消防設備士の免状が使えなくなる条件
消防設備士の免状には有効期限がありません。ただし、一定の条件を満たした場合に消防長または消防署長から返納命令が出され、免状を返納しなければならなくなります。返納した時点で、その免状による業務はできなくなります。
免状が使えなくなる主な原因は次の3つです。
- 消防法に違反する行為をした場合
- 試験での不正行為が発覚した場合
- 定期講習を受講しなかった場合
返納命令の根拠条文と処分権者
返納命令の根拠は消防法第17条の13です。命令を出す権限を持つのは消防長または消防署長であり、消防庁長官ではありません。この点は試験でも問われます。
命令に従わずに免状を返納しない場合、消防法第45条(1年以下の懲役または100万円以下の罰金)の対象になります。
返納命令の原因①:消防法違反
消防設備士として業務を行う際に消防法の規定に違反した場合、消防長または消防署長は返納命令を出すことができます(消防法第17条の13第1項第1号)。
具体的には次のような行為が対象になります。
- 免状を携帯せずに消防設備の整備・点検を行った(消防法第17条の9)
- 消防設備の整備・点検について虚偽の記録や報告をした(消防法第17条の9第2項)
- 消防長または消防署長の要求に応じなかった
返納命令の原因②:試験の不正行為
試験に不正の手段で合格した場合、消防法第17条の8第2項に基づき合格の取り消しができます。この場合、交付された免状も返納命令の対象になります。
不正が発覚した場合の流れは次のとおりです。
- 試験の合格を取り消す(消防法第17条の8第2項)
- 交付された免状に対して返納命令が出される(消防法第17条の13)
- 命令に従い免状を返納する
返納命令の原因③:定期講習の未受講
消防設備士は、免状交付後最初の4月1日から2年以内に、以後は5年以内ごとに定期講習を受講する義務があります(消防法第17条の10・消防法施行規則第33条の17)。この講習を受けなかった場合も返納命令の対象になります。
| 受講期限 | 内容 |
|---|---|
| 最初の受講 | 免状交付後最初の4月1日から2年以内 |
| 2回目以降 | 前回の受講から5年以内ごと |
定期講習を受けないと直ちに免状が失効するわけではありませんが、消防長または消防署長が返納命令を出すことができる状態になります。
返納後の再取得:再試験が必要
返納命令により免状を返納した後、消防設備士として再び業務を行うには試験を受け直す必要があります。返納した免状が戻ってくることはなく、以前の合格実績による特例や免除もありません。
再取得の流れは通常の受験と同じです。
- 消防試験研究センターに受験申請をする
- 試験に合格する
- 各都道府県の消防試験研究センター支部に免状の交付申請をする(申請料2,900円・消防法施行規則第33条の9の2)
- 新しい免状が交付される
ただし、以前に取得した他の類の免状が有効であれば、その免状の科目免除(消防法施行規則第33条の12)は引き続き受けられます。
「失効」と「返納命令」は別物
消防設備士の免状には有効期限がないため、期間の経過だけで自動的に失効することはありません。免状が使えなくなるのは、あくまで返納命令が出て返納した場合に限られます。
定期講習を受けていなくても、返納命令が出るまでは免状自体は手元に残ります。ただし、消防法違反の状態が続いているため、業務中に発覚した場合は命令の対象となります。
試験での出題パターン
| 出題テーマ | 正解のポイント |
|---|---|
| 返納命令の根拠条文 | 消防法第17条の13 |
| 処分権者 | 消防長または消防署長(消防庁長官ではない) |
| 返納命令に従わない場合の罰則 | 消防法第45条(1年以下の懲役または100万円以下の罰金) |
| 不正合格取り消しの根拠 | 消防法第17条の8第2項 |
| 返納後の再取得方法 | 再試験が必要(自動回復・特例なし) |
| 定期講習の根拠 | 消防法第17条の10・施行規則第33条の17 |
まとめ
消防設備士の免状は有効期限がなく、返納命令が出て返納した場合にのみ使えなくなります。返納命令を出す権限を持つのは消防長または消防署長(消防庁長官ではありません)で、根拠条文は消防法第17条の13です。返納後の再取得には試験の受け直しが必要で、特例や免除の制度はありません。定期講習の受講義務は消防法第17条の10に定められており、未受講も返納命令の対象になります。


コメント