消火器メーカーが廃業したり型式が失効したりした場合、点検業者として適切な対応を取る必要があります。型式失効の仕組み・廃業メーカーの消火器の扱い・点検時の発見フロー・試験での出題ポイントを整理します。
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▶ 消防設備士 乙種第6類 問題集
消火器の型式承認と型式失効の仕組み
消火器は消防法第21条の2に規定される「検定対象機械器具等」であり、型式承認と型式適合検定(個別検定)の2段階を経た製品のみが販売・設置できます。型式承認は総務大臣が行います(消防法第21条の4第2項)。
型式が失効する根拠は消防法第21条の5(規格省令改正による失効)と第21条の6(不正手段による申請・正当な理由のない型式適合検定申請の放棄)です。
消防法第21条の10は「型式承認の効力が失われたとき、既に行った型式適合検定の合格の効力も失われる」と規定しています。これは「型式失効した機器の設置・工事への使用が禁止される」根拠の一部となります。消防法第21条の2第4項は、型式適合検定の合格表示が付いていない消防機器の販売・設置工事への使用を禁じています。
型式失効後の既設置品の取り扱い
型式が失効しても、既に防火対象物に設置されている消火器をその場でただちに撤去する義務は条文上に直接規定されていません。ただし次の影響が生じます。
- 型式失効品の新規販売・新規設置工事への使用禁止(消防法第21条の2第4項・第21条の10)
- 整備に必要な部品・薬剤の供給停止(メーカーの生産終了または市場からの消滅)
- 点検結果として「整備不可」または「廃棄を推奨」と記録する実務上の判断
旧規格消火器(平成22年規格省令改正前の型式)については、消防庁の通知に基づく経過措置が設けられており、令和3年(2021年)12月31日をもって経過措置期間が終了しています。2022年1月1日以降は旧規格消火器の新たな設置が認められなくなっています。既設置の旧規格消火器は廃棄・新規格品への交換が必要です。
廃業メーカーの消火器への対応
メーカーが廃業した場合、そのメーカーが製造した消火器のアフターサービスが受けられなくなります。廃業による影響は次のとおりです。
| 影響の種類 | 具体的な内容 |
|---|---|
| 整備部品の入手困難 | 安全栓・キャップ・ガスケット・ノズル等の交換部品がメーカーから購入できなくなる |
| 薬剤充填の困難 | 消火薬剤の入手先・充填業者が限定される(消火薬剤メーカーが別途存在する場合は対応可能なケースがある) |
| 耐圧試験の対応困難 | 蓄圧式の10年目の耐圧試験に対応できる業者が限定される |
廃業しても型式が有効なメーカーの消火器は、他メーカーが同等の部品を供給しているケースがあります。ただし部品の入手が困難になれば整備ができなくなるため、廃棄・新品交換が実質的に必要になります。
型式失効消火器・廃業メーカー消火器の見分け方
| 確認箇所 | 確認内容 | 判断の目安 |
|---|---|---|
| 製造年 | 本体ラベルの製造年 | 2011年以前の製造は旧規格の可能性が高い |
| 合格証シール | 8角形の検定合格証の有無 | シールがない場合は型式適合検定未通過の可能性 |
| ラベルの火災表示 | 文字表示(旧規格)か絵表示(新規格)か | 「A」「B」「C」の文字のみ→旧規格 |
| 型式番号 | 消防防災科学センター等の型式承認品一覧との照合 | 一覧になければ型式失効または未承認の可能性 |
| メーカー名 | 現在も事業継続しているかWebサイト等で確認 | 廃業確認の場合は部品入手困難の可能性 |
点検時に型式失効・廃業メーカー品を発見した場合の対応フロー
外観点検で型式失効品または廃業メーカー品と判断した場合、次のフローで対応します。
- 型式の有効性確認:型式番号を消防防災科学センターの型式承認品一覧で確認する
- 製造年の確認:製造年を本体ラベルで確認し、経過措置の終了時期(2021年12月31日)との関係を整理する
- 整備可否の確認:必要な部品・薬剤がメーカーまたは代替ルートで入手可能かを確認する
- 点検票への記録:外観・機能の確認結果を点検票に記録する。型式失効品の場合は「型式失効・交換推奨」の指摘事項として記載する
- 建物管理者への報告:型式失効品・部品入手困難品については、廃棄・新品交換を書面で推奨する
点検業者として「型式失効していることを知りながら指摘しない」行為は、点検票の虚偽記録に当たる可能性があります。消防法施行規則第31条の6第3項は点検結果を維持台帳に記録する義務を課しており、不良事項の記録漏れは問題となります。
設置義務との関係
型式失効消火器が設置されていても、消防法施行令第10条に基づく消防設備設置義務は建物全体として継続します。型式失効品が設置されている状況は「設備の維持がされていない」状態と判断される可能性があります。
消防法第17条の4は消防長・消防署長が消防設備の設置・維持の命令を出せると規定しています。立入検査で型式失効品を確認した場合、交換命令の対象になる可能性があります。
試験での出題ポイント整理
| 問われ方 | 正しい答え | 根拠 |
|---|---|---|
| 消火器の型式承認を行う機関は | 総務大臣 | 消防法第21条の4第2項 |
| 規格省令改正による型式失効の根拠は | 消防法第21条の5第1項 | 消防法第21条の5第1項 |
| 旧規格消火器の経過措置終了時期は | 令和3年(2021年)12月31日 | 消防庁通知・告示に基づく経過措置 |
| 型式失効後に型式適合検定の合格効力が失われる根拠は | 消防法第21条の10 | 消防法第21条の10 |
| 型式適合検定合格表示のない機器の販売・設置工事禁止の根拠は | 消防法第21条の2第4項 | 消防法第21条の2第4項 |
まとめ
消火器の型式承認は総務大臣が行い(消防法第21条の4第2項)、失効の根拠は消防法第21条の5(規格改正)と第21条の6(不正・放棄)です。型式失効後は消防法第21条の10により既存の合格効力も失われ、消防法第21条の2第4項により新たな設置工事への使用が禁止されます。旧規格消火器の経過措置期間は2021年12月31日に終了しています。廃業メーカーの消火器は型式が有効であっても部品・薬剤の入手困難から整備ができなくなるため廃棄・交換を推奨します。点検時に発見した場合は型式の有効性確認・点検票への記録・建物管理者への交換推奨報告が実務上の対応手順です。
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