu_design|更新:2026年11月
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