訪問介護の加算を複数組み合わせると、月収入は大きく変わります。特定事業所加算I(+20%)と処遇改善加算Iイ(+27%)を両方取得した場合、月収入316万円の事業所では加算分だけで165万円以上増える計算です。加算の組み合わせによる収入試算と、取得に必要な体制を整理します。
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特定事業所加算の種類と加算率
特定事業所加算は、手厚い人員体制・研修体制を整えた事業所に対して基本報酬に上乗せされる加算です(令和6年厚生労働省告示第86号)。
| 加算区分 | 加算率 |
|---|---|
| 特定事業所加算 I | +20% |
| 特定事業所加算 II | +10% |
| 特定事業所加算 III | +10% |
算定要件の詳細は都道府県の指定担当課および厚生労働省の告示・通知でご確認ください。
特定事業所加算Iを取得すると1回あたりいくら増えるか
身体介護30〜60分(387単位)を例に、特定事業所加算I(+20%)の効果を試算します。その他地域(10.00円/単位)の場合です。
- 加算なし: 387単位 → 3,870円
- 特定事業所加算I(+20%): 387×1.20=464.4 → 464単位 → 4,640円
- 差額: +770円/回
1級地(11.40円)の場合、加算後は floor(464×11.40)=5,289円(加算なしは floor(387×11.40)=4,411円、差額+878円)です。
月収入316万円の事業所が特定事業所加算Iを取得した場合
全国平均の月収入316万円(令和7年度介護事業経営概況調査・令和6年度決算)に特定事業所加算I(20%)を適用すると、次のようになります。
- 基本収入: 316万円
- 特定事業所加算Iの追加収入: 316万×0.20=63.2万円/月
- 加算後収入: 379.2万円/月
処遇改善加算を合わせると収入はどうなるか
処遇改善加算は介護職員の賃金改善を目的とした加算で、基本報酬と特定事業所加算を合算した金額に対して一定率を乗じます(令和8年老発0313第6号)。加算率は取得区分によって異なります。
| 区分 | 加算率 |
|---|---|
| 処遇改善加算 Iイ | 27.0% |
| 処遇改善加算 Iロ | 28.7% |
| 処遇改善加算 IIイ | 24.9% |
| 処遇改善加算 IIロ | 26.6% |
| 処遇改善加算 III | 20.7% |
| 処遇改善加算 IV | 17.0% |
特定事業所加算I取得後の収入(379.2万円)に処遇改善加算Iイ(27.0%)を適用した場合の試算です。
- 処遇改善加算Iイ: 379.2万×0.270=102.4万円/月
- 合計収入: 379.2+102.4=481.6万円/月
- 加算なし316万円との差: +165.6万円/月
処遇改善加算は事業所の利益にはならない点に注意
処遇改善加算は、介護職員の賃金改善に充てることが義務付けられています。収入として入ってきますが、職員への給与として支出するため、事業所の利益(収支差)には直接影響しません。
ただし、処遇改善加算を取得・活用することで職員の賃金水準が上がり、採用競争力や定着率の改善につながります。人材不足が深刻な訪問介護では、採用力の向上が事業所の継続的な収益確保に欠かせません。
利用者の自己負担にも影響する点を把握する
訪問介護の報酬は介護保険から支払われますが、利用者も原則1割(所得に応じて2〜3割)を負担します。加算を取得すると1回あたりの利用者負担も増えます。特定事業所加算Iの取得で1回あたり+770円(その他地域・身体介護30〜60分の場合)増えると、利用者負担は1割で+77円となります。
加算取得の説明を利用者・家族に丁寧に行うことが、信頼関係の維持につながります。
加算取得の優先順位
処遇改善加算は収入増加額が大きく、職員の賃金改善にも直結するため、取得できる区分のうち最上位を目指すことが多いです。特定事業所加算は要件を満たせれば純粋に収入増につながります。
開業初期は人員体制が整っていないと特定事業所加算の要件を満たせない場合があります。まず処遇改善加算を確保し、体制が整った段階で特定事業所加算を目指すという順序が現実的です。
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参照した資料
令和6年厚生労働省告示第86号(指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準)。令和8年老発0313第6号(介護職員処遇改善加算等の算定要件)。令和7年度介護事業経営概況調査(令和6年度決算・訪問介護)。数値は令和8年10月時点。具体的な算定要件は告示・通知および都道府県指定担当課でご確認ください。


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