短期入所で医療的ケア利用者を受け入れる際の研修。認定特定行為業務従事者の要件と夜間配置。

短期入所で医療的ケア利用者を受け入れる際の研修。認定特定行為業務従事者の要件と夜間配置。 短期入所

短期入所では、たんの吸引・経管栄養などの医療的ケアが必要な利用者を受け入れる場合があります。医療的ケアは、医師・看護師以外が実施できる範囲が社会福祉士及び介護福祉士法で限定されており、認定特定行為業務従事者の認定を受けた職員のみが行えます。この記事では、短期入所で医療的ケア利用者を受け入れる際の要件・職員の研修義務をまとめました。

医療的ケアを実施できる職員の要件

社会福祉士及び介護福祉士法(第48条の2)は、介護職員等が一定の医療的ケア(たんの吸引・経管栄養)を実施できる条件として、次のことを定めています。

  • 都道府県知事が行う研修を修了していること(基本研修・実地研修)
  • 都道府県知事から「認定特定行為業務従事者認定証」を受けていること
  • 実施する事業所が「登録特定行為事業者」として都道府県に登録していること

認定の範囲は、口腔内のたんの吸引・鼻腔内のたんの吸引・気管カニューレ内部のたんの吸引・胃ろうまたは腸ろうによる経管栄養・経鼻経管栄養などです。これ以外の医療行為は、医師・看護師が行う必要があります。

上記の要件を満たした職員が、医師・看護師等の「指示」のもとで実施することが条件です。

短期入所で医療的ケア利用者を受け入れる際に確認すること

短期入所では、普段と異なる環境・職員が医療的ケアを実施します。事前に次のことを確認してください。

確認事項 内容
ケアの種類と手順 どのケアを・1日何回・どの手順で行うか(家族・普段の事業所から書面で確認)
担当できる職員の確認 当該ケアの認定を受けた職員が、宿泊中の全時間帯に配置できるか(夜間含む)
医師の指示書 実施するケアについて医師の指示書があること。期限切れでないか確認
緊急時の連絡先 ケア中の急変時に連絡する医療機関(協力医療機関)・家族の連絡先
使用する器具・消耗品 利用者が普段使っている機器・消耗品を家族が持参するか、事業所が準備するか

表は当方が整理したものです。

夜間の医療的ケアについては、夜勤者に認定特定行為業務従事者の認定を受けた職員がいるかどうかを事前に確認してください。認定を受けた職員が夜間に一人も配置できない場合は、受け入れができません。

医療的ケアに関わる職員の研修と記録

認定特定行為業務従事者として実施するケアについては、実地研修のレポート・計画書・評価表を保管しておく必要があります。

さらに、事業所として次のことが必要です。

  • ケアの実施記録(実施日時・担当者・実施内容・利用者の状態)を残す
  • ヒヤリ・ハットや異常が起きた場合は、看護師・医師に報告する手順を定めておく
  • 年1回以上、従事者への研修(手順確認・事例検討)を実施する

基準(第33条の3・第145条で準用)は、喀痰吸引等業務に係る安全確保のための委員会(医療的ケア委員会)の設置も求めています。委員会は、安全なケア実施のための検討・ヒヤリ・ハットの分析・研修の計画を行います。

医療的ケアを受け入れない場合も、基本的な知識は必要

現在、医療的ケア利用者を受け入れていない短期入所事業所でも、次のような場面で医療的ケアに関わる知識が役立ちます。

  • 見学・問い合わせの段階で「うちは受け入れられるか」を説明するため
  • 宿泊中に医療的ケアが必要な利用者の緊急受け入れを依頼された際に、受け入れ可否を判断するため
  • 既存の利用者の状態が変化し、医療的ケアが新たに必要になった場合の対応を検討するため

医療的ケア児(者)への対応は、今後の利用者ニーズとして拡大が見込まれます。今すぐ受け入れない場合でも、受け入れ要件と手順を整理しておくことが重要です。

当方の法定研修・訓練キット(短期入所版)では、夜間支援・緊急時対応をテーマにした研修資料を含んでいます。医療的ケアの緊急対応手順の確認にも活用できます。

この記事は、社会福祉士及び介護福祉士法(e-Gov法令検索の現行の条文)、基準の条文(e-Gov法令検索)、国の解釈通知(障発第1206001号・最終改正 令和7年3月31日)の原文を確認して書いています(確認日:2026年11月1日)。認定の具体的な手続き・都道府県の登録要件は、所在地の都道府県の窓口で確認してください。作成:fufumumu_design

この記事の出典

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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