ボイラーの水圧試験(耐圧試験)の方法と基準

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ボイラーの新設・修繕・検査の前後には「水圧試験(耐圧試験)」が行われます。水を加圧して圧力部材の強度・漏れの有無を確認する試験で、法令により実施義務と試験圧力の基準が定められています。二級ボイラー技士試験では試験圧力の計算方法・試験手順・注意事項が出題されます。

水圧試験を行う目的

  • 胴・炉筒・煙管・管板などの圧力部材の強度が設計通りか確認する
  • 溶接部・フランジ継手・管接続部からの漏れがないか確認する
  • 法令上の検査(落成検査・性能検査・変更検査)の一環として実施する

水圧試験の試験圧力

水圧試験の試験圧力は、ボイラーの最高使用圧力に基づいて次のように定められています(ボイラー構造規格)。

最高使用圧力(P) 水圧試験の試験圧力
P ≤ 0.43 MPa P × 2(最高使用圧力の2倍)
0.43 MPa < P ≤ 1.5 MPa P × 1.3 + 0.3 MPa
P > 1.5 MPa P × 1.5(最高使用圧力の1.5倍)

試験では最高使用圧力 0.43 MPa を境界とした計算式の切り替えが出題されます。「最高使用圧力の1.5倍が水圧試験圧力」というのは P > 1.5 MPa の場合のみ正しい点に注意してください。

計算例

最高使用圧力 0.8 MPa のボイラーの水圧試験圧力を求めよ。

P = 0.8 MPa は 0.43 < 0.8 ≤ 1.5 の範囲
試験圧力 = 0.8 × 1.3 + 0.3 = 1.04 + 0.3 = 1.34 MPa

水圧試験の手順

  1. 試験水の充填:ボイラー内部を水(常温)で満たす。空気が残らないよう最高部の空気抜き弁を開けながら充填する
  2. 加圧:手動ポンプまたは電動加圧装置で徐々に圧力を上げていく。急激な昇圧はしない
  3. 試験圧力保持:規定の試験圧力に達したら圧力を一定時間(通常5〜10分)保持する
  4. 漏れ・変形の確認:溶接部・フランジ・管接続部などを目視で確認する。漏れがあれば加圧中でも水が噴き出るため確認しやすい
  5. 減圧:確認後、徐々に減圧する。急激な減圧も避ける
  6. 水の排出:試験水を完全に排出し、内部を乾燥させる

水圧試験の注意事項

  • 水を使う理由:気体(空気・蒸気)で加圧試験を行うと、破損時に圧縮エネルギーが一気に放出されて爆発的な事故になる。水(液体)は非圧縮性のため、漏れが生じても急激な圧力解放にならず安全
  • 安全弁の操作:水圧試験中は安全弁を閉じる(または取り外す)か、安全弁の作動圧力を試験圧力以上に設定する。安全弁が試験圧力以下で作動してしまうと試験ができない
  • 低温の水は使わない:冬季は5℃以上の水を使用する。極低温の水ではボイラー鋼材が脆化する可能性がある
  • 試験後の乾燥:試験後は内部をよく乾燥させてから燃焼を行う。水が残ったままで起動すると腐食の原因になる

水圧試験が必要なタイミング(法令上)

実施タイミング 根拠となる検査
新設ボイラーの初回設置 落成検査(ボイラー及び圧力容器安全規則第38条)
定期自主検査(年1回) 2年ごとに性能検査を受ける際に前後で実施することがある
修繕後 胴・炉筒・溶接部を修理・交換した後に実施
変更工事後 最高使用圧力・伝熱面積・バーナーを変更した場合の変更検査

気密試験との違い

水圧試験(耐圧試験)と気密試験は目的が異なります。

水圧試験(耐圧試験) 気密試験
目的 圧力部材の強度と漏れ確認 低圧での微細な漏れ確認(主に弁・継手)
使用媒体 水(非圧縮性・安全) 空気または窒素(圧縮性・爆発リスクあり)
試験圧力 最高使用圧力の1.3〜2倍 最高使用圧力以下(低圧)
法令上の位置づけ 法定検査で必須 修繕後や部品交換後に補完的に実施

試験で間違えやすいポイント

  • 「水圧試験の試験圧力は常に最高使用圧力の1.5倍」は誤り。圧力範囲によって計算式が異なる(0.43 MPa以下は2倍)
  • 「水圧試験には空気(気体)を使っても安全」は誤り。気体加圧は破損時に爆発的になる。水を使う
  • 「安全弁を全開にした状態で水圧試験を行う」は誤り。試験圧力で安全弁が作動しないよう閉じる(または作動圧力を変更する)
  • 「試験後はすぐ点火して乾燥させる」は誤り。内部に水が残っていると腐食の原因。自然乾燥または温風乾燥を使う

この記事のまとめ

  • 水圧試験の試験圧力:P≤0.43MPaは2倍、0.43<P≤1.5は1.3P+0.3、P>1.5は1.5倍
  • 水(液体)を使う理由:非圧縮性で安全。気体加圧は爆発的破損のリスクがある
  • 試験中は安全弁を閉じ、試験後は内部を完全に乾燥させてから起動する

出典:ボイラー及び圧力容器安全規則(e-Gov法令検索)・ボイラー構造規格(昭和47年労働省告示第33号)・安全衛生技術試験協会 公表試験問題
作成:fufumumu_design|更新:2026年11月

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この記事を書いた人

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