放課後等デイサービスの人員配置基準は、管理者・児発管・直接支援員の3種類で構成される。
放課後等デイサービスを開業するには、法令で定められた職員を配置しなければなりません。必要な職種は「管理者」「児童発達支援管理責任者(児発管)」「児童指導員または保育士」の3種類です。定員10名以下の事業所では最低4名(管理者1名+児発管1名+直接支援員2名)が必要で、開業後も利用児童数に応じて日ごとの基準を満たし続ける必要があります。
根拠は「児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準」(平成24年厚生労働省令第15号)です。令和6年度の報酬改定では加配加算の区分が再編され、経験年数と配置形態によって算定できる単位数が変わっています。この記事では、各職種の要件と常勤換算の計算方法を、開業を検討している方に向けて整理します。
管理者の要件。資格は不要だが、管理業務に専念できる体制が必要。
管理者は事業所ごとに1名以上の配置が必要です(省令第65条)。資格要件は定められておらず、管理者経験がなくても就任できます。
注意すべき点は兼務の範囲です。管理業務に支障がないと認められる場合に限り、以下の兼務が認められています。
- 同一事業所内の他職種(児童発達支援管理責任者など)との兼務
- 他の事業所の管理者や職員との兼務
管理者が兼務できるのは「管理業務に支障がない」という条件が前提です。複数の職員と利用者が動く開業直後は、日中の管理業務を実際に担いながら他の職種を兼ねることが難しいケースも多くあります。指定申請時に自治体と配置計画を確認するのが確実です。
児童発達支援管理責任者(児発管)の要件。1名以上を専任・常勤で配置する。
児童発達支援管理責任者(以下「児発管」)は、個別支援計画の作成と進行管理を担う専門職です。事業所ごとに1名以上を配置し、うち1名以上は専任・常勤でなければなりません(省令第65条)。
児発管の資格要件は実務経験と研修の2段階。
児発管になるには、実務経験と研修の両方を満たす必要があります。
実務経験要件(次のいずれか)
- 相談支援業務の実務経験(相談支援専門員として3年以上)
- 直接支援業務の実務経験(施設・事業所で5年以上。うち3年以上は障害者・障害児の支援業務)
- 有資格者(社会福祉士、介護福祉士、精神保健福祉士、保育士、教員免許など)の場合は実務3年以上
- 国家資格に基づく業務(医師、看護師、理学療法士、作業療法士など)の実務5年以上
研修要件
- 基礎研修(講義と演習)を修了し、OJT期間(概ね2年程度)を経る
- 実践研修を修了して初めて「児発管として申請できる状態」になる
研修は都道府県や政令市が指定する実施機関で受けます。空き状況によっては受講まで数か月待つ場合があるため、開業準備と並行して早めに申し込みの確認を進めるとよいでしょう。
児発管が欠如した場合は基本報酬が30%減算される。
児発管が1か月以上欠如した状態になると、以降のサービス提供分について基本報酬が30%減算されます。退職や急な休職で欠如状態になると、収入への影響が大きいため、後任の確保・育成を日ごろから検討しておく必要があります。
管理者との兼務は可能。直接支援員との兼務は不可。
児発管は管理者を兼務することが認められています。一方、基準人員として算定する児童指導員・保育士との兼務は認められていません。こども家庭庁のQ&A(令和6年5月17日発出)では、「児発管が業務に支障のない範囲で直接支援に入ることは認められるものの、指定基準上の員数には算定できない」と示されています。定員10名以下であれば、児発管とは別に最低2名の直接支援員が必要です。
児童指導員・保育士の配置人数は、その日の利用児童数で決まる。
放課後等デイサービスの直接支援員(児童指導員または保育士)は、定員ではなく、その日の利用児童数に応じた人数を配置しなければなりません(省令第66条)。
| その日の利用児童数 | 必要な直接支援員数 |
|---|---|
| 1〜10名 | 2名以上 |
| 11〜15名 | 3名以上 |
| 16〜20名 | 4名以上 |
| 21〜25名 | 5名以上 |
| 26〜30名 | 6名以上 |
計算式で表すと次のようになります。
- 利用児童数が10名以下の場合:2名
- 11名以上の場合:2名 +(利用児童数 − 10)÷ 5(端数切り上げ)
たとえば利用児童数が13名の日は、2 +(13−10)÷5 = 2 + 0.6 → 端数切り上げで3名が必要です。
なお、このうち1名以上は常勤でなければなりません。非常勤スタッフだけで直接支援員の人数を揃えることはできません。
機能訓練担当職員・看護職員は半数未満に限り算入できる。
機能訓練担当職員(理学療法士・作業療法士・言語聴覚士など)や看護職員も、一定の条件を満たす場合に直接支援員の合計数に含めることができます。ただし、算入できるのは全体の半数未満であり、残り半数以上は児童指導員または保育士でなければなりません。
たとえば利用児童数10名で必要人数が2名の場合、看護職員1名を加えて計3名配置するとしても、このうち2名以上は児童指導員または保育士である必要があります。
障害福祉サービス経験者は令和3年度改定から基準人員に含められない。
令和3年度の制度改正以前は、障害者の福祉サービスに従事した経験がある者(障害福祉サービス経験者)を直接支援員として算定できる経過措置がありましたが、この経過措置は令和5年3月末に終了しています。現在は基準人員に含めることができません。
加配加算の算定人員としては引き続きカウントできますが(90単位の「その他の従業者」区分)、基準人員の確保は児童指導員・保育士で行う必要があります。
常勤換算の計算方法。1週間の勤務時間合計を常勤時間で割る。
「常勤換算」とは、複数のパートタイム職員の勤務時間を合計し、常勤1名分の換算値に直す計算方法です。放課後等デイサービスでは、児発管1名以上(専任・常勤)や直接支援員1名以上(常勤)が求められるため、常勤の定義と換算の計算方法を正確に理解しておく必要があります。
常勤の定義は「事業所が定める常勤の勤務時間数を満たしていること」。
「常勤」とは、その事業所が就業規則等で定めた常勤職員の週所定勤務時間数を満たして勤務している状態を指します。週32時間を下回る事業所の場合は、週32時間が常勤換算の基準時間として扱われます。
常勤換算の計算式は「従業者の勤務時間合計 ÷ 常勤時間」。
計算式:常勤換算数 = 対象の従業者全員の1週間の勤務時間合計 ÷ 常勤職員の1週間の所定勤務時間
具体例で確認します。
| 状況 | 計算 | 常勤換算 |
|---|---|---|
| 常勤40時間の事業所で、週20時間のパート2名 | (20+20)÷40 | 1.0 |
| 常勤40時間の事業所で、週30時間のパート1名+週10時間1名 | (30+10)÷40 | 1.0 |
| 常勤32時間の事業所で、週16時間のパート3名 | (16×3)÷32 | 1.5 |
常勤換算が1.0以上であっても、それは「常勤換算で1名分」という意味であり、実際に常勤で勤務している1名とは別物です。配置基準で「常勤1名以上」が求められる場合は、週所定勤務時間数を満たして実際に勤務している職員が1名必要です。常勤換算値では代替できません。
育児・治療等による短縮勤務は週30時間で常勤扱いになる場合がある。
育児・介護休業法の規定による勤務時間短縮や、医療的な治療を受けながら勤務している職員については、事業所の体制が整っている場合に週30時間で常勤として扱うことが認められています。週32時間に達していなくても常勤扱いになるため、対象の職員がいる場合は自治体に確認してください。
令和6年度改定で変わった人員基準関連の主な内容。
令和6年4月の報酬改定では、直接支援員の基準人員そのものは変わっていませんが、加配加算の仕組みが大きく変わっています。
加配加算の区分が5段階に再編された。
従来の加配加算は、職種(専門職・児童指導員・その他)の3区分でしたが、令和6年度改定で「配置形態」(常勤専従・常勤換算)と「経験年数」(5年以上・5年未満)の組み合わせによる5区分に再編されました。定員10名以下・3時間以上の区分で比較します。
| 区分 | 配置形態 | 経験年数 | 単位数(1日) |
|---|---|---|---|
| 児童指導員等 | 常勤専従 | 5年以上 | 187単位 |
| 常勤専従 | 5年未満 | 152単位 | |
| 常勤換算 | 5年以上 | 123単位 | |
| 常勤換算 | 5年未満 | 107単位 | |
| その他の従業者 | (問わず) | (問わず) | 90単位 |
「経験5年以上」の対象となる実務は、児童福祉法に規定された事業(放課後等デイサービス・児童発達支援・障害者支援施設など)での経験です。特別支援学校の教員経験も含まれますが、一般の小中学校での教育経験は原則として含まれません。
なお、管理者・児発管を兼務している職員は加配員としてカウントできません。配置計画を立てるときは、加配算定の対象になる職員と基準人員の職員を分けて整理する必要があります。
5領域プログラムは令和7年度から未実施で15%減算。
令和6年度の初年度は努力義務だった「5領域(健康・生活、運動・感覚、認知・行動、言語・コミュニケーション、人間関係・社会性)を網羅した個別支援計画の作成」は、令和7年4月(2025年4月)から義務化され、未実施の場合は基本報酬が15%減算されます。児発管が行う個別支援計画の作成において、5領域のどのテーマを対象に支援しているかを明確にする必要があります。
人員配置でよくある見落とし4点。
開業準備と運営の中で、人員配置に関して実際に問題になりやすい点をまとめます。
1. 利用日に配置基準を下回るシフトにしない。
直接支援員の基準はその日の利用人数によって変わります。利用予定が少ない日に合わせてシフトを組んでいると、実際の利用人数が増えたときに基準を下回るリスクがあります。予約状況と突発的な追加利用を見越したシフト管理が必要です。
2. 常勤職員の産前産後・育児休業中の代替要員を確保する。
直接支援員に1名以上の常勤要件があるため、常勤職員が産前産後休業・育児休業に入った場合は、常勤要件を満たす代替要員が必要になります。育休取得が見込まれる職員がいる事業所では、早めに後任の採用や育成を進めておく必要があります。
3. 児発管の資格取得は研修待ちが発生する。
児発管の基礎研修・実践研修は都道府県が開催するため、受講枠に空きが出るまで数か月待つことがあります。開業時の必須資格のため、指定申請のタイミングに合わせて研修スケジュールを逆算して確認してください。
4. 障害福祉サービス経験者は今後新たに基準人員に算入できない。
令和5年3月末に経過措置が終了しており、現在は障害福祉サービス経験者を基準人員(2名以上)の中に含めることができません。採用の際は、児童指導員または保育士の資格を確認してください。
人員配置の最低ラインは定員10名で「管理者1名+児発管1名+直接支援員2名」の合計4名。
定員10名の事業所を想定した場合、法令上の最小限の配置は以下のとおりです。
| 職種 | 最低人数 | 常勤要件 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 管理者 | 1名以上 | (省令本文で確認要) | 児発管との兼務可 |
| 児童発達支援管理責任者 | 1名以上 | 専任・常勤 | 管理者との兼務可。直接支援員との兼務不可 |
| 児童指導員または保育士 | 2名以上(利用10名以下の日) | うち1名以上は常勤 | 利用者数が増えると必要人数も増加 |
管理者と児発管を同一人物が兼務するケースでは、実質3名(管理者兼児発管1名+直接支援員2名)での運営が可能です。ただし、管理者兼児発管は直接支援の基準人員に含められないため、利用児童10名の日は他に2名の児童指導員・保育士が必要です。
また、自治体によっては省令の基準に上乗せした独自基準を設けている場合があります。指定申請の前に、管轄の自治体(都道府県または政令市)の担当課に配置計画を確認することをすすめます。
出典と確認の方法。
この記事の主な参照先は以下のとおりです。
- 「児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準」(平成24年厚生労働省令第15号)第65条・第66条・第70条
- カイポケ「【2025年最新】放課後等デイサービスの人員配置基準とは?」(https://ads.kaipoke.biz/after-school-day-service/column/opening/standard-manpower/)
- 行政書士 櫻井ゆうき事務所「放課後等デイサービスの人員配置基準と加算の組み方【令和6年度改定対応】」(https://gyosei-sakurai.com/)
- こども家庭庁「令和6年度障害児通所支援等に係る報酬改定に関するQ&A VOL.1」(令和6年5月17日)
条文の原文は e-Gov 法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/)で「平成24年厚生労働省令第15号」として確認できます。自治体の独自基準は、各都道府県・政令市の指定担当課のページで最新版を確認してください。
当記事の数値・要件は、各解説サイトの記載をもとにまとめています。実際の申請・運営に際しては、省令の原文と管轄自治体の案内を直接確認することをおすすめします。
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