訪問介護の地域区分と単価。1級地11.40円からその他10.00円まで、8区分の違いと収入への影響。

訪問介護の1単位あたり単価は、地域区分によって10.00円(その他)から11.40円(1級地)まで8段階あります。同じ身体介護30〜60分(387単位)でも、1級地なら4,411円、その他地域なら3,870円と541円の差が生まれます。月200回訪問すれば年間で約130万円の収入差です。開業地域を選ぶ際に押さえておきたい数字です(出典:平成27年厚生労働省告示第93号)。

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訪問介護の地域区分は人件費割合70%で設定される

介護報酬の単価は全国一律ではなく、「地域区分」によって変わります。地域区分は事業所が所在する市区町村によって1〜7級地とその他の8段階に分類され、各区分ごとに1単位あたりの単価が決まっています。

訪問介護の人件費割合は70%です。この割合が高いほど単価も高くなる仕組みです。人件費割合70%は、同じ在宅系の訪問看護(70%)と並んで福祉・介護の中で最上位水準です。通所介護(55%)よりも高く設定されています。

8区分の単価一覧(訪問介護・令和6年度)

訪問介護の1単位あたり単価です(出典:平成27年厚生労働省告示第93号)。

地域区分 1単位の単価 主な対象地域(例)
1級地 11.40円 東京都特別区(23区)
2級地 11.12円 横浜市・大阪市など
3級地 11.05円 名古屋市・京都市など
4級地 10.84円 川崎市・さいたま市など
5級地 10.70円 千葉市・神戸市など
6級地 10.42円 仙台市・広島市など
7級地 10.21円 札幌市・福岡市など
その他 10.00円 上記以外の市区町村

※市区町村ごとの詳細な区分は、厚生労働省の地域区分表でご確認ください。告示改定ごとに変更されることがあります。

身体介護30〜60分(387単位)の地域別単価

最も利用頻度が高い「身体介護30〜60分(387単位)」が各地域でいくらになるか試算します。単価計算は1円未満を切り捨てます。

地域区分 1単位の単価 387単位の金額 その他地域との差
1級地 11.40円 4,411円 +541円
2級地 11.12円 4,303円 +433円
3級地 11.05円 4,276円 +406円
4級地 10.84円 4,195円 +325円
5級地 10.70円 4,140円 +270円
6級地 10.42円 4,032円 +162円
7級地 10.21円 3,951円 +81円
その他 10.00円 3,870円 基準

出典:令和6年厚生労働省告示第86号(基本報酬)・平成27年厚生労働省告示第93号(地域区分)

1級地とその他地域では年間130万円の収入差が出る

1回の訪問(身体介護30〜60分)で1級地とその他地域の差は541円です。この差が積み重なると、事業所全体の収入に大きく影響します。

  • 1回あたり差額: 4,411円 − 3,870円 = 541円
  • 月200回訪問した場合の月額差: 541円 × 200回 = 108,200円
  • 年間差: 108,200円 × 12か月 = 1,298,400円(約130万円)

同じ訪問回数・同じサービス内容でも、開業する地域が違うだけで年間130万円近い収入差が生まれます。地方都市や郊外で開業する場合は、この差を念頭に置いて損益計画を立てる必要があります。

生活援助45分以上(220単位)の地域別単価

生活援助の単価も同様に地域区分で変わります。45分以上(220単位)の場合です。

地域区分 220単位の金額 その他地域との差
1級地(11.40円) 2,508円 +308円
4級地(10.84円) 2,384円 +184円
7級地(10.21円) 2,246円 +46円
その他(10.00円) 2,200円 基準

地域区分と利用者の自己負担額の関係

地域区分が高いほど介護報酬の単価も高く、利用者の自己負担額も増えます。自己負担は原則として介護報酬の1割(所得によっては2割・3割)です。

身体介護30〜60分を例にすると、1割負担の場合の利用者負担は次のようになります。

  • 1級地: 4,411円の10% = 441円
  • その他: 3,870円の10% = 387円

1回あたり54円の差ですが、週3回・月12回利用の場合は月648円の差になります。事業所の収入の差よりも利用者への影響は小さいですが、説明を求められることがあります。

地域区分を確認する方法

開業を検討している市区町村の地域区分は、厚生労働省の「地域区分について」の資料(各年度の告示・通知で更新)で確認できます。また、各都道府県の国民健康保険団体連合会(国保連)のウェブサイトでも案内されていることがあります。

地域区分は報酬改定のたびに変更される可能性があるため、開業前および改定時には必ず最新の告示を確認してください。

地域区分が高くなければ開業できないわけではない

地域区分が低いエリアでも、訪問介護事業所は全国各地で安定して運営されています。重要なのは単価だけでなく、利用者数の確保・スタッフの採用・ケアマネとの関係構築です。

全国平均では月収入約316万円・収支差率9.6%(令和7年度介護事業経営概況調査・令和6年度決算)です。その他地域でも、適切な利用者数を確保すれば黒字運営が可能な収益構造です。

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参照した資料
平成27年厚生労働省告示第93号(介護保険の地域区分)。令和6年厚生労働省告示第86号(指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準)。令和7年度介護事業経営概況調査(令和6年度決算・訪問介護・全国平均)。数値は令和8年10月時点。試算はその他地域(10.00円)基準。単価計算は1円未満切り捨て。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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