点検結果報告書は消防法第17条の3の3で定められた義務書類
消防設備士や消防設備点検資格者が消防用設備等の点検を実施したあと、その結果をまとめて行政機関に提出する書類が「点検結果報告書」です。
根拠は消防法第17条の3の3です。防火対象物の関係者(所有者・管理者・占有者)が報告義務を負います。消防設備士が自分で報告書を出すのではなく、建物の関係者が提出主体となります。消防設備士は点検を実施し、その結果を報告書に記載する役割を担います。
報告が必要な対象と頻度
消防用設備等の点検結果を報告しなければならない防火対象物は、消防法施行規則第31条の6によって定められています。
| 対象 | 報告頻度 |
|---|---|
| 特定防火対象物(劇場・飲食店・病院・ホテル・百貨店など) | 年1回 |
| 非特定防火対象物(事務所・工場・倉庫・共同住宅など) | 3年に1回 |
特定防火対象物とは、不特定多数の人が利用したり、避難が困難な人が利用したりする施設です。消防法施行令別表第一の(一)項〜(四)項・(五)項イ・(六)項・(九)項イなどが該当します。報告頻度が高いのは、火災発生時の危険性が高いからです。
非特定防火対象物は、特定の人が利用する施設です。報告頻度は3年に1回ですが、点検自体は機器点検6か月ごと・総合点検年1回の頻度で実施する義務があります。点検頻度と報告頻度は別の概念です。
提出先は所轄の消防長または消防署長
点検結果報告書の提出先は、その防火対象物を管轄する消防長または消防署長です(消防法第17条の3の3)。都市部では消防署長、市町村によっては消防長になります。
提出先の「消防庁長官」との混同に注意してください。消防庁長官は国の機関であり、個別の建物の点検報告を受ける窓口ではありません。報告先は所轄の消防長または消防署長です。試験でも出題されやすい区別です。
報告書の様式は消防法施行規則の別記様式
点検結果報告書の様式は、消防法施行規則の別記様式として定められており、消防庁ウェブサイトからも入手できます。実務では各都道府県の消防試験研究センターや所轄消防署が様式を提供しています。
報告書には機器点検票・総合点検票を添付します。点検票の様式も施行規則で定められており、設備ごとに使用する様式が異なります。消火器の場合は消火器点検票を使用します。
報告書の主な記載事項
- 防火対象物の名称・所在地・用途
- 点検の種別(機器点検・総合点検)と実施日
- 点検した消防用設備等の種類
- 点検結果(良・不良・措置済みの区分)
- 点検を実施した者の氏名・資格の種別・免状番号
- 関係者(報告義務者)の署名・押印
「点検を実施した者」の欄には、消防設備士の免状番号または点検資格者の登録番号を記載します。
消防設備士の署名と点検資格者の署名の違い
消防設備の点検を実施できるのは、消防設備士または消防設備点検資格者です。しかし、両者の役割には違いがあります。
| 区分 | 点検 | 整備 | 報告書への記名 |
|---|---|---|---|
| 消防設備士(乙6) | 可 | 可(業務独占) | 実施した業務の種別で記名 |
| 消防設備点検資格者(第2種) | 可 | 不可 | 点検の実施者として記名 |
消防設備の整備(薬剤の詰め替え・部品の交換など)を伴う作業は消防設備士の業務独占(消防法第17条の5)です。整備を実施した場合は、消防設備士として記名します。点検のみを実施した場合は、点検資格者でも記名できます。
実務では、点検と整備を同時に実施することが多く、その場合は乙6の免状番号を記載します。
試験での出題パターン
点検結果報告書に関連する試験の出題パターンは主に4つです。
- 報告頻度の区別:特定防火対象物は年1回・非特定は3年に1回(施行規則第31条の6)。「点検頻度(6か月・1年)」と混同させる問題が出やすい
- 提出先:「消防長または消防署長」であって「消防庁長官」ではない
- 報告義務の主体:「関係者(所有者・管理者・占有者)」であって「消防設備士」ではない
- 整備の業務独占:整備は消防設備士のみ実施でき(消防法第17条の5)、点検資格者は点検のみ
まとめ
点検結果報告書は消防法第17条の3の3に基づく書類で、関係者が所轄消防長または消防署長に提出します。報告頻度は特定1年・非特定3年(施行規則第31条の6)です。報告書には消防設備士または点検資格者の記名が必要で、整備を伴う場合は消防設備士(乙6)の記名が必要です。試験では報告頻度・提出先・報告義務の主体の3点が頻出です。


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