訪問看護の地域区分と単価の差。東京と地方では、1回の訪問収入はどれくらい違うか。

訪問看護の介護保険の報酬は、事業所の所在地の「地域区分」によって1単位あたりの単価が変わります。最も高い1級地(東京23区)は1単位11.40円、最も低い「その他の地域」は10.00円です。同じ時間・同じ内容の訪問でも、地域によって1回あたり100〜1,000円以上の収入の差が生まれます。この記事では全8区分の単価と、月次収入への影響を整理します。

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地域区分とは何か

地域区分とは、介護報酬の算定において、地域ごとの人件費水準の差を反映するために設けられた仕組みです。地価・賃金水準が高い都市部ほど上位の区分(数字が小さい)に分類され、1単位あたりの単価が高くなります。

どの地域区分に該当するかは、事業所の所在地(市区町村)によって決まります。同じ都道府県の中でも、政令市や中核市とそれ以外の市町村では区分が異なる場合があります。事業所の所在地がどの区分に当たるかは、厚生労働省の地域区分一覧表で確認できます。

訪問看護の人件費割合は70%

介護サービスの各サービスは、人件費割合ごとにグループ分けされており、人件費割合が高いほど地域区分の影響を受けやすくなります。訪問看護は人件費割合70%のグループに分類されています。

地域上乗せの計算式は「10円 + 10円 × 地域上乗せ率 × 人件費割合(70%)」です。1級地(地域上乗せ率20%)の場合は「10 + 10 × 20% × 70% = 11.40円」となります。

人件費割合70%という分類は、訪問看護が看護職員の人件費で収支の大部分が決まるサービスであることを反映しています(令和7年度介護事業経営概況調査では給与費率70.1%)。なお、介護保険の訪問看護の地域区分については、町田市が発行した公的資料(厚生労働省の図解を転載)で「訪問看護は人件費割合70%グループ」であることが確認できました。

全8区分の単価一覧

以下の表は、訪問看護ステーション(介護保険)の1単位あたりの単価です。地域の例は代表的な市区町村を挙げています。実際の地域区分はご自身の事業所所在地の区分で確認してください。

地域区分 1単位の単価 地域の例
1級地 11.40円 東京23区
2級地 11.12円 横浜市・川崎市・大阪市など
3級地 11.05円 名古屋市・さいたま市・千葉市など
4級地 10.84円 神戸市・船橋市・相模原市など
5級地 10.70円 福岡市・広島市・京都市・堺市など
6級地 10.42円 仙台市・静岡市・宇都宮市・柏市など
7級地 10.21円 札幌市・新潟市・岡山市・浜松市など
その他の地域 10.00円 上記以外の市区町村

6・7級地の単価については、人件費割合70%の式から算出した値です。告示の原文による直接確認には至っていないため、正式な区分・単価は厚生労働省の地域区分の一覧表でご確認ください。

1回の訪問収入はどれだけ変わるか

30〜60分の訪問(823単位)を例に、地域ごとの1回あたりの収入(介護保険の全額)を比較します。

地域区分 1単位の単価 1回の収入(823単位) その他との差
1級地 11.40円 9,382円 +1,152円
2級地 11.12円 9,152円 +922円
3級地 11.05円 9,094円 +864円
5級地 10.70円 8,806円 +576円
7級地 10.21円 8,403円 +173円
その他の地域 10.00円 8,230円 —

1回あたりで見ると、1級地とその他では1,152円の差です。1回の差として見るとわずかに見えますが、月間の訪問回数が積み重なると大きな金額になります。

月次収入への影響の目安

全国平均の延べ訪問回数(421.5回/月・令和7年度介護事業経営概況調査・令和6年度決算・介護保険のみ)を使って、地域ごとの月次収入の目安を試算します。ここでは全訪問を30〜60分(823単位)と仮定しています。

地域区分 月次収入の目安(421.5回) その他との差
1級地(東京23区) 約395万円 +約49万円
2級地(横浜・大阪など) 約386万円 +約39万円
5級地(福岡・広島など) 約371万円 +約24万円
その他の地域 約347万円 —

ただし、全国平均(収入3,476千円/月)は全地域の混在であり、1つの地域区分の数値ではありません。またこの試算は介護保険のみです。実際には医療保険の収入も加わります。あくまで「地域による差の目安」として参照してください。

人件費も地域によって変わる

単価が高い都市部ほど収入が多い半面、同じく人件費(看護師の給与水準)も都市部のほうが高い傾向があります。地域区分は収入だけを上乗せするものであり、コストも連動して変わることを念頭に置いておく必要があります。

訪問看護の給与費率の全国平均は70.1%(令和7年度介護事業経営概況調査)です。収支のバランスは地域によって変わりますが、この比率が目安になります。

医療保険の収入は地域区分の影響を受けない

医療保険の訪問看護療養費(管理療養費・基本療養費など)は全国一律の金額です。地域区分によって変わりません。そのため、介護保険と医療保険の比率が高い事業所ほど、地域区分の差が全体収入に与える影響は小さくなります。

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参照した資料
介護保険の地域区分・単価:人件費割合70%グループの算出式と各地域の単価は、収支シミュレーター(core.js)に実装されている値を使用。町田市発行の公的資料(厚生労働省図解の転載)で訪問看護の人件費割合70%のグループ分類を確認済み。6・7級地の単価は告示原文の直接確認未了。令和7年度介護事業経営概況調査(令和6年度決算・介護保険のみ・有効254事業所)。数値は令和8年10月時点。

この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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