保育所の年間研修計画、どう立てればいいか。

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保育所の研修義務は、複数の根拠条文から生まれた複数のテーマで構成されています。「何を・年に何回・いつ実施するか」を年度初めに整理しておかないと、年度末になって「まだやっていないテーマがある」という事態になります。

この記事では、保育所が年間計画に盛り込むべき8テーマの一覧・各テーマの最低実施回数・年間スケジュールへの組み込み方を整理します。

年間研修計画に盛り込む8テーマの一覧

保育所の研修義務を根拠条文ごとに整理すると、次の8テーマになります。

テーマ 根拠条文 最低実施回数
避難・消火訓練 第6条第2項 月1回(年12回以上)
安全に関する研修・訓練 第6条の3(安全計画) 年1回以上
BCPに関する研修・訓練 第6条の4(業務継続計画) 年1回以上
虐待防止・権利擁護研修 第9条の2 年1回以上
感染症対策研修 第10条(第3条準用) 年1回以上
食中毒防止研修 第10条(第3条準用) 年1回以上
個人情報保護研修 個人情報保護法・各事業者の規程 年1回以上
ハラスメント防止研修 労働施策総合推進法・各ガイドライン 年1回以上

避難・消火訓練は月1回が義務のため、年間で12回の実施計画が必要です。それ以外の7テーマは年1回以上が最低ラインです。

安全計画・BCP訓練は、避難訓練と組み合わせて実施できる

安全計画に基づく訓練(第6条の3)とBCP訓練(第6条の4)は、月1回の避難訓練と組み合わせて実施することが可能です。

たとえば、年3回の避難訓練(4月・9月・1月)を「安全計画訓練を兼ねた訓練」として位置づければ、「安全計画の訓練 年1回以上」の要件を満たせます。同様に、年1回を「BCP訓練を兼ねた訓練」にまとめることもできます。

ただし、記録には「この回は安全計画訓練(第6条の3)の訓練を兼ねる」と明記しておかないと、後から確認したときに区別ができません。記録の一行に記載しておくだけで十分です。

年間スケジュールへの組み込み方

研修を年間スケジュールに落とし込む際は、次の手順で考えると整理しやすいです。

  1. 月1回の避難訓練(12回)を先に埋める
    各月の第何週・何曜日に実施するかを先に決め、年間計画表に記入します。
  2. 年1回以上の7テーマを避難訓練との組み合わせも含めて配置する
    安全計画訓練・BCP訓練は避難訓練と組み合わせる月を1つ決めます。残りの5テーマ(虐待防止・感染症・食中毒・個人情報・ハラスメント)はそれぞれ1回ずつを別の月に配置します。
  3. 新規採用職員への対応月を設ける
    4月・10月など採用が多い時期の翌月に、新規採用者向けの補講や追加研修を設けておくと、未受講者が生まれにくくなります。
  4. 担当者と準備時間を決める
    各研修の企画・進行・記録の担当者を事前に決めます。担当者の名前が決まっていないと、年度末になって「誰もやっていなかった」になりやすいです。

月別スケジュールのサンプル

8テーマを1年間に均等に組み込んだサンプルです。施設の規模・体制に合わせて調整してください。

月 避難訓練(毎月) 研修テーマ(年1回以上)
4月 地震想定・避難経路確認 虐待防止・権利擁護研修
5月 火災想定(調理室)・消火訓練 感染症対策研修
6月 水害想定・ハザードマップ確認 食中毒防止研修
7月 火災想定(保育室)・消火確認 個人情報保護研修
8月 地震想定・延長保育時の避難 —
9月 地震想定・安全計画訓練を兼ねる ハラスメント防止研修
10月 不審者侵入想定・さすまた訓練 —
11月 火災想定(電気系統)・消火確認 —
12月 地震想定・少人数体制での避難 —
1月 地震想定・BCP訓練を兼ねる —
2月 火災想定・散歩中の急変対応 —
3月 地震想定・年間の振り返り —

このサンプルでは、5月・6月・7月に感染症・食中毒・個人情報をまとめて配置しています。実際には、研修の内容によって季節に関係する月に配置するとより効果的です(例:感染症は流行期前の秋・食中毒は夏前)。

新規採用職員が未受講になる問題への対処

年1回の研修しか設定していない施設では、年間計画を作成した後に入職した職員が、その研修テーマを1年以上受けない状態になることがあります。

対処方法は2つあります。

  • 補講月を年間計画に入れておく:10月頃に「新規採用者向け補講月」として主要テーマの簡易確認を設け、年間計画に明記しておく。未受講者がいる場合はここで受講してもらう
  • 入職時オリエンテーションにテーマを盛り込む:個人情報・ハラスメント・虐待防止については、入職時のオリエンテーションで最低限の内容を伝え、記録を残す。その後の年1回の研修で詳細を確認する形にする

「全員が受講済み」の状態を年度末に確認できるよう、受講管理台帳(テーマ別・職員別のマトリクス)を年間計画に添付しておくと管理しやすくなります。

年間計画の様式に盛り込む内容

年間研修計画は、次の項目を含む文書として作成してください。

  • 対象年度
  • 施設名・責任者名(施設長または管理者)
  • 月別の実施予定(テーマ・日時・場所・担当者)
  • 各テーマの根拠条文または実施目的
  • 参加対象者(全職員か特定の職種か)
  • 未受講者が出た場合の補講の方針
  • 計画の承認者・承認日

運営指導でよく確認される不備

  • 年間計画が文書として存在しない:「毎年やっている」という口頭の説明では、計画的な実施の確認ができません。文書として作成して施設長が承認した記録を残してください
  • テーマの抜けがある:避難訓練は記録があるが、虐待防止・感染症・食中毒のどれかが抜けているケースがよくあります。8テーマの一覧を年度初めにチェックしてください
  • 全職員の受講が確認できない:一部の職員しか参加記録がなく、パートや非常勤が参加していないケースがあります。受講管理台帳で全員の受講を確認できる体制を作ってください
  • 研修と訓練が混在して整理されていない:研修(知識・技術の習得)と訓練(手順の実践確認)は性格が異なります。記録を別々に整理しておくと、運営指導での説明がしやすくなります

まとめ

保育所の年間研修計画には、避難・消火訓練(月1回)のほか、安全計画訓練・BCP訓練・虐待防止・感染症・食中毒・個人情報・ハラスメントの7テーマ(各年1回以上)を盛り込む必要があります。

安全計画訓練とBCP訓練は月1回の避難訓練と組み合わせることができます。年度初めに8テーマを月別に配置し、担当者と参加対象者を決めることで、年度末の「やり忘れ」を防げます。

年間研修計画の様式・各テーマの研修資料・記録様式をまとめたツールを用意しています。ぜひ活用してください。

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この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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