クリニックのAED・BLS研修と非常災害時対応、義務の根拠と研修内容。

クリニックのAED・BLS研修と非常災害時対応、義務の根拠と研修内容。 ??????????(????)

クリニックでは、患者が院内で急変する事態を想定した研修が必要です。AED(自動体外式除細動器)の操作とBLS(Basic Life Support・一次救命処置)の手順は、医療機関のスタッフ全員が知っておくべき基本手順です。クリニックのAED研修に法令上の実施回数の義務規定はありませんが、安衛則第24条(救急処置の教育)・消防法(AEDの点検義務)および医療法施行規則第1条の11第2項第2号(医療安全管理)の趣旨から、定期的な実施が求められます。年1回以上の実技研修が医療安全管理研修の一環として実施されている医療機関が多いです。

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AED設置の義務と点検義務

医療機関にAEDの設置を直接義務づける単独の法令は現時点では存在しません。ただし、次の観点から多くのクリニックでAEDの設置が実質的に必要とされています。

  • 医療法施行規則第20条が定める診療所の構造設備基準に、救急処置のための設備・器具が含まれています
  • 地方自治体の条例によってAED設置を義務づけている地域があります(東京都・大阪府等)
  • 患者が院内で急変した場合の医療安全管理の観点から、設置が標準的な対応となっています

AEDは高度管理医療機器(薬機法)に該当するため、製品の添付文書・製造販売業者の指定する保守点検基準に従った管理が必要です。AED本体の点検(バッテリー残量・パッドの期限・本体の状態)は少なくとも月1回以上の目視点検を行い、年1回以上は専門業者または製造販売業者の指定する方法での保守点検を実施します。点検記録は5年程度を目安に保存します。

BLS(一次救命処置)の手順

BLSは、心肺停止または呼吸停止が疑われる患者に対して、医療器具が届く前に行う緊急処置です。日本蘇生協議会(JRC)の「JRC蘇生ガイドライン2020」が現在の標準です。基本の手順は次のとおりです。

  1. 安全確認:周囲の安全を確認し、倒れている人のそばに近づく
  2. 反応の確認:肩を軽くたたきながら「大丈夫ですか」と声をかける。反応がない場合は次のステップへ
  3. 119番通報とAED手配:大声で人を呼び、119番通報とAEDの持参を依頼する。院内では所定のコールシステム(「コードブルー」等)を使う
  4. 呼吸の確認:10秒以内に正常な呼吸があるか確認する。なければ心停止と判断して胸骨圧迫を開始する
  5. 胸骨圧迫:胸の中央(胸骨の下半分)を両手で重ねて、5cm以上・6cm未満の深さで、1分間に100〜120回のテンポで圧迫する。中断を最小限にする
  6. AEDの使用:AEDが届いたら電源を入れ、音声ガイドに従って操作する。パッドを装着し、解析後に電気ショックが必要と判断された場合はショックボタンを押す
  7. 胸骨圧迫の再開:ショック後は直ちに胸骨圧迫を再開する。救急隊が到着するまで継続する

医療機関では「人工呼吸を加えた心肺蘇生」を実施できる体制が望ましいとされています(バッグバルブマスクを用いた補助換気)。ただし、気道確保・人工呼吸の実技は胸骨圧迫より高度な技術を要するため、定期的なシミュレーション研修が重要です。

クリニックにおける急変対応の特徴

診察中に急変が起きる場面

クリニックで急変が起きやすい場面として、次のものがあります。研修では各場面での初動を確認しておくことが重要です。

場面 急変の主な原因 初動のポイント
採血・注射・点滴中 アナフィラキシー・迷走神経反射(血管迷走神経失神) 臥位にして足を挙上・アドレナリン(エピペン)の準備・バイタル測定
待合室で患者が倒れた 心肺停止・脳卒中・低血糖 BLS開始・AED手配・119番通報
内視鏡・処置中 迷走神経反射・鎮静剤による呼吸抑制 バイタル確認・酸素投与・酸素飽和度モニタリング
外来待合で患者が意識を失った 失神・けいれん・低血糖 周囲の安全確保・バイタル確認・BLS判断

アナフィラキシーへの対応は別に訓練します

注射・点滴後のアナフィラキシーショックは、速やかな対応が命に関わります。アナフィラキシーの対応はBLSとは別のプロトコルになります。アドレナリン(エピペン)の投与は医師の指示のもとで行われますが、看護師はエピペンの場所・使用方法・投与後の観察ポイントを把握しておく必要があります。

注射・点滴を行うクリニックでは、アナフィラキシー対応訓練をBLS研修とセットで実施することを推奨します。

研修で実施する内容と頻度

AED・BLS研修は座学と実技の両方を組み合わせることが効果的です。日本救急医学会・日本蘇生協議会が認定する「BLSプロバイダーコース」(半日程度)への参加を、医療スタッフ全員に年1回以上受講させる体制をとっているクリニックもあります。外部の研修機関を活用する場合は、修了証・参加証を院内の研修記録として保管してください。

院内研修として実施する場合の基本的な内容は次のとおりです。

  • BLSの手順確認(動画視聴+口頭確認)
  • AEDの場所と取り出し方の確認(全員が場所を把握しているか)
  • AEDパッドの交換・電池残量の確認(点検記録の更新)
  • 胸骨圧迫の実技(人形を使った練習)
  • 急変発生時の院内コール手順(誰が何をするか)の確認
  • アナフィラキシー対応の確認(エピペンの場所・使用方法)

研修記録には実施日・参加者・内容・担当者を記載し、5年程度を目安に保存します。

クリニックで義務がある研修の全体像は「クリニック・診療所の法定研修、何が義務で年何回か。」に一覧があります。

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この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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