二級ボイラー技士試験【重油】引火点・粘度・硫黄含有量の整理

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重油はボイラーで最もよく使われる液体燃料です。二級ボイラー技士試験では、重油A・B・C種の違い・引火点と発火点・予熱温度の管理・低温腐食のメカニズムが繰り返し出題されます。試験では「A重油とC重油のどちらが粘度が高いか」「予熱が必要な燃料はどれか」といった比較問題が多いため、3種類の性質を表で整理することが効率的です。

重油の種類:A・B・C種の違い

JIS K 2205によると、重油はA・B・C種の3種類に分類されます。数字が大きい(Cに向かう)ほど重質(粘度が高い)になります。

種類 粘度 引火点の目安 予熱の必要性 主な用途
A重油 低い 60℃以上 不要(常温で流動) 小型ボイラー・家庭用
B重油 中程度 60℃以上 場合により必要 中型ボイラー
C重油 高い 70℃以上 必要(加熱しないと流動しない) 大型ボイラー・発電所

試験では「A重油は予熱が不要」「C重油は粘度が最も高く予熱が必要」という点が問われます。粘度の比較は「A < B < C」と覚えてください。

引火点と発火点の違い

重油を安全に取り扱うには「引火点」と「発火点」の違いを正確に理解することが重要です。

  • 引火点:外部から点火源を近づけたときに、燃料表面の蒸気が引火する最低温度。A重油で60℃以上、C重油で70℃以上。引火点より低い温度で保管・輸送することが基本
  • 発火点:点火源がなくても自然に発火する最低温度。重油では250〜380℃程度。引火点よりも高い温度で発生する現象

引火点と発火点の比較では「引火点 < 発火点」が必ず成立します。つまり、引火点の方が必ず低い温度です。試験では「引火点は発火点より低い」という命題の真偽が問われることがあります(正しい)。

重油の予熱と粘度管理

B重油・C重油は粘度が高いため、バーナーで霧化するには適切な温度に加熱する必要があります。粘度が高いままでは燃料が霧状にならず、不完全燃焼が起きます。

  • 予熱温度の目安:B重油は50〜60℃、C重油は80〜105℃程度(燃料の品質によって異なる)
  • 予熱温度が高すぎる:蒸気泡(フラッシュ蒸発)が発生してバーナーに安定供給できなくなる。バーナー失火のリスクが上がる
  • 予熱温度が低すぎる:粘度が高いまま霧化不良になり、不完全燃焼を引き起こす
  • 引火点に近づけない:予熱温度は引火点より十分低い温度に設定する(安全のため)

C重油の取扱いでは予熱管理が最重要です。試験でも「C重油を予熱せずに燃焼させた場合に起きる問題」が問われます。

重油に含まれる硫黄分と低温腐食

重油には硫黄分(S)が含まれています。燃焼すると亜硫酸ガス(SO₂)が発生し、さらに酸化されると三酸化硫黄(SO₃)になります。排気ガスが冷却されると水蒸気と結合して硫酸(H₂SO₄)になり、これが低温の金属面に凝縮して腐食を引き起こします。これが「低温腐食」です。

  • 低温腐食が起きる場所:エコノマイザ・空気予熱器など、排気ガスの温度が最も低い箇所
  • 発生温度の目安:排気ガス温度が露点(硫酸の露点:130〜150℃程度)を下回ると発生しやすい
  • 対策:排気ガス温度を硫酸露点以上に保つ。低硫黄重油の使用。空気予熱器の出口温度を管理する

硫黄分はA重油が最も少なく、C重油が最も多い傾向があります。C重油を使用するボイラーでは低温腐食対策が特に重要です。

ストレーナー(濾過器)の役割

重油には製造・輸送過程で異物が混入することがあります。バーナーノズルが詰まるのを防ぐため、燃料系統にはストレーナー(濾過器)が設置されています。

  • 設置位置:バーナーの上流側(ポンプの手前または後)
  • 管理方法:定期的に清掃して目詰まりを防ぐ。目詰まりが起きると燃料供給が不安定になる
  • C重油の場合:粘度が高いため目詰まりが起きやすい。清掃頻度をA重油より高める必要がある

重油タンクの管理と水分除去

重油タンクに水が混入すると燃焼不良・バーナー失火・配管の腐食などが起きます。

  • 水の混入経路:大気中の水蒸気が結露してタンク内壁に付着する(呼吸作用)・輸送時の混入
  • ドレン抜き:タンク底部に溜まった水を定期的に排出する
  • 水の存在確認方法:ガウジングテープ(水感応テープ)をタンクに挿入して水位を確認する

試験頻出ポイントと誤りやすい箇所

  • 粘度は A < B < C の順。C重油が最も粘度が高く予熱が必要
  • 引火点は発火点より必ず低い(引火点 < 発火点)
  • C重油の予熱温度が高すぎると蒸気泡が発生してバーナー失火のリスクが高まる
  • 低温腐食は硫黄分由来の硫酸が露点以下の金属面に凝縮して起きる。発生場所はエコノマイザ・空気予熱器
  • A重油は予熱不要・C重油は予熱必要という対比が頻出

この記事のまとめ

重油はA・B・C種の順に粘度が高くなり、C重油だけが予熱が必須です。引火点は発火点より必ず低く、A重油で60℃以上・C重油で70℃以上です。予熱温度が高すぎるとフラッシュ蒸発でバーナー失火が起きます。燃焼で生成したSO₃が水蒸気と結合して低温腐食を引き起こすため、エコノマイザ周辺の排気温度管理が重要です。試験では「粘度の順序」「引火点と発火点の大小」「低温腐食の発生メカニズム」が毎回問われます。


出典:安全衛生技術試験協会 公表試験問題・JIS K 2205 重油(日本産業規格)
作成:fufumumu_design|更新:2026年11月

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この記事を書いた人

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