消防設備士の定期講習。受講期限・費用・受けないとどうなるかを条文で整理する

消防設備士の定期講習。受講期限・費用・受けないとどうなるかを条文で整理する 資格




消防設備士の免状を取得したあと、一定の期限内に定期講習を受けることが消防法で義務付けられています。期限を過ぎると都道府県知事から免状の返納を命じられる対象になりうるため、取得後の手続きとして把握しておく必要があります。

この記事では、定期講習の根拠条文・受講期限の計算方法・費用の確認先・複数免状を持つ場合の扱いを整理します。免状取得後の流れ全体は消防設備士 乙6に合格したら(免状申請・講習・業務)もあわせてご参照ください。

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定期講習の根拠は消防法第17条の10

消防設備士の定期講習義務は、消防法第17条の10で定められています。同条は「消防設備士は、総務省令で定める期間ごとに、都道府県知事が行う講習を受けなければならない」と規定しています。

この「総務省令で定める期間」の詳細が、消防法施行規則第33条の17です。受講対象となるのは、消防設備士免状(乙種・甲種を問わず)を持つすべての人です。免状の種類や取得時期にかかわらず、所持しているかぎり講習の義務が継続します。

根拠条文 内容
消防法第17条の10 消防設備士に対する定期講習の義務を規定
消防法施行規則第33条の17 講習を受けるべき時期(期限の計算方法)を規定
消防法施行規則第33条の17の2 講習を実施できる機関とオンライン講習の根拠を規定
消防法第17条の13 講習を受けなかった場合の免状返納命令の根拠

出典:消防法第17条の10・第17条の13、消防法施行規則第33条の17・第33条の17の2(2026年10月確認)

受講の期限は「最初の4月1日」を起点に計算する

受講期限は、消防法施行規則第33条の17に基づき、次の方法で計算します。

区分 期限の計算方法
初回 免状の交付を受けた日以後における最初の4月1日から、2年以内
2回目以降 前回の講習を受けた日以後における最初の4月1日から、5年以内

出典:消防法施行規則第33条の17(2026年10月確認)

起算点が「免状交付日そのもの」ではなく「その後に訪れる最初の4月1日」である点が重要です。4月2日以降に免状を取得した場合は翌年の4月1日が起算点になり、1月〜4月1日の間に取得した場合は同じ年の4月1日が起算点になります。

計算例:取得月ごとの初回期限

免状取得の時期(例) 起算点(最初の4月1日) 初回の受講期限
2026年3月 2026年4月1日 2028年3月31日まで
2026年6月 2027年4月1日 2029年3月31日まで
2026年12月 2027年4月1日 2029年3月31日まで

4月1日よりも前の月(1〜3月)に取得した場合は当年の4月1日が起算点になるため、4月2日以降に取得した人より期限が約1年短くなります。取得月によって期限が大きく変わるため、自分の免状交付日と照らし合わせて確認してください。

2回目以降の期限は、前回の受講日の「その後の最初の4月1日」から5年以内です。受講のたびに次の期限を計算して手帳や免状の記録欄に書き留めておくと管理がしやすくなります。

講習を実施する機関と受け方

定期講習は、消防法第17条の10が定める「都道府県知事が行う講習」です。実際には、消防法施行規則第33条の17の2に基づき、都道府県知事が指定した機関(指定講習機関)が実施します。

実施形態 概要
指定講習機関による講習 都道府県知事が指定した機関が実施。地域ごとに実施機関が異なる場合がある
オンライン講習 施行規則第33条の17の2第3項第4号に根拠。一定の要件を満たす方式で実施

出典:消防法施行規則第33条の17の2(2026年10月確認)

費用は実施機関・地域・講習の種類によって異なります。受講前に、各都道府県の指定講習機関または消防試験研究センターの案内で金額と申し込み方法を確認してください。費用・申し込み期間は機関によって異なり、公式案内が最新情報です。

受講する講習の種類は、自分が保有する免状の類(第6類など)に対応します。乙6の免状を持っている場合は、第6類(消火器・消火薬剤)に関する講習を受けます。

講習を受けないとどうなるか

定期講習の期限を過ぎても受講しなかった場合、免状が自動的に失効するわけではありません。ただし、都道府県知事から免状の返納を命じられる対象になりえます(消防法第17条の13)。

状況 消防法上の扱い
講習の期限を過ぎた 免状はその時点で自動失効はしない
都道府県知事から返納命令が出た 免状を返納しなければならない(消防法第17条の13)
命令に従わなかった場合 消防法上の罰則対象となりうる

出典:消防法第17条の13(2026年10月確認)

「講習を受けないと免状が失効する」という理解は正確ではありません。失効ではなく「返納命令の対象になりうる」というのが条文上の扱いです。ただし、返納命令を受けて免状がなくなると、消防設備士の業務独占規定(消防法第17条の5)に基づく業務ができなくなるため、実務上は期限内に受講することが前提です。

複数の類の免状を持つ場合

乙6と他の類(乙4・甲1など)の免状を複数持つ場合、それぞれの類の業務に対応した講習をそれぞれ受ける必要があります。消防法第17条の10・施行規則第33条の17では免状の種類(類)ごとに講習が定められており、一つの講習で複数の類をまとめて済ませることはできません。

保有免状の例 必要な講習
乙6のみ 第6類(消火器)に対応した講習
乙6+乙4 第6類の講習と第4類の講習、それぞれ各類の期限内に受講
乙6+甲1 第6類の講習と第1類の講習、それぞれ各類の期限内に受講

出典:消防法第17条の10(2026年10月確認)

複数の免状を持っている場合、それぞれの交付時期が異なることが多く、類ごとに期限の計算が必要です。免状ごとの取得日と起算点をそれぞれ確認し、講習の受講期限を個別に把握しておくことが実務上の管理につながります。

他の類の資格取得を検討している場合の組み合わせ方は、消防設備士 乙6から次に取る資格の組み合わせで整理しています。

オンライン講習の根拠

消防法施行規則第33条の17の2第3項第4号は、講習を「情報通信技術を利用する方法」で実施できることを規定しており、これがオンライン講習の法的根拠です。

オンライン講習が利用できるかどうかは、受講する地域の指定講習機関の実施状況によって異なります。全都道府県で同じ方法が提供されているわけではないため、受講前に実施機関の案内で確認してください。

試験では「失効」と「返納命令」の違いが問われる

定期講習は免状取得後の義務ですが、試験本番でも法令(共通)の出題テーマになることがあります。

出題テーマ 根拠条文 押さえるポイント
定期講習の義務の根拠 消防法第17条の10 都道府県知事が行う講習を受けなければならない
初回の受講期限 施行規則第33条の17 免状交付後の最初の4月1日から2年以内
2回目以降の受講期限 施行規則第33条の17 前回受講後の最初の4月1日から5年以内
受けなかった場合 消防法第17条の13 返納命令の対象(自動失効ではない)

出典:消防法第17条の10・第17条の13、消防法施行規則第33条の17(2026年10月確認)

「講習を受けないと免状が失効する」という選択肢は誤りです。「返納命令を受けることがある」が正しく、この区別が出題のポイントになります。

法令(共通)の出題テーマ全体は乙6の法令(共通)6問の対策で整理しています。

まとめ

消防設備士の定期講習は、消防法第17条の10を根拠として、免状を持つすべての人に義務付けられています。初回の期限は「免状交付後の最初の4月1日から2年以内」、2回目以降は「前回受講後の最初の4月1日から5年以内」です。起算点が「最初の4月1日」である点と、期限を過ぎても免状は自動失効しないが返納命令の対象になりうる点(消防法第17条の13)を正確に押さえてください。費用・申し込み方法は各地域の指定講習機関の案内で確認してください。

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この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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