就労継続支援B型のハラスメント研修、義務の根拠と職場環境を守るための進め方。

就労継続支援B型のハラスメント防止研修の義務と進め方 福祉事業の開業と運営





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就労継続支援B型では、職場のハラスメントを防ぐための研修が義務とされています。セクシャルハラスメント・パワーハラスメントの防止措置と、職員が相談できる体制の整備が求められます。

この記事では、就労継続支援B型のハラスメント防止研修の義務の根拠、研修で扱う内容、B型の作業現場に固有の注意点を整理します。

義務の根拠は第68条第4項(第202条で準用)

指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号)第68条第4項は、就労継続支援B型に第202条で準用されています。

同条では、職場のハラスメント防止のために事業者が講じるべき措置が定められています。解釈通知(障発第1206001号)では、就労継続支援B型のハラスメント防止は「基準第33条第4項の規定と基本的に同趣旨」とされており、第三の3の(22)を参照するよう示されています。

義務として求められる措置は次のとおりです。

  • 職場のハラスメントを防止するための方針の明確化と周知・啓発
  • 相談・苦情対応のための体制の整備(相談窓口の設置)
  • ハラスメントが発生した場合の迅速かつ適切な対処
  • 研修の実施による職員のハラスメントに関する知識の向上
  • 利用者またはその家族等からのハラスメントへの対応(カスタマーハラスメント対策)

ハラスメントの3種類

職場のハラスメントには3種類あります。就労継続支援B型の職場ではいずれも発生する可能性があります。

種類 定義の要点 B型の現場での例
パワーハラスメント(パワハラ) 職場の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて精神的・身体的な苦痛を与える行為 上司が部下に過剰なノルマを課す・人前での叱責・無視・雑用のみを継続的に命じる
セクシャルハラスメント(セクハラ) 性的な言動によって労働環境を害する、または性的な言動への対応を条件にする行為 外見についての不必要な発言・性的な冗談・身体への接触
妊娠・出産・育児等に関するハラスメント(マタハラ) 妊娠・出産・育児休業等の取得を理由とした不利益な取り扱いや言動 「妊娠するなんて困る」といった発言・育休取得への圧力

利用者・家族からのハラスメントも対象(カスタマーハラスメント)

就労継続支援B型では、利用者またはその家族から職員に対するハラスメント(カスタマーハラスメント)への対応も義務として求められています。

B型の現場では、保護者が職員に対して過度な要求をする・利用者が職員に暴言を浴びせる・送迎時に保護者が職員を怒鳴りつけるといった場面が起きることがあります。こうした行為への対応方針をあらかじめ決めておくことが、職員を守ることにつながります。

利用者が職員に対して行うハラスメントへの対応は、利用者の権利擁護と矛盾するように見えることがあります。「利用者への支援が第一だから我慢するべき」という文化は、職員の離職・メンタルヘルスの悪化・ひいてはサービスの質の低下を招きます。事業所として「どこまでを対応すべき要求とし、どこからを行き過ぎた行為として対処するか」の方針を明確にしておくことが重要です。

相談窓口の整備

ハラスメントの防止措置として、職員が相談できる窓口の設置が求められます。小規模な事業所では専任の担当者を置くことが難しい場合もありますが、次の点を最低限整えます。

  • 相談窓口の担当者を決め、職員に周知する(管理者・サービス管理責任者・外部機関など)
  • 相談した職員が不利益を受けないことを方針として明確にする
  • 相談内容の秘密が守られることを保証する
  • 相談を受けた場合の対応手順(事実確認・当事者への対処・再発防止策)を決める

利用者・家族からのカスタマーハラスメントについては、「この行為は対応できない旨を利用者・家族に伝える」「繰り返す場合はサービスの中断を検討する」といった対応の基準を事前に決めておくと、現場の職員が行動しやすくなります。

研修で確認する内容

定義と事例の確認:ハラスメントの3種類の定義と、B型の現場で起きやすい具体的な場面を確認します。「これはハラスメントに当たるか」と迷う場面を取り上げると、職員が実際の判断に結びつけやすくなります。

相談窓口と対応手順の確認:誰が相談窓口の担当者かを確認し、相談した場合の流れを説明します。「相談しても何も変わらない」「相談すると自分が不利になる」という不安を取り除くことが、研修の目的の一つです。

カスタマーハラスメントへの対応方針の共有:利用者・家族からの過度な要求や暴言に対し、事業所としてどう対応するかの方針を共有します。「対応できる範囲とできない範囲」を職員が言葉にできる状態にします。

法律の根拠の確認:男女雇用機会均等法・労働施策総合推進法・育児介護休業法によってハラスメント防止措置が事業者に義務づけられていること、義務を怠ると行政指導の対象となることを職員が知っていることも、職場環境を守る上で有効です。

研修の記録として残すもの

  • 研修の実施日・テーマ・実施方法
  • 参加した職員の確認サイン(全員分)
  • 相談窓口の担当者名と職員への周知を確認できる記録
  • ハラスメント防止に関する方針(文書として整備されていること)

まとめ

就労継続支援B型のハラスメント防止研修は、第68条第4項(第202条で準用)に基づく義務です。セクハラ・パワハラ・マタハラの3種類と、利用者・家族からのカスタマーハラスメントへの対応が対象です。研修では定義・事例・相談窓口・対応方針を職員が共有します。小規模な事業所でも、方針の明文化と相談窓口の担当者の設置が最低限必要です。

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出典:指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成18年厚生労働省令第171号)第68条第4項(第202条で準用)・解釈通知(障発第1206001号)第三の3の(22)・第四の3の(17)④。男女雇用機会均等法・労働施策総合推進法・育児介護休業法のハラスメント防止措置義務も参照。


この記事を書いた人

業種別のツールを、一人で作っています。開業前の収支シミュレーター、法定研修キット、資格の問題集。どれも、厚生労働省の告示や調査の原文を自分で確かめてから数字を組み込んでいます。使う人が「この数字、合ってるか」と不安になるようなツールは作りたくないので。

上場企業で20年間、営業ひとすじ。電話営業・インサイドセールスから、約70名のチームのマネジメントへ。現場で「根拠のない数字」が判断を狂わせる場面を見続けてきたせいか、ツールを作るときも出典を確かめずにはいられません。

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