就労定着支援の指定申請。どんな手続きが必要か。

就労定着支援の指定申請。どんな手続きが必要か。 福祉事業の開業と運営

就労定着支援を開始するには、都道府県または市区町村への指定申請が必要です。申請窓口・必要書類・審査のポイントは、自治体によって多少異なりますが、省令(指定基準)を満たしていることが前提です。この記事では指定申請の流れと準備事項を、省令・通知の原文をもとに整理します。

指定権者は都道府県または市区町村。申請先を確認する

就労定着支援の指定権者は、事業所の所在地によって以下のとおりです。

就労定着支援の指定権者
事業所の所在地 指定権者
指定都市・中核市 市(指定都市・中核市の障害福祉担当)
上記以外の市区町村 都道府県(障害福祉担当)

申請の窓口・必要書類・審査のスケジュールは指定権者ごとに異なります。まず自事業所の所在地の指定権者を確認し、担当窓口に「事前相談」を申し込むことが最初のステップです。

指定申請前の事前相談が実質的に必須

多くの自治体では、指定申請書を受け付ける前に「事前相談」の機会を設けています。事前相談では、申請要件の確認・必要書類の案内・審査上の注意点の確認ができます。

事前相談なしに書類を揃えて申請すると、書類の不備や要件の誤解があった場合に修正・再提出が必要になり、指定の受付・開始が遅れることがあります。物件契約・スタッフの採用を確定させる前に、事前相談で要件を確認することが現実的な手順です。

指定申請に必要な主な書類

指定申請で提出を求められる書類の主な一覧は以下のとおりです(自治体によって追加書類の要求がある場合があります)。

就労定着支援 指定申請書類(主なもの)
書類 内容
指定申請書 事業所名・所在地・代表者・サービスの種類等
定款・寄附行為の写し 法人の設立根拠となる書類
登記事項証明書 法人格の確認(法務局で取得)
運営規程 省令の記載事項を満たした運営規程
平面図 事業所の間取り・各部屋の用途
設備の写真 相談室・事務スペース等の状況
従業者の勤務形態一覧表 職員の氏名・職種・勤務時間・兼務の有無
資格証明書の写し 就労定着支援員の資格(社会福祉士・精神保健福祉士等)がある場合
賃貸借契約書(または使用許可書)の写し 事業所の占有を証明する書類
誓約書 欠格事由に該当しない旨の宣誓

人員基準の確認。就労定着支援員の確保が鍵

指定申請の審査で最もよく問題になるのが、人員基準の充足です。就労定着支援の人員基準は以下のとおりです。

  • 就労定着支援員:1名以上(常勤換算で確保。社会福祉士・精神保健福祉士・職業カウンセラー等の有資格者が望ましいが資格は必須ではない)
  • サービス管理責任者:利用者数に応じた人数(省令の規定による)・実務経験要件あり・研修修了が必須
  • 管理者:1名(常勤・専従が原則。ただし他の業務との兼務が認められる場合あり)

サービス管理責任者(サビ管)の確保は特に重要です。サビ管になるためには、一定の実務経験と指定された研修(基礎研修・実践研修)の修了が必要です。研修は各都道府県が年1〜2回程度実施しており、申し込みから修了まで数か月かかります。開業日から逆算して早めに動く必要があります。

指定の更新は6年ごと

就労定着支援の指定には有効期限があり、6年ごとに更新手続きが必要です(障害者総合支援法の規定)。更新を忘れると指定が失効するため、有効期間の管理が必要です。

更新申請は、有効期限の数か月前(指定権者によって異なる)に提出する必要があります。

指定から開業までのスケジュール目安

指定申請から開業までの目安のスケジュール
ステップ 目安の期間
事前相談・情報収集 開業6〜12か月前
法人設立・物件契約・スタッフ採用 開業4〜6か月前
申請書類の作成 開業3〜4か月前
指定申請書の提出 開業の1〜3か月前(自治体により異なる)
審査・指定通知 申請から1〜2か月程度(自治体により異なる)
開業・利用者の受け入れ開始 指定通知を受け取り次第

指定申請の受付日・締め切りが月次・四半期ごとに決まっている自治体もあります。希望の開業月から逆算したスケジュールで動くことが重要です。

欠格事由に該当しないことの確認

指定申請には、欠格事由(指定を受けられない理由)に該当しないことが条件です。主な欠格事由は以下のとおりです。

  • 申請者(法人・役員等)が禁錮以上の刑に処せられ、執行が終わってから5年以内
  • 障害福祉サービス等の指定を取り消されてから5年以内
  • 申請書類に虚偽の記載がある

詳細は障害者総合支援法の規定を確認してください。

参考・出典

  • 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(障害者総合支援法)第29条以降(指定障害福祉サービス事業者の指定に関する規定)
  • 障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(厚生労働省令第171号・平成18年)

この記事は2026年11月時点の法令に基づいています。申請手続きの詳細は指定権者(都道府県・市区町村)によって異なります。

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この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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