すぐにご利用されたい方は、こちらからどうぞ。
▶ 有料老人ホーム開業 収支シミュレーター
有料老人ホームの定員(受け入れ可能な入居者数)は、収支の構造を決める最も重要な変数の一つです。定員が多いほど収入の上限は大きくなりますが、必要な建物面積・職員数・設備投資も増えます。反対に小規模施設は初期投資を抑えられますが、固定費の分散が難しく損益分岐点の入居率が高くなる傾向があります。開業前に「何人の施設なら黒字にできるか」を試算して規模を決めることが重要です。
定員の法令上の下限は都道府県の指導指針による
老人福祉法施行規則には、有料老人ホームの定員の下限を直接定めた規定はありません〔⚠️老人福祉法施行規則の原文で確認してください〕。ただし、都道府県の「有料老人ホームの設置運営標準指導指針」では、最低定員として「5名以上」等を定めているケースがあります。開設予定の都道府県の担当窓口に確認することが必要です。
介護付き(特定施設)として指定を受ける場合は、省令に基づく人員基準を満たせる規模であることが実質的な下限になります。入居者3名に対して介護・看護職員1名以上という配置基準を満たすには、最低でも職員数名が必要です〔⚠️省令原文で確認してください〕。
小規模・中規模・大規模の特徴を比較する
| 規模 | 定員の目安 | 必要延べ床面積の目安 | 介護・看護職員の下限(3:1配置) | 特徴 |
|---|---|---|---|---|
| 小規模 | 10〜20名 | 200〜500㎡程度(居室のみの概算) | 4〜7名以上 | 初期投資が抑えられる。固定費の分散が難しく損益分岐の入居率が高くなりやすい |
| 中規模 | 30〜50名 | 400〜800㎡程度(居室のみの概算) | 10〜17名以上 | 固定費を分散しやすく損益分岐の入居率が下がりやすい。採用コストがかさむ |
| 大規模 | 50名以上 | 800㎡以上(居室のみの概算) | 17名以上 | 収入の絶対額が大きく固定費の分散効果が高い。建物取得コスト・採用コストが大きい |
上表の延べ床面積は居室(1室13㎡以上)のみの概算です。実際は食堂・廊下・浴室・事務室等の共用スペースが加わるため、総延べ床面積は居室面積合計の1.5〜2倍程度になることが多いです。
定員と建物面積の関係
有料老人ホームの居室の最低床面積は1室あたり13平方メートル以上(老人福祉法施行規則)です〔⚠️老人福祉法施行規則の原文で確認してください〕。定員を増やすには居室面積×定員数分の面積が最低限必要です。
例として、定員30名(全室個室)の場合の最低居室面積は 13㎡ × 30室 = 390㎡ です。これに共用スペース(食堂・廊下・浴室・事務室等)を加えた延べ床面積が建物設計の前提になります。建物を賃借する場合はこの面積を満たす物件が必要で、新築・改修の場合は設計段階で定員と面積を合わせて計画します。
規模と人員基準の関係
介護付き(特定施設)は入居者3名に対して介護・看護職員を1名以上配置する基準があります(常勤換算で計算)〔⚠️省令原文で確認してください〕。定員の規模と必要な職員数の関係を計算しておくことが人件費の見積もりに必要です。
たとえば定員30名で稼働率90%(入居者27名)の場合、必要な介護・看護職員の下限は常勤換算で 27 ÷ 3 = 9名以上です。これに管理者・生活相談員・介護支援専門員・機能訓練指導員等の配置が加わります。詳しくは「有料老人ホームの人員基準、介護付きと住宅型でどう違うか。」をご覧ください。
「何人入居すれば黒字になるか」の考え方
損益分岐点の計算式と具体的な試算例については「有料老人ホームの損益分岐点、黒字化までに何ヶ月かかるか。」で詳しく解説しています。ここでは定員規模との関係に絞って整理します。
定員規模が損益分岐点に影響する最大の要因は「固定費の分散効果」です。人件費・建物賃料・管理費などの固定費は入居者数に関わらず発生します。定員が多いほど1人あたりに分散できる固定費が小さくなり、損益分岐点の稼働率が下がりやすくなります。
逆に小規模施設は定員に対する固定費の比率が高くなるため、損益分岐点の稼働率が高くなる傾向があります。1〜2名の空室が収支に与える影響も、定員が少ない施設ほど大きくなります。自施設の定員・収入・費用を使った試算は、有料老人ホーム開業 収支シミュレーターで確認してください。
小規模施設と大規模施設のリスクの整理
| 小規模(定員10〜20名) | 大規模(定員50名以上) | |
|---|---|---|
| 開業資金 | 建物費用・設備費を抑えやすい | 建物取得コストが大きくなる |
| 損益分岐の入居率 | 高くなりやすい(1人の空室の影響が大きい) | 低くなりやすい(固定費の分散効果) |
| 採用 | 必要な職員数が少なく採用しやすい | 大人数の採用・マネジメントが必要 |
| 入居者が退去したときの収入への影響 | 定員に占める割合が大きく影響が大きい | 1人の退去の影響は相対的に小さい |
| 地域への露出 | 口コミ・紹介での集客に時間がかかる | 認知されやすいが集客チャネルの整備が必要 |
規模を決めるにあたっては、自己資金・融資の調達可能額・地域の需給バランス・競合施設の状況を踏まえた上で、損益分岐点を試算しておくことが重要です。シミュレーターを使って定員・稼働率・収入・費用の数字を動かしながら計画を立てることをおすすめします。
すぐにご利用されたい方は、こちらからどうぞ。
▶ 有料老人ホーム開業 収支シミュレーター
出典:老人福祉法施行規則・「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」(厚生労働省令)。詳細は必ず原文および都道府県の担当窓口でご確認ください。当サイトは資格者ではなく、内容の正確性を保証しません。


コメント