キッチンカーで月に残せる利益(手取りに近い数字)は、月の売上から食材費・出店料・固定費・借入返済を引いた額です。たとえば月の売上が90万円・変動費率55%・固定費月5万円の場合、月の利益は約35.5万円になります。ただしここから借入返済・税金・生活費が出るため、「実際に手元に残るお金」はさらに少なくなります。
この記事では、キッチンカーの月の売上から利益を計算する手順と、売上目標の設定方法を解説します。
月の利益の計算手順
月の利益は次の計算で求められます。
- 月の利益(円)= 月の売上 − 変動費(食材費+出店料) − 固定費
変動費は「売上 × 変動費率」で計算できます。固定費は毎月かかる費用(車両維持費・保険・駐車場代・通信費・借入返済など)の合計です。
計算例
| 項目 | 金額 | 計算の根拠 |
|---|---|---|
| 月の売上 | 900,000円 | 客単価900円 × 1日50食 × 月20日 |
| 食材費(原価率35%) | 315,000円 | 900,000円 × 35% |
| 出店料(歩合制20%) | 180,000円 | 900,000円 × 20% |
| 変動費の合計(FG比率55%) | 495,000円 | 315,000円 + 180,000円 |
| 月の固定費 | 50,000円 | 車両維持費・保険・通信費など |
| 月の利益 | 355,000円 | 900,000円 − 495,000円 − 50,000円 |
この例では月35.5万円が利益として残ります。ここから借入がある場合は返済額(元本部分)が引かれ、さらに所得税・個人事業税・消費税などの税金が引かれます。
借入返済後の手取りの計算
開業時に借入をした場合、毎月の返済額(元本+利息)は手元から出ていきます。利息は経費として処理できますが、元本返済は経費になりません(利益から返済する)。
たとえば借入200万円・金利2%・返済期間5年(60か月)の場合、毎月の返済額は約35,047円です(元利均等返済の概算)。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 月の利益(固定費控除後) | 355,000円 |
| 借入返済(元本部分の概算) | ▲32,000円(利息除く概算) |
| 税引き前の手取り目安 | 約323,000円 |
税金の計算は所得金額・控除の状況によって異なるため、実際の手取りは税理士に確認することをお勧めします。
月の売上を上げるための変数
月の売上は「客単価 × 1日の食数 × 月の出店日数」の掛け算です。この3つのうちどれかを増やすと売上が増えます。
| 変数 | 増やす方法 | 難易度の目安 |
|---|---|---|
| 客単価 | 価格を上げる・セットメニューを作る・追加注文を促す | 価格を上げると客数が減るリスクあり |
| 1日の食数 | 口コミ・SNS・リピーター確保・オペレーション改善 | 立ち上がりに時間がかかる |
| 月の出店日数 | 出店先を増やす・雨天に出店できる場所を確保する | 体力・移動コストとのバランスが必要 |
客単価を上げる場合は「値上げが客数に影響しないか」の確認が重要です。ランチの固定客が多い出店先では値上げへの反応が大きい傾向があります。出店日数を増やす場合は移動時間・燃料費・体力の負担も増えるため、追加の出店日が本当に利益を増やすかを計算してから決める必要があります。
目標月収から逆算する売上目標の立て方
「月に手取り〇〇万円残したい」という目標がある場合は、逆算で必要な売上を計算できます。
たとえば「税金・借入返済後に毎月20万円手元に残したい」場合を考えます。
- 必要な利益(固定費控除後) = 20万円(手取り目標)+ 借入返済の元本部分(月約3.2万円)+ 概算の税金(月の利益の10〜20%程度・個人の状況による)
- 仮に税金を月利益の15%とすると、目標の利益 ≒(20万円 + 3.2万円)÷ 0.85 = 約27.3万円
- 必要な月の売上 =(27.3万円 + 固定費5万円)÷(1 − 変動費率0.55)= 約71.8万円
月71.8万円の売上は、客単価900円・月20日出店なら1日約40食になります。
この計算はあくまで概算であり、税金・社会保険料・個人の控除によって実際の数字は変わります。目標手取りから逆算した売上目標を立てた後は、シミュレーターを使って月次の資金繰りまで確認することをお勧めします。
季節・天候による売上の変動をどう考えるか
キッチンカーは雨天・悪天候の日に売上がゼロになることがあります。また夏の暑さ・冬の寒さによって来客数が変動する業態もあります。
月の平均売上を計算するときは「天気の良い月」の数字だけで見積もると、雨が多い月に資金が不足するリスクがあります。月の出店日数の計画値に対して実績が8割になることを想定した「下振れシナリオ」も計算しておくことが重要です。
| 月の出店日数 | 月の売上 | 変動費 | 月の利益 |
|---|---|---|---|
| 20日(計画通り) | 900,000円 | 495,000円 | 355,000円 |
| 17日(85%) | 765,000円 | 420,750円 | 294,250円 |
| 15日(75%) | 675,000円 | 371,250円 | 253,750円 |
| 12日(60%) | 540,000円 | 297,000円 | 193,000円 |
出店日数が計画の60%に下がっても固定費は変わらないため、月の利益は大きく減ります。悪天候が多い梅雨・台風シーズンの月を想定した資金計画が必要です。
利益の計算を自分のケースで確認する
客単価・1日の食数・出店日数・食材費率・出店料・固定費を入力して、月次の利益と資金繰りを確認したい場合は、キッチンカー開業 収支シミュレーターが使えます。無料で使えます。
損益分岐点(何食売れば黒字になるか)については「キッチンカーの損益分岐点。1日何食、月何日で黒字になるか。」で解説しています。
収支の全体像は「キッチンカーの収支、開業前に知っておくべき数字の全体像。」でまとめています。
記事中の計算はすべて例示であり、実際の収益を保証するものではありません。税金・社会保険料・借入条件は個人の状況によって異なります。収支計画・税務については税理士または中小企業診断士に相談することをお勧めします。

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