消防設備士 乙6から次に取る資格。他の類との組み合わせとキャリアの広げ方。

消防設備士 乙6から次に取る資格。他の類との組み合わせとキャリアの広げ方。 資格

すぐに問題を解いてみたい方は、こちらのアプリをご利用ください。→ 消防設備士 乙種第6類 問題集

消防設備士 乙6から次に取る資格。他の類との組み合わせとキャリアの広げ方。

消防設備士 乙種第6類(以下、乙6)を取得したあと、次にどの資格を目指すかで迷う方は多くいます。消防設備士には甲種・乙種あわせて7つの類がありますが、どれを選ぶかはその後のキャリアの方向性によって変わります。

この記事では、乙6を取得したあとに選ばれやすい資格の組み合わせと、取得の順番の考え方を整理します。また、乙6を持つことで他の類を受験する際に「科目免除」の恩恵が受けられる仕組みについても、消防法施行規則の条文をもとに確認します。

乙6の特性:消火器専門・甲種なし

消防設備士の類は、扱う設備の種類で分かれています。第6類は「消火器及び簡易消火用具」に対応する類で、消防法施行令第7条第1項第一号に規定された設備です。

第6類には甲種消防設備士が存在しません。他の類(1〜5類、7類)には甲種と乙種の両方がありますが、第6類と第7類は乙種のみです。甲種消防設備士は工事(設備の設置・取り替え工事)も行えるのに対し、乙種は整備と点検に限られます。消火器は設置・撤去に特別な工事が必要ないため、第6類には甲種が設けられていません。

乙6の業務範囲は次のとおりです(消防法施行令第36条の2)。

業務 乙6でできるか
消火器の点検(外観・機能) できる
消火器の整備(分解・薬剤充填・部品交換など) できる
消火器の工事 第6類に甲種は存在しない(工事の業務独占規定なし)

乙6は「消火器だけ」を扱う資格ですが、消火器はほぼすべての建物に設置義務があります(消防法施行令第10条)。そのため現場で使う機会が多く、他の類との組み合わせ前の「最初の1本」として選ばれやすい資格です。

科目免除のしくみ:乙6を持つと何が変わるか

消防設備士の試験には、すでに持っている資格に応じて一部の科目が免除される制度があります。根拠条文は消防法施行規則第33条の12です。

乙種消防設備士の免状を持つ人が別の乙種消防設備士試験を受験する場合、「消防関係法令のうち共通部分に関する部分」が免除されます。これは筆記試験のうち「法令(共通)」6問にあたります。

免除される科目 通常の問題数 免除後
法令(共通) 6問 免除(0問)
法令(類別) 4問 変わらず出題
基礎的知識・構造機能・鑑別 各科目とも出題 変わらず出題

法令(共通)は防火管理者・設置維持義務・立入検査・点検報告など消防法全体に共通するルールを扱います。乙6を取得した段階でこの範囲をすでに学習しているため、2つ目以降の乙種では同じ範囲の試験を省略できる仕組みです。

試験時間も短縮されます。通常の乙種試験は筆記1時間45分・実技35分ですが、法令(共通)が免除されると筆記が1時間25分に短縮されます(消防試験研究センター公式サイトより)。

科目免除を使うかどうかは受験者が選択できます。免除を受けると試験時間は短くなりますが、免除した科目の得点は計算に入らないため、得意な科目が免除になると総合得点が取りにくくなる場合があります。試験範囲が狭まる分、免除を利用する方が準備の負担は軽くなります。

乙5(泡・ハロゲン化物・二酸化炭素・粉末消火設備)と甲1を両方持つ場合など、複数の類が重なるケースでも科目免除の原則は変わりません。いずれかの乙種を持っていれば「法令(共通)」は免除対象になります。ただし「法令(類別)」は各類ごとに異なるため、類を増やすたびに対象類の法令(類別)は学習が必要です。

乙6の次に選ばれやすい資格と、その理由

乙6取得後に選ばれやすい消防設備士の資格を整理します。

乙種第4類・甲種第4類(自動火災報知設備)

消防設備士の中で最も受験者数が多いのが第4類です。自動火災報知設備(感知器・受信機・発信機など)を扱います。消防試験研究センターの公表値によると、第4類の年間受験者数は乙6の3〜4倍規模です。

4類が選ばれる理由は、ビル・マンション・商業施設・病院など大半の建物に自動火災報知設備が設置されているためです。ビルメンテナンス(ビル管理)の仕事では、消火器の点検(乙6)と火災報知設備の点検(乙4または甲4)が組み合わさって求められることが多く、乙6→乙4または乙6→甲4というルートを取る人が多くいます。

甲4は工事もできるため、消防設備の設置工事まで担当したい場合は甲4を取得します。甲種は乙種より試験範囲が広く(製図問題が追加)、難易度も高くなりますが、取得後の業務範囲が広がります。

乙種第7類(漏電火災警報器)

第7類は漏電火災警報器を扱う類です。対象設備が限られており、試験範囲が他の類より絞られています。受験者数は多くありませんが、乙6と同様に「甲種のない類」のため乙種のみの取得になります。

乙7の実技試験は鑑別のみで、図面を書く製図問題がありません。法令(共通)が乙6で取得済みなら免除を使えるため、2つ目の消防設備士として取得しやすい類のひとつです。

乙7の試験の詳細は、消防設備士 乙種第7類(漏電火災警報器)の試験ガイドでまとめています。

乙種第1類・甲種第1類(屋内消火栓設備・スプリンクラー設備)

第1類は屋内消火栓設備とスプリンクラー設備を扱います。スプリンクラーは中規模以上の建物に設置義務があるため、消防設備保守業者では第1類の有資格者の需要が高い傾向があります。

第1類の試験では水圧や流量の計算問題が出題されます。基礎的知識(機械)が出題される点は乙6と共通しており、乙6で学習した力学・圧力の知識が活用できます。

乙種第2類(泡消火設備)

第2類は泡消火設備を扱います。泡消火設備は駐車場・飛行機格納庫・化学工場など特定の施設に設置されるため、受験者は主に消防設備保守業者に勤務する方が中心です。乙6の消火薬剤に関する知識(化学泡・機械泡など)は、第2類の学習と関連する部分があります。

キャリアの方向性と組み合わせの選び方

どの資格を組み合わせるかは、目指すキャリアの方向性によって変わります。

ビルメンテナンス(設備管理)方向

ビル管理の仕事では、電気・空調・給排水・消防設備など複数の設備を横断して担当します。消防設備の観点では、乙6と乙4(または甲4)の組み合わせが基本になります。

ビル管理でよく求められる資格の組み合わせとして、「第二種電気工事士・乙4・乙6・危険物取扱者乙4(危険物の運搬・貯蔵管理)・ボイラー技士」を並べる例が多く見られます。このうち消防設備士は乙6と乙4の2つが含まれることが一般的です。

消防設備保守・点検専門の方向

消防設備の点検・整備を専門に行う会社では、取り扱う設備の類が多いほど担当できる物件の幅が広がります。乙6→乙4→乙1または甲1→乙2→乙3と段階的に類を増やしていく取り方が見られます。

消防設備保守業では、建物の定期点検(消防法第17条の3の3に基づく6か月ごとの点検と年1〜3年ごとの報告)を受注します。点検できる設備の種類が多いと1棟あたりの対応範囲が広くなるため、複数の類を持つことが直接的に業務の幅に結びつきます。

甲種を取得したい場合の条件

甲種消防設備士の受験資格は消防法施行規則第33条の8に規定されています。主な受験資格のうち実務経験で取得する場合の条件は、「乙種消防設備士の免状の交付を受けた後2年以上の実務経験(消防用設備等の工事または整備の実務)」です。

乙6を持っていても、甲種の受験資格として認められるのは上記のような実務経験ルートです。乙6を取得して消防設備の整備業務に2年以上携わった後、甲4などの甲種に挑戦するというルートを取る方がいます。

甲種の受験資格(主なもの) 根拠
乙種消防設備士として2年以上の実務経験 消防法施行規則第33条の8第1項第一号
大学・短期大学・高専等で機械・電気・工業化学などを修めた者 同第二号
電気工事士(第一種・第二種)の免状取得者(1・4・7類のみ) 同第三号

取得の順番の考え方

複数の消防設備士資格を取得する場合の順番については、一般的なルールはありませんが、次のような考え方があります。

乙6を最初にする利点:試験範囲が比較的狭く、実技(鑑別のみ・製図なし)の準備が他の類より少ない点が挙げられます。合格後は他の乙種を受験する際に法令(共通)の免除が使えるようになるため、起点として使いやすい類です。

受験者数の多い4類を先にする考え方:乙4または甲4は求人や実務で求められる場面が多く、乙6より先に取得する方もいます。この場合も、乙4取得後に乙6を受験するときに法令(共通)の免除が使えます(乙種同士で相互に免除が成立します)。

受験会場・日程の確認:消防設備士試験はCBT方式(コンピュータ試験)で、会場と日時を自分で選んで申し込みます。複数の類を短期間に取得したい場合は、申し込み期間と試験日の間隔を確認しながら計画します(同じ類を重複して申し込むことはできません)。

まとめ

乙6と組み合わせやすい資格の一覧です。

資格 対象設備 乙6との組み合わせで目指しやすいキャリア
乙4・甲4 自動火災報知設備 ビルメン・消防設備保守の基本セット
乙7 漏電火災警報器 2本目として取り組みやすい・乙6との試験範囲の重なりあり
乙1・甲1 屋内消火栓・スプリンクラー 消防設備保守・中〜大規模建物の担当
乙2 泡消火設備 特定施設(駐車場・工場)を扱う専門職向け

乙6は「受験資格なし・実技が鑑別のみ・科目免除の起点になる」という特性から、消防設備士資格の出発点として使いやすい類です。取得後に乙4や甲4を加えることで、ビル管理や消防設備保守の現場で担当できる設備の幅が広がります。

すぐに問題を解いてみたい方は、こちらのアプリをご利用ください。→ 消防設備士 乙種第6類 問題集

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

ご質問はメールで。電話・面談はしていません。

fufumumu_designをフォローする
資格
fufumumu_designをフォローする

コメント

タイトルとURLをコピーしました