就労定着支援の記録・書類。何を、いつ、どれだけ保管するか。

就労定着支援の記録・書類。何を、いつ、どれだけ保管するか。 福祉事業の開業と運営

就労定着支援を運営するうえで、記録・書類の作成と保管は報酬請求の根拠であり、実地指導での確認対象でもあります。どの書類をいつ作り、どれくらい保管すればよいかを省令・通知の原文から整理します。

就労定着支援で作成が必要な主な書類

就労定着支援で作成・保管が必要な主な書類
書類名 作成タイミング 保管年数の目安
就労定着支援計画(個別支援計画) 利用開始前・6か月ごとの見直し 5年以上(省令の規定による)
支援記録 支援を行った都度 5年以上
アセスメント記録 利用開始前・必要時 5年以上
利用者との契約書・重要事項説明書 利用契約締結時 5年以上
サービス提供実績記録票 月次(報酬請求に使用) 5年以上
就労定着率の計算根拠 毎年度末(報酬区分の算定に使用) 5年以上
会計帳簿 月次 5年以上(会計基準による)

出典:障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(省令第171号)の記録の整備に関する条文

就労定着支援計画の作成・見直し

就労定着支援計画(個別支援計画)は、利用者一人ひとりについて、以下の内容を盛り込んで作成します。

  • 利用者の現状(就労先・業務内容・生活の状況・障害の状況)
  • 支援の目標(就労継続・生活面の安定など)
  • 具体的な支援内容・方法・実施頻度
  • 関係機関(職場・医療機関等)との連携方針

計画は利用者(または家族・代理人)に説明し、同意を得たことを確認する署名・記録が必要です。また、少なくとも6か月ごとに見直し、変化があれば計画を更新します。

支援記録は支援の都度、その日のうちに作成する

面談・訪問・電話対応など、支援を行った都度、支援記録を作成する義務があります。記録には以下の内容を記載します。

  • 支援の日時・場所・方法(対面/電話/訪問 等)
  • 支援内容の要点(相談の内容・対応した事項)
  • 利用者の状況(就労・生活・体調の変化)
  • 関係機関との連絡・調整内容
  • 次回の支援予定・課題

記録は報酬請求の根拠でもあるため、記録のない支援は請求の対象外となることがあります。月末にまとめて書くのではなく、支援の当日(または翌日まで)に記録することが実務上の原則です。

サービス提供実績記録票:月次の報酬請求に必須

国民健康保険団体連合会(国保連)への月次の報酬請求には、サービス提供実績記録票(様式は自治体・国保連の定めによる)が必要です。

就労定着支援の場合、月の利用者数・支援の実施状況を記録し、月末に集計して翌月10日ごろまでに請求します。請求の際に実績記録票に記載の内容と、支援記録の内容が一致していることが重要です。

就労定着率の計算根拠の記録

年度ごとの就労定着率(報酬区分を決める指標)の計算根拠は、別途記録・保管が必要です。具体的には以下の情報が必要です。

  • 前年度に利用を終了した者の一覧(氏名・終了日・終了理由)
  • そのうち就労を継続していることを確認した者の一覧(確認方法・確認日・確認した就労状況)
  • 確認できなかった者(「就労継続できていない」扱いになる)の記録

就労定着率の報告は指定権者への届け出ではなく、国保連への報酬請求の際に区分を選択する形で行います。計算根拠の記録は、実地指導の際に確認されます。

書類の保管年数は「5年以上」が基本

省令では、指定障害福祉サービス事業者が作成した記録は「5年間保存しなければならない」と規定されています(省令の記録の整備に関する条文)。

なお、会計書類については社会福祉法人会計基準や一般的な会計処理の原則から、会計書類は10年保存が求められる場合があります。事業所の法人格・会計基準に応じた保存期間を確認してください。

個人情報保護:鍵のかかる書庫で管理する

就労定着支援の記録には、利用者の氏名・住所・障害の状況・就労先・医療情報など、高度にプライベートな情報が含まれます。これらは個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)の対象となります。

実務上の管理方法として以下が必要です。

  • 紙の書類は鍵のかかる書庫・キャビネットで保管する
  • 電子データはパスワードや権限管理で保護する
  • 外部への情報提供(職場・医療機関への情報共有)は本人の同意を得てから行う
  • 廃棄するときはシュレッダー等で個人情報が読み取れない状態にする

電子記録の活用

令和3年以降、障害福祉サービスの記録の電子化が認められており、紙の書類をスキャンして保管する方法や、電子記録システムへの入力による記録も、適切な管理体制が整っていれば認められます。

電子記録を採用する場合は、バックアップの仕組み・アクセス権限の管理・システム障害時の対応も含めた規程を整備することが求められます。

参考・出典

  • 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(厚生労働省令第171号・平成18年)
  • 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準について(解釈通知)
  • 個人情報の保護に関する法律

この記事は2026年11月時点の法令に基づいています。

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この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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