就労継続支援A型で算定できる加算の一覧。種類と要件。

就労継続支援A型で算定できる加算には、職員の専門性に応じたもの、就職実績に応じたもの、日々の支援内容に応じたものなど複数の種類があります。令和6年4月改定(告示第523号 別表第10)に基づく加算の一覧と、各加算の算定要件を整理します。

加算を積み上げることで月間収入は大きく変わります。基本報酬だけで試算したシミュレーションと、主な加算を取得した場合の収入差については、就労継続支援A型 収支シミュレーターで確認できます。

就労継続支援A型の加算体系の全体像

就労継続支援A型の報酬は、基本報酬(評価点の区分×定員規模)に加算・減算を積み上げる構造です。根拠法令は障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づく指定障害福祉サービス等及び基準該当障害福祉サービスに要する費用の額の算定に関する基準(告示第523号)別表第10です。

加算は大きく次の4グループに分類できます。

  • 職員の配置・資格に関する加算
  • 就労支援実績に関する加算
  • 日常支援・サービス提供方法に関する加算
  • 処遇改善に関する加算

職員の配置・資格に関する加算

福祉専門職員配置等加算(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ)

職業指導員・生活支援員として配置された常勤職員の中に、社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士・公認心理師等の有資格者が一定割合以上含まれる場合に算定できます。

区分 要件
加算(Ⅰ) 常勤の職業指導員・生活支援員のうち35%以上が社会福祉士等の有資格者
加算(Ⅱ) 同 25%以上
加算(Ⅲ) 常勤職員の75%以上、または勤続3年以上の職員が30%以上

(Ⅰ)と(Ⅱ)は有資格者の割合を要件とし、(Ⅲ)は資格の有無ではなく常勤率・勤続年数を要件とします。いずれも重複算定はできません。届出後に体制を維持することが条件です。

サービス管理責任者配置等加算

サービス管理責任者が、施設外就労を行う利用者のために定められた要件を満たす場合に算定できます。施設外就労とは、事業所外の企業等で就労訓練を行うことです(留意事項通知参照)。

就労支援実績に関する加算

就労移行支援体制加算

前年度に就労継続支援A型を利用して一般就労(雇用契約のある就職)した者がいる場合に算定します。就労後6か月以上定着した実績が要件で、実績のある利用者数に応じて単位数が変わります(告示第523号 別表第10の注を参照)。

A型は利用者自身が雇用契約のある就労の場ですが、一般企業への転職・就職を支援した実績が別途評価されます。支援体制を強化して一般就労実績を積み上げることで、翌年度以降の報酬が増加します。

日常支援・サービス提供方法に関する加算

送迎加算(Ⅰ・Ⅱ)

利用者の自宅から事業所への送迎を行う場合に算定します。

区分 要件・内容
送迎加算(Ⅰ) 送迎を行い、かつ支援中に重度の障害者(障害支援区分4以上等)が一定割合以上含まれる場合
送迎加算(Ⅱ) 送迎を行う場合(区分要件なし)

算定する場合は事前に都道府県(または市区町村)への体制届出が必要です。同一敷地内の送迎は単位数の算定方法が異なります(留意事項通知参照)。

食事提供体制加算

事業所で食事を提供する場合(または食事の提供に代わる費用を徴収しない場合)に算定します。ただし令和9年3月31日までの経過措置とされており、令和9年4月以降の扱いについては改定動向を確認してください(第156回社会保障審議会障害者部会でスケジュールが示されています)。

欠席時対応加算

利用者が病気等で当日欠席した場合に、事業所が利用者またはその家族と連絡を取り、今後の支援方法を検討した場合に算定できます。月あたりの算定回数に上限があります(告示第523号 別表第10の注を参照)。

初期加算

利用者が就労継続支援A型の利用を開始してから30日以内の期間に算定できる加算です。新規利用者が定着するまでの初期集中支援に対する報酬です。日数のカウント・再算定の可否については留意事項通知で確認してください。

医療連携体制加算

医療機関等と連携して、看護職員を派遣してもらい、医療的なケアが必要な利用者を受け入れる場合に算定します。看護職員の派遣頻度・利用者の状態等によって区分が分かれます(留意事項通知参照)。

精神障害者退院支援施設加算

精神科病院から退院して間もない利用者(退院後6か月以内等)を受け入れる場合に算定できる加算です。精神科病院との連携体制と記録が要件です。

処遇改善に関する加算

福祉・介護職員処遇改善加算、特定処遇改善加算等

職員の賃金改善を目的とした加算群です。令和6年4月改定で整理・統合され、加算率は評価区分に応じて設定されています。計画書の提出・実績報告が義務付けられており、取得要件・手続き・計算方法が他の加算とは異なります。

処遇改善加算の算定要件・計算方法の詳細は、就労継続支援A型・B型の処遇改善加算、何が必要で、どう計算するか。で整理しています。

加算取得の実務:届出と体制維持

加算取得に必要な届出

多くの加算は、算定を開始する前に指定権者(都道府県または政令指定都市・中核市)への体制届出が必要です。届出なしに算定すると過誤請求になるため、国保連への請求前に届出を完了させてください。

届出のタイミングは加算の種類によって異なります。

  • 翌月から算定を開始する場合:前月末までの届出が一般的
  • 翌年度から算定を開始する場合:前年度中の届出

詳細は都道府県の指定権者が出している「加算算定にかかる体制等に関する届出書」の記載要領を確認してください。

加算維持のためのモニタリング

職員配置要件がある加算は、届出後も体制を維持し続けることが求められます。常勤職員の離職・有資格者の異動等で要件を下回った場合は、速やかに指定権者へ変更届を提出し、加算の算定を停止する必要があります。運営指導では届出内容と実際の体制の一致が確認されます。

加算取得前の試算:収入への影響を確認する

主な加算を取得した場合、月間収入はどれくらい変わるのでしょうか。

例として、定員20名・その他地域・評価点区分4(新規みなし)の事業所が福祉専門職員配置等加算(Ⅱ)と送迎加算(Ⅱ)を取得したとき、月間収入は加算なしの場合と比べて数十万円単位で増えることがあります(利用日数・稼働率次第)。

加算有無の収入試算は、就労継続支援A型 収支シミュレーターの「加算」タブから設定できます。定員・評価点・地域区分・加算の組み合わせを変えながら、実現可能な収入見込みを確認してください。

まとめ

就労継続支援A型の加算は、告示第523号 別表第10に定められており、職員配置・就労実績・日常支援・処遇改善の4グループに整理できます。

  • 福祉専門職員配置等加算:常勤職員の有資格者割合が要件
  • 就労移行支援体制加算:前年度の一般就労・定着実績が要件
  • 送迎加算・食事提供体制加算・欠席時対応加算:日常支援の実施が要件
  • 処遇改善加算:計画書提出・実績報告が必要な特別な加算

加算取得の届出を忘れずに行い、体制を維持することで、基本報酬に加えて安定した上乗せ収入が得られます。

加算を含めた開業後36か月の月次収支・損益分岐・資金繰りは、就労継続支援A型 収支シミュレーター(Pro版)で試算できます。開業計画の検討にご活用ください。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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