消火器の指示圧力計は、蓄圧式消火器にだけ取り付けが義務付けられている部品です。外観点検では「指針が緑色範囲にあるか」を確認する判定基準として直結しており、規格科目の試験問題でも「どちらの方式に付いているか」「緑色範囲を外れたときどう判定するか」がよく問われます。
この記事では、指示圧力計の根拠条文・加圧式と蓄圧式の違い・外観点検での確認手順・鑑別の出題パターンを整理します。加圧式と蓄圧式の部品比較全体は消火器の加圧式と蓄圧式の違いもあわせてご参照ください。
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指示圧力計の根拠条文(規格省令第26条)
指示圧力計の設置義務は、消火器の技術上の規格を定める省令(以下「規格省令」)第26条に定められています。同条は、蓄圧式消火器には「使用圧力の範囲を示す部分を緑色に着色した指示圧力計を設けること」を求めています。
| 条文 | 内容 |
|---|---|
| 規格省令第26条 | 蓄圧式消火器に指示圧力計の設置を義務付け。使用圧力の範囲に緑色を付すことを規定 |
出典:消火器の技術上の規格を定める省令第26条(2026年10月確認)
規格省令第26条が「蓄圧式消火器」を対象としているのは、蓄圧式が本体容器の内部に常時圧力を蓄えている構造だからです。指針が示す圧力を外部から読み取れるように計器を取り付け、使用圧力の範囲を緑色で示すことで、外観点検の際に異常の有無を視認できるようにしています。
「使用圧力の範囲に緑色を付した」という表現が規格省令第26条の核心です。緑色の範囲は製品ごとに異なりますが、指針がその緑色の帯の内側にあれば正常と判定します。
加圧式消火器に指示圧力計がない理由
加圧式消火器には指示圧力計がありません。加圧式は、使用する直前に加圧用ガス容器(内部または外部に取り付けた小型ボンベ)が開封されて本体容器に圧力が加わる仕組みです。平常時は本体容器内に圧力がかかっていないため、外部から圧力を読み取るための計器を設ける意味がありません。
| 方式 | 平常時の本体内部の状態 | 指示圧力計 |
|---|---|---|
| 加圧式 | 圧力なし(加圧用ガス容器が未開封) | なし |
| 蓄圧式 | 常時加圧(使用圧力範囲の窒素ガスが充填) | あり(規格省令第26条) |
出典:消火器の技術上の規格を定める省令第26条・第1条の2(2026年10月確認)
加圧式の場合、外観からは本体容器内部の状態(ガス漏れ・薬剤の固化など)を確認できません。そのため、内部及び機能の点検によって内部の状態を定期的に確認する必要があります。指示圧力計で外観から確認できる蓄圧式とは、点検の方法が根本的に異なります。
試験では「加圧式に指示圧力計はあるか」という形で出題されることがあります。「加圧式にはない・蓄圧式にだけある」という対応を条文とセットで記憶しておくと確実です。
外観点検での指示圧力計の確認手順
消防庁告示第9号(消防用設備等の点検要領)では、蓄圧式消火器の外観点検において、指示圧力計の指針が使用圧力範囲(緑色範囲)内にあるかを確認することが求められています。
| 確認項目 | 判定基準 | 異常時の対応 |
|---|---|---|
| 指針の位置 | 緑色範囲内にあること | 範囲外→機能点検へ移行・交換を検討 |
| 指示圧力計の損傷 | 破損・腐食・変形がないこと | 損傷あり→交換 |
| 指針の固着 | 指針が正常に動く状態であること | 固着の疑い→機能点検 |
出典:消防庁告示第9号「消防用設備等の点検要領」第1 消火器具(2026年10月確認)
外観点検は6か月ごとに実施します(消防法第17条の3の3・消防法施行規則第31条の6)。点検票には指示圧力計の欄が設けられており、指針の位置が緑色範囲にあるかどうかを「良・否」または記号で記入します。
「指針が緑色範囲の下限よりわずかに下にある」場合も「範囲外」として異常扱いになります。「少しくらいは問題ない」という判断はせず、緑色の帯の中に収まっているかどうかだけで判定します。
緑色範囲とは何か(規格省令第26条の読み方)
規格省令第26条が「使用圧力の範囲を示す部分を緑色に着色した」と定めているとおり、緑色の帯は製品ごとの使用圧力範囲に対応しています。消火器の使用圧力範囲は製品によって異なりますが、粉末蓄圧式では0.7MPa〜0.98MPa程度の製品が多く見られます。
| 指針の状態 | 考えられる原因 | 実務上の対応 |
|---|---|---|
| 緑色範囲の下限より低い | ガスの漏れ・長期保管による自然低下 | 内部及び機能の点検・ガス充填または交換 |
| 緑色範囲内 | 正常 | 問題なし(次回定期点検まで保管) |
| 緑色範囲の上限より高い | 過充填・高温環境(夏場の密閉倉庫など) | 温度への対応・必要に応じて確認 |
出典:消火器の技術上の規格を定める省令第26条・消防庁告示第9号(2026年10月確認)
圧力の単位はMPa(メガパスカル)で表示されます。1MPa=約10kgf/cm²です。試験では単位そのものを問う設問は少ないですが、「指示圧力計に表示されている単位はどれか」という形で出ることがあります。
上限を超えた場合は過充填のほか、夏場に高温になる場所(南向きの窓際・密閉倉庫・車のトランクなど)で保管したことによる内部圧力の上昇が原因になることがあります。消火器の使用温度範囲は規格省令第9条で製品ごとに定められており、保管環境が使用温度の上限を大幅に超えると圧力が高まります。
鑑別での出題パターン
指示圧力計は、乙6の実技(鑑別)でも出題されます。写真や図を示して「この部品の名称を答えよ」「この消火器は加圧式か蓄圧式か。その理由を答えよ」という形が典型的です。
| 出題パターン | 正解の方向 |
|---|---|
| 「指示圧力計がある消火器の方式を答えよ」 | 蓄圧式(加圧式にはない) |
| 「指針が緑色範囲の下にある。点検上の判定を答えよ」 | 不良(使用圧力範囲外) |
| 「蓄圧式消火器に指示圧力計を設ける根拠省令を答えよ」 | 消火器の技術上の規格を定める省令(規格省令)第26条 |
| 「加圧式消火器に指示圧力計がない理由を説明せよ」 | 平常時に本体容器内部に圧力がかかっていないため |
出典:消火器の技術上の規格を定める省令第26条・消防庁告示第9号(2026年10月確認)
写真問題では、指示圧力計の外観(丸い計器・緑色の帯・指針)と加圧用ガス容器(細い金属製ボンベ)の有無から、蓄圧式と加圧式を見分ける問題もあります。指示圧力計が見えれば蓄圧式、加圧用ガス容器が見えれば加圧式と判断できます。
「緑色範囲の下限を下回っている=不良」は外観点検の判定基準として直結しているため、「どちらが正常か」だけでなく「緑色範囲の外れ方によって何が想定されるか」まで理解しておくと記述問題で書きやすくなります。
指示圧力計と機能点検の関係
外観点検で指示圧力計の指針が緑色範囲の外にあると判定された場合、機能点検(内部及び機能の点検)に移行する必要があります。外観点検だけで「交換不要」と判断はできません。
| 外観点検の結果 | 次の対応 |
|---|---|
| 指針が緑色範囲内 | 異常なし・次の定期点検(6か月後)まで保管 |
| 指針が緑色範囲の下限より低い | 内部及び機能の点検を実施・ガス充填または廃棄を検討 |
| 指示圧力計が破損・固着 | 指示圧力計の交換・内部及び機能の点検 |
出典:消防庁告示第9号「消防用設備等の点検要領」第1 消火器具・消防法施行規則第31条の6(2026年10月確認)
蓄圧式消火器の内部及び機能の点検は、製造年からの経過年数によって実施の時期が定まります。製造後5年超〜8年以内の蓄圧式は抜取り方式で実施し、8年を超えた蓄圧式は全数実施します(以後3年ごと)。この周期は点検要領で定められており、外観点検の結果とは別に、製造年に基づく定期的な機能点検が義務付けられています。
外観点検での異常(指針が緑色範囲外)は、定期的な機能点検のサイクルを待たずに機能点検を実施する理由になります。外観点検と機能点検の役割分担を整理しておくと、点検の手順全体が理解しやすくなります。詳細は消防設備士 乙6でできる消火器点検の実務を参照してください。
まとめ
指示圧力計は蓄圧式消火器にだけ設置が義務付けられており(規格省令第26条)、加圧式には取り付けがありません。外観点検では指針が緑色範囲内にあるかを確認し、範囲外であれば機能点検への移行が必要です。鑑別では「どちらの方式に付いているか」「指針の位置が適切かどうか」「範囲外の理由」という形で出題されます。緑色範囲は製品ごとの使用圧力範囲に対応しており、下限割れはガス漏れ、上限超えは過充填・高温保管が疑われます。外観点検と機能点検の役割分担とあわせて、蓄圧式の点検体系の一部として理解してください。
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